中国ドラマ「千紫万華(せんしばんか)~重紫(ちょうし)に捧ぐ不滅の愛~」「花令嬢の華麗なる計画」がU-NEXTにて独占先行配信中。DVDが10月6日より順次リリースされる。“時代劇が似合う俳優”シュー・ジェンシーが完璧な仙人、策略家の皇太子をそれぞれ演じた両作は、合同キャンペーンが行われている。
映画ナタリーでは新作2本の日本上陸を記念し、中国の文化やエンタメ情報を発信しているYouTuber・李姉妹のインタビューを実施。見どころを語り合ってもらった。
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取材・文 / 小酒真由子
ファンタジー初心者でも入りやすい(しーちゃん)
──今回、李姉妹さんにはシュー・ジェンシーの主演作「千紫万華(せんしばんか)~重紫(ちょうし)に捧ぐ不滅の愛~」と「花令嬢の華麗なる計画」をひと足先に観ていただきました。
「千紫万華(せんしばんか)~重紫(ちょうし)に捧ぐ不滅の愛~」とは?
生まれながらに邪気を持った天真爛漫なヒロインと彼女の師となる仙人の愛を描いたロマンス時代劇。第一世は孤児、第二世は良家の令嬢、第三世は魔界の女王と三生三世を経験するヒロインをヤン・チャオユエ、彼女を見守り愛し抜く仙人をシュー・ジェンシーが演じ、「山河令」のマー・ウンユエンがヒロインを一途に思い続ける仙人、同じく「山河令」のリー・ダイクンがヒロインを優しく見守る先輩仙人、「陳情令」のワン・ジュオチョンがヒロインを伴侶にと望む魔界の魔尊に扮した。
──まずは「千紫万華(せんしばんか)~重紫(ちょうし)に捧ぐ不滅の愛~」をご覧になった感想はいかがでしたか?
しーちゃん 私、普段はあんまりファンタジー作品は観ないんですけど、これは面白いと思いました。ビジュアルに新鮮味があって、設定もワクワク感がありますよね。しかも、ヒロインは最初は人間で、そこから仙人になるお話。生まれた瞬間から神様や仙人というわけではなくて、誰でも仙人になれるっていう設定がファンタジー初心者でも入りやすいと思いました。
ゆんちゃん こういう神様や仙人が出てくるファンタジーの物語に武侠の要素が入った“仙侠ファンタジー”は、設定の自由度がすごく高いんです。日本の少年マンガのように作品によって独特な世界観があるので、空の上ってこんな感じなんだ、仙人の世界ってこういう動物がいるんだ、こんな食べ物を食べるんだ、と想像が膨らみます。このドラマのように人気小説がドラマ化されることが多いんですけど、文章で書かれた世界が具現化されて視覚的に楽しめるところも魅力だなと思います。
──本作が中国でヒットした理由を教えてください。
しーちゃん ヒロインのヤン・チャオユエはアイドル出身ですごく人気。彼女の新作ということで注目されたんじゃないかと思います。劇中の衣装や髪型もよかったですし。特にお団子ヘアのスタイルがかわいかった!
ゆんちゃん 彼女だけじゃなくて若手イケメンもたくさん出てきて、話題性の高い旬のキャスティングでしたよね。芸歴の長い先輩のシュー・ジェンシーが主人公で、周りは若手が固めているというのも人気が出た要因かなと思いました。
しーちゃん 私はシュー・ジェンシーがファンタジーに出ているのを初めて観たんですけど、仙人役ならではの威厳と貫禄を感じました!
ゆんちゃん いかにも仙人っていう白いひらひらの衣装も着こなせてますし! 最強っていう設定のキャラクターって役者さん本人のオーラがないとそういうふうに見えないと思うんですけど、この人絶対強い人じゃんっていう雰囲気がちゃんと出せているのがすごい。それに上品ですね。品があるなと思いました。
しーちゃん ファンタジーって私たちが観る状態ではすでにCGとかも入って、登場人物が手を動かして超人的な術を行うみたいなシーンも違和感なく観られますけど、撮影の段階だと俳優さんは何もないところで演技しているわけじゃないですか。やっぱり演じるのは難しいんじゃないかなって思うんです。その世界観に溶け込まないと滑稽な動きに見えちゃいますよね。でも、シュー・ジェンシーはそういうシーンもかっこよく演じていて、演技の実力を見せてくれたなって思います。
──今回、シュー・ジェンシーが演じる洛音凡(らくいんはん)はヤン・チャオユエが演じるヒロイン・重紫(ちょうし)の真面目で厳しいお師匠様です。でも、邪気のあるヒロインを弟子にしたうえ、彼女のことが好きになってしまいます。それもかなりの偏愛ぶりでしたが、2人の関係性についてはどう思いましたか?
しーちゃん 洛音凡は真面目ですけど、みんなが駄目と言うのに無理を通して重紫を弟子にするというあまのじゃくっぽいところがありましたよね。重紫を最初から気に入っていて、2人の間にはほかの人が入り込めない関係性がありました。しかも、現代でいえば先生と生徒の恋みたいな、ちょっと禁断な感じ。超最強な人が1人の女の子を溺愛して、過保護で、その子に関することだけには感情を出してしまう、その子にだけは敵わないっていうのが、キュンとする設定ですね。
ゆんちゃん そうそう。普段はシリアスで最強、物静かでクールな感じなんですけど、重紫のことになるとお茶目な一面が出てきたりとか。めちゃくちゃ溺愛してもうなんでもいいよ、なんでもどうぞみたいな(笑)。そういうギャップが魅力的だなと思いました。
キュンとさせられるイケメンキャラがそろっている(ゆんちゃん)
──重紫は洛音凡以外の男性たちからも愛され守られますが、彼女がこんなにもモテるのはなぜでしょう?
しーちゃん 家もない貧しい女の子だったのに仙人を目指すとか、彼女にはちょっと掟破りなところがあるじゃないですか。それがいいのかな。喜怒哀楽がとてもはっきりしていて、仙人の世界に入ってきても自分のスタイルを貫こうとする、破天荒なところがモテる理由だと思います。
ゆんちゃん 本人は人から好かれようとしていないんですよね。相手の立場とか身分とか関係なしに、いつでも普段の自分でいるっていうところがいいんだと思います。周りの男性キャラクターたちはけっこう身分が高い人たちで、女の子から言い寄られるのに慣れているんですよ。でも、重紫だけは違うから気になっちゃうんでしょうね。彼らからすると“おもしれー女”ってなるパターン(笑)。そういう設定って日本のラブコメとか少女マンガと似ているから日本の視聴者も共感できそう。
しーちゃん その一方で、彼女は生まれながらに邪気を持っているという悲劇の宿命も抱えているんです。そのせいでどんどん複雑になっていくストーリーの中、男性キャラクターたちが彼女への思いを手離せなくなっていくのも見どころですよね。
──確かに、周りのイケメンたちもずっとずっとあきらめずにヒロインのことが好きというキャラばかりでしたね。お二人はどの男性キャラがお気に入りでしたか?
ゆんちゃん 南華派で一緒に修行する秦珂(しんか)ですね。最初は重紫に悪い態度を取っていたけど、登場シーンで“彼は絶対重紫のこと好きになるやん”って瞬時に察しました(笑)。言葉遣いは荒々しいけど、行動では彼女を守ったり面倒見てあげたり。そういう面ではめちゃくちゃ優しい人。観ているうちに“こんないい人いる?”って思ってくる。最後までぶれないのもかっこいいですね。
しーちゃん 私は青華派のお坊っちゃまの卓昊(たくこう)。最初はチャラい感じだったけど、重紫のことを気に入ってからはとっても一途で、最終的には彼女のために一番自分を犠牲にしていた。かわいいキャラで最初の登場と最後でギャップがあるのがよかったです。重紫に対して一途という点は秦珂と同じだけど、秦珂が世界を守ることやルールを守ることに対しても真面目な一方、卓昊は重紫のことだけを考えてほかのものはもう全部捨てられるみたいなキャラ。
ゆんちゃん そんなふうに、このドラマにはいろんなパターンでキュンとさせられるイケメンキャラがそろっていますよね。こんなキャラもあんなキャラも入れてくれて、ありがとうございますって感じ(笑)。魔の側に属する悪役キャラもいて、その中では私は楚不復(そふふく)が好きでした。
しーちゃん 楚不復は妹弟子の宮可然(きゅうかぜん)を愛していて、彼女のために闇落ちしていくんですけど、重紫が洛音凡と恋人関係に発展していく代わりに、楚不復と師弟のような関係になっていくんです。
ゆんちゃん 重紫が楚不復と出会うのも洛音凡と同じぐらいのタイミング。彼もすごく重要なキャラなんです。楚不復と宮可然のロマンスも悲しくさせられるけどよかった。でも、なんかファンタジーの恋って、もう悲劇しか無理なのかも!? 普通の時代劇や現代劇に比べて、2人が抗えない運命とか立場とか、そういうのと闘わないといけないことが多い。サブカップルたちも悲劇のカップルばかりだし……。
しーちゃん 「ロミオとジュリエット」のように敵対勢力にいながら恋に落ちるサブカップルもいましたよね。
ゆんちゃん でも、本当に救いようがないとか、心がえぐられるというのとは違うんです。悲劇のラブストーリーなんだけれどきれいで、はかないのがいいのかもしれない。ラブストーリーは悲恋のほうが心に残るってこと、ありますよね。
──そういう意味では重紫と洛音凡のラブストーリーも、重紫が一度死んで人間界で生まれ変わる第二世、さらに魔に堕ちる第三世と、悲恋が続いていきますよね。こうした展開はいかがでしたか?
ゆんちゃん まず、その設定にびっくりしました!
しーちゃん 輪廻転生ってわりとなじみがあるし、どんなものなんだろうって、みんな好奇心が湧くと思うんですよ。そういうところをくすぐってくる設定でしたよね。生まれ変わった新たな人生でも重紫はまた洛音凡と出会うんだろうな、どういうタイミングで、どう出会うんだろうって思いながら観ていました。
ゆんちゃん そこはね、ちょっとじれったいっていうか。
しーちゃん 誤解し合ったりとか、もどかしさがありましたね。その後、第三世に行くフラグもすごかったですよね。絶対、魔に落ちるだろうなって思ってはいたけど、やっぱり落ちちゃうかっていう感じで(笑)。
ゆんちゃん 第一世は天真爛漫な孤児、第二世はおしとやかなお嬢様、そして第三世は悪女なキャラ。そこをヤン・チャオユエがちゃんと演じ分けられているのもすごいです。
しーちゃん それでも重紫は完全には悪になりきれないところがあって。だから、洛音凡と同じ目線で、彼女の心は悪に染まっていないはずって、ハラハラしながら観られます。
──日本の視聴者に、本作のどんなところに注目して観てもらいたいですか?
ゆんちゃん どんでん返しや起伏があって最後まで飽きさせないストーリーですし、CG満載のバトルシーンも注目ですね。それから、こういう主人公が悪の要素を持っているワケありな設定というのは、最近の中国ファンタジーのトレンドなので、そこも注目ポイントです。
しーちゃん きっと、中国で大ヒットした「永遠の桃花~三生三世~」や「蒼蘭訣(そうらんけつ)~エターナル・ラブ~」が好きだった人は、このドラマにもハマれるんじゃないかなと思います。