ファンタジーなのに人間ドラマがリアル
──東伯雪鷹が長風学院に入学して修行する展開は学園ドラマのようですが、その見どころはどこだと思われますか?
学園ドラマって「ごくせん」「ROOKIES」から「下克上球児」まで、師弟関係が1つのポイントになることが多いですよね。このドラマでは師匠の池丘白と東伯雪鷹の関係がしっかりと描かれていて、池丘白が東伯雪鷹に愛情を注いでいるところ、東伯雪鷹がその期待を感じているからこそ苦労したり悩んだりするところも丁寧に表現されています。東伯雪鷹が池丘白に憧れて「こういう人間になりたい」と人間性を尊敬する描写がたくさん出てくるんですが、僕がサッカー選手時代にコーチに抱いていたイメージと重なり、共感できました。この師弟関係は物語の中で重要なキーになると思います。
──そうですね、そういう師弟関係や学友たちとの関係の中に家族のような絆ができあがっていって、人間ドラマも盛り上がっていきますね。
このドラマはファンタジーなのに人間ドラマがリアルなんです。しかも、そういうリアルな人間ドラマの途中で突然ファンタジー描写が入ってくる。例えば孔悠月と父親のシリアスなドラマが展開しているところで、目にも留まらぬ速さで走れる技のある濮陽波が、縛られていた縄をふわっとほどいて孔悠月を連れて高速で逃げていく。そういう技がとにかくかっこいいし、シリアスな人間ドラマと違和感なく両立されている。そこが日本にはない面白さだし、うまく表現されているところだなと思いました。
──劇中にはほかにも不思議な術を使ったり、槍や剣のほか面白い武器を使うアクションシーンがたくさん登場します。
そこはディズニー作品みたいな要素も感じました。たき火をするときは手で術を使って火をつけるし、セットも幻想的な情景が作り上げられていて、そういうビジュアルはアニメを観ているかのような気分になります。かと思えば戦闘シーンでは臨場感のあるアクションが繰り広げられるし、シーンごとに印象が変わっていく。そんなふうにいろんな要素があるのが見応えがあって、日本ではなかなか観られない作風だなと思いました。
思わず巻き戻してリピートしたシーンも
──中国ドラマはワイヤーアクションの技術も高いですが、実際に観てみていかがでしたか?
僕もワイヤーアクションは「暴太郎戦隊ドンブラザーズ」でやりましたけど、体を回転させるぐらいで、少ししかやってないんです。でも、このドラマはすごいですよね。空中でぐるぐる回ったり高く飛び上がったり。自分の中の子供心が刺激されたし「僕もやってみたい!」と思いました。
特に相手からの攻撃をかわしたあとにこちらから反撃するといった「ドラゴンボール」に出てくるようなアクション演出は、「ドンブラザーズ」の頃から好きです。攻撃を避けるために後ろに向かって飛んで、斜めに体を何回転かさせたあと、相手に向き直って斬るっていう場面でも、この作品ではきれいに回ってばっちり決まった形を見せるし、リアリティも感じられる。「かっこいい!」と思って思わず巻き戻してリピートしたシーンもたくさんありました。
──東伯雪鷹役のシュー・カイさんはほとんどのアクションを自分で演じているそうです。インタビューでは槍を振り回して1人で大勢を相手に戦うシーンでも、殺陣をかっこよく決めながら顔はちゃんとカメラに向けるのが難しいという苦労話をされていました。
アクション演技ってすごく難しいと思います。殺陣の流れを頭に入れてカメラの画角から外れないように動いて、さらに表情や指1本のかっこよさまで意識する。しかもそこで役を演じないといけない。シュー・カイさんはすべて完璧、手の動きが顔と被らず、ちゃんと目線がカメラにあるんです。映画「るろうに剣心」シリーズの佐藤健さんもそうでしたがそういうことをすべて意識して演じられることはとても尊敬してしまいます。このドラマを観て自分ももっとアクションにチャレンジしていきたいと思いました。
ヒーローが好きな方にも観てほしい
──そのほかに俳優の視点から観て気付いたこと、刺激を受けたことなどはありますか?
こうしたアクションシーンでも最後に決めポーズが決まるというのが大事ですよね。「ドンブラザーズ」のときに監督から「ポーズが決まる俳優じゃないとダメだ」って言われたことがありました。このドラマの俳優さんたちはアクションをしてもセリフを言っても、何をしても姿形がばっちり決まっていたので、「こういうことなんだ!」と思いました。同じ演者として、これぐらいバチっと決められるようになりたいです。
また、中国の俳優さんたちは、はっきりとした顔立ちで目力が強いから眉毛のお芝居に目が向きました。僕もどちらかと言うと濃いめの顔立ちなので、そこに共通点を感じたんですけど(笑)、眉毛の動きがどう伝わるか客観的に見ることができて勉強になりました。そしてこの作品が時代劇でファンタジーというのもあり舞台を観ているかのようで、物語の世界に入り込みやすくとても楽しめました。
──今後チャンスがあれば中国ドラマに出てみたいというお気持ちはありますか?
はい、出てみたいです。もちろん、まずは日本でしっかり活動するのが基本ですけれど、俳優として世界に出て行きたい気持ちはあります。新しい経験をして新しい自分の魅力に気付ける機会にもなると思いますし、そういうチャンスをいただけるよう中国語を学んでいきたいとも思っています。
──「雪華の炎~揺るぎない誓い~」をどんな人にどんなふうにお薦めしたいですか?
まずアニメが好きな方や、SFやファンタジーが好きな方にお薦めしたいです。アクションがすごいので、ヒーローが好きな方にも観ていただきたいです。また、恋愛ドラマから学園ドラマ、裏切りのドラマまで物語の波もしっかりある作品なので、たくさんの方に楽しんでいただけると思います。
それから、アイドルが好きな方にもお薦めです。なんといってもキャストの皆さんが本当にすごいビジュアルじゃないですか!? それって大事なことだと思うんです。ドラマや映画ってやっぱり美男美女が出てきて、それに憧れるのも楽しみの一つですから。そういったことをひっくるめてエンタテインメントが好きな方なら、この中国ドラマの世界にハマっていただけるんじゃないかなと思います。
プロフィール
樋口幸平(ヒグチコウヘイ)
2000年11月30日生まれ、兵庫県出身。高校卒業後、Jリーグのプロ育成選手として上京するも、けがのためプロを断念。その後芸能事務所からスカウトを受け、芸能界デビューを果たす。2022年より放送のスーパー戦隊シリーズ第46弾「暴太郎(あばたろう)戦隊ドンブラザーズ」で、主人公・桃井タロウ / ドンモモタロウ役に抜擢。2023年にはドラマ「体感予報」でダブル主演を務めた。そのほかの出演作にドラマ「Maybe 恋が聴こえる」「キューピッドがいるラブホテル」など。映画「追想ジャーニーII」の公開を2024年夏以降に控える。
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