AKB48の渡辺麻友が主演を務め、「桐島、部活やめるってよ」の喜安浩平が脚本を手がけたテレビドラマ「サヨナラ、えなりくん」。4月30日に放送がスタートした本作は、純愛を追い求める25歳の桐山さおりが次々に出会うダメ男たちを成敗していく異色のラブコメディだ。
映画ナタリーでは、理想の相手を見つけるため日々婚活に励むさおりを演じた渡辺と、男たちの心にすみ着く欲望の化身えなりくん役のえなりかずきにインタビューを実施。役柄を知ったときの感想やお互いの印象、そして自身の恋愛観について話を聞いた。
取材・文 / 小澤康平 撮影 / 笹森健一
さおりを演じるのは完全に挑戦だった(渡辺)
──AKB48グループのメンバー40人が主演を務めた恋愛ドラマ「AKBラブナイト 恋工場」の投票企画で1位を獲得し、今回主演の座を射止めたわけですが、純愛を追い求めるさおりという役柄を聞いたときはどう思いましたか?
渡辺麻友 振り切った役にびっくりしました。純愛を求めすぎるが故に、愛情についてちょっとゆがんだ考えを持っていると言うか。そういう役は今まで演じたことがなかったので、完全に挑戦でした。
──演じるうえで意識したことはありますか。
渡辺 男性とデートしているときのさおりは恋する乙女という感じですが、村ちゃん(池田成志演じる怪しいバーの店長。さおりのよき相談相手)のお店にいるときは裏の顔が出てきます。ものすごく口が悪くなったりとか。その差がはっきり出るように気を付けました。裏表が極端にあるほうが観ている方も楽しめるんじゃないかと思います。
──確かに極端な女性ではありますよね。ダメ男たちを成敗するとき、ごま塩を振りかけたり、「えなりなるもの、えなりなるものたち……」という印象的な呪文を唱えたり。
渡辺 あのシーンの芝居はすごく難しくて。自分の演技が迫力に欠けているので毎回試行錯誤しながら取り組んでいました。
──えなりさんから見て、渡辺さんの演技はいかがでしたか?
えなりかずき 僕はずっと渡辺さんに対してかわいらしいイメージを持っていたんですよね。でも最初に撮影でお会いしたとき、渡辺さんはすでにべらんめえ調のさおりになりきっていて。いい意味でイメージをひっくり返されました。
えなりくん役は名誉でしかない(えなり)
──えなりさんは、男たちの心にすみ着く欲望の化身えなりくんを演じてらっしゃいます。役柄を知ったときの正直な感想を教えてください。
えなり 一言で言うと、めちゃめちゃ面白そうだなと思いました。
──役名に自分の名前が入っているのは珍しいですよね。
えなり そうですね。でも本当に名誉でしかないです。しかも番組名にも“えなり”って入ってますからね。最初は役としてやりづらいかなと心配していたんですが、それぞれの男が持っている悪い部分を象徴したキャラクターとして捉えることで、楽しく演じさせていただきました。
──渡辺さんはえなりさんの演技を見てどう思いました?
渡辺 毎回まったく違うキャラクターになりきっているので、その都度学ばせていただきました。「こんなパターンで来るのか!」と驚くことも多くて、視聴者感覚で楽しんじゃっていました。
えなり 実際は僕、いい加減なところが多いんですけどね。渡辺さんはお芝居と本当に真摯に向き合っていたので、リハーサルのときに僕を見る目が厳しいような気がしました。
渡辺 ええっ!? そんな厳しい目で見ていません!
えなり 僕が勝手に思ってただけですかね。それも含めてありがたかったですし、一緒にお芝居をすることができて、純粋にうれしかったです。
いろいろな役柄を演じている感覚に(渡辺)
──劇中ではお二人の衣装にも注目すべきポイントがたくさんありますね。
渡辺 そうなんです。さおりは夢中になっている男性からの影響を受けやすいので、それによってファッションも変わるんですよ。着物のときもあったし、山ガールにもなりました。
──さまざまな衣装を着ての演技はどうでした?
渡辺 毎回違うテイストの衣装を着ることができて楽しかったです。さおりのキャラクターが服の系統に寄っていっちゃうこともあって。さおりという1人の女性であることに変わりはないのですが、いろいろな役柄を演じている感覚を味わえました。
──えなりさんの衣装も特徴的ですよね。
えなり ランボーとか幼稚園児とか(笑)。極端だなとは思いましたけど、楽しかったですよ。
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さおりの言動に思わず「ええー!?」(えなり)
- テレビドラマ「サヨナラ、えなりくん」
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- あらすじ
- 純愛を追い求める25歳の桐山さおりは、理想の相手を見つけるため日々婚活に励んでいる。しかしさおりが出会うのは浮気性やマザコン、ドケチといった裏の顔を持つダメ男ばかり。そんな男たちにひどい仕打ちを受けた瞬間、さおりはある特殊能力を発揮し、彼らの心にすみ着く欲望の化身えなりくんを退治していく。
- スタッフ
- 企画・原作:秋元康
- 監督:佐藤太、二宮崇ほか
- 脚本:喜安浩平、松本哲也ほか
- キャスト
- 桐山さおり:渡辺麻友
- えなりくん:えなりかずき
- 片栗:上地春奈
- 村木沢茂:池田成志
- 渡辺麻友(ワタナベマユ)
- 1994年3月26日生まれ、埼玉県出身。2006年に行われた第3期AKB48オーディションに合格し、AKB48メンバーの一員に。2012年2月にシングル「シンクロときめき」でソロデビューを果たし、2014年にはAKB48第6回選抜総選挙で1位を獲得した。アイドルや歌手としての活動だけでなく、ドラマ「マジすか学園」シリーズやアニメ「映画魔法つかいプリキュア!奇跡の変身!キュアモフルン!」にも出演するなど、女優・声優としても活躍している。
- えなりかずき
- 1984年11月9日生まれ。幼少期からドラマ「渡る世間は鬼ばかり」に出演し、成熟した演技を持ち味に幅広い年齢層からの支持を得てきた。ドラマだけでなくバラエティや情報番組にも出演しており、その活躍は多岐にわたる。