WOWOW「殺意の道程」特集|バカリズムが挑む新感覚サスペンスコメディ、描いたのは復讐実行までの“どうでもいい過程” / 井浦新インタビューも / 第1話を無料公開

バカリズムが脚本を執筆し、井浦新とともにダブル主演したWOWOWオリジナルドラマ「殺意の道程」が11月9日深夜にスタートする。本作で描かれるのは、父親を自殺に追い込んだ男への息子の復讐。しかしシーンの大半は復讐実行までの“どうでもいい過程”という、新感覚のサスペンスコメディになっている。

これまでにドラマ「住住」「架空OL日記」「生田家の朝」などの脚本を書いてきたバカリズム。本特集ではサスペンス要素を取り入れた理由や、殺害計画からしきりに脱線するストーリーの魅力に迫る。また井浦へのインタビューも掲載。「おっさん2人の青春物語」という側面でドラマを語ってくれた。

なお後日お笑いナタリーでは、バカリズムと井浦の対談、バカリズムのソロインタビューをお届けする。

取材・文 / 小澤康平 撮影 / 中川容邦

バカリズム:ヘアメイク / 鈴木海希子 スタイリング / 高橋めぐみ
井浦新:ヘアメイク / 山口朋子 スタイリング / 上野健太郎

作品紹介

バカリズムが描く、復讐実行までのどうでもいい過程

「殺意の道程」

大喜利バラエティ「IPPONグランプリ」で最多となる5度の優勝を果たしているバカリズムは、脚本家としても「住住」「架空OL日記」「生田家の朝」など多くの作品を生み出してきた。そんな彼がサスペンスを軸に執筆したコメディが「殺意の道程」だ。父親を自殺に追い込んだ男への息子の復讐劇とテーマは深刻だが、描かれるのは復讐実行までの“どうでもいい過程”。バカリズムは「僕が書くものはすべて“笑わせたい”が出発点です。どういう手段を使って笑わせようかを考えていたとき、シリアスなトーンでどうでもいいことを描いたら面白いんじゃないかと思って。サスペンス要素は笑いのための振りです」と思惑を語る。

殺害計画を練っていたはずが、すぐに脱線

「殺意の道程」

多額の負債を背負わせ父親を死に追い込んだ社長・室岡義之への復讐を誓う窪田一馬に扮したのは、映画「ピンポン」「止められるか、俺たちを」やドラマ「アンナチュラル」で知られる井浦新。復讐を手伝う一馬のいとこ・吾妻満をバカリズム自身が演じている。ドラマは一馬と満が室岡殺害に向けてさまざまな準備を行うシーンで構成されているのだが、彼らがすぐに当初の目的を見失ってしまう展開がバカリズム節。凶器を買いに来たはずが別の商品に夢中になり、計画のアドバイスをもらうはずが流されるままにカラオケで盛り上がってしまう。バカリズムが「たぶんあまり観たことがないタイプの変なドラマになっていると思います」と話しているように、各話ごとに珍妙なストーリーが用意されている。

主人公2人=何かと理由を付けて自宅に他人を上げないタイプ

「殺意の道程」

満と一馬の人柄も見どころだ。普段は冷静な満にキレたら手が付けられない部分があったり、物事を俯瞰することができる一馬にはファッションセンスが欠けていたりと、話が進むにつれて人間らしい不完全さが見えてくる構成になっている。ちなみに彼らに共通しているのは、何かと理由を付けて自宅に他人を上げないところ。なお一馬のセンスについては、2ページ目のインタビューで井浦が具体的にどうダサいのかを解説しているのでそちらもお見逃しなく。

キャラクター紹介

吾妻満(バカリズム)
吾妻満(バカリズム)
一馬のいとこ。一馬の父に幼少期から世話になっており、室岡への復讐に協力する。
窪田一馬(井浦新)
窪田一馬(井浦新)
父親を死に追い込んだ室岡に復讐するため、満とともに完全犯罪を企てる。
このは(堀田真由)
このは(堀田真由)
殺人や犯罪に詳しいキャバクラ嬢。満と一馬にアドバイスをする。
ゆずき(佐久間由衣)
ゆずき(佐久間由衣)
このはの同僚であり親友。占いが得意。
室岡義之(鶴見辰吾)
室岡義之(鶴見辰吾)
一馬の父を追い詰め死なせたグッドMの社長。
室岡の愛人(飛鳥凛)
室岡の愛人(飛鳥凛)
室岡と寿司屋やバーに行く女性。
窪田貴樹(日野陽仁)
窪田貴樹(日野陽仁)
一馬の父。室岡に負債を背負わされ自殺してしまう。
重盛隼人(河相我聞)
重盛隼人(河相我聞)
一馬の親友。満と一馬に打ち合わせ場所として仕事部屋を提供する。

井浦新 インタビュー

涙が一筋出てしまうような喜劇が好き

──バカリズムさんは一馬を井浦さんに当て書きしたそうです。スタッフの方からキャスティング案として最初に名前が出たときから、井浦さんしか考えられなくなったともおっしゃっていました。

井浦新

役者として光栄です。日常生活の中でコントや司会をしているバカリズムさんのことを見ていたので、最初にオファーをいただいた段階で「絶対に出させていただきたい」と即答しました。

──過去の出演作を見てみるとコメディは少ないですね。

確かに多くはないです。今作のように会話劇が印象的な作品としては「ジ、エクストリーム、スキヤキ」がありましたが、サスペンスなのにくすくす笑ってしまうという世界観は「殺意の道程」が初めてでした。SFだったりヒューマンドラマだったり、作品のジャンルとしてコメディも同じように好きです。

──好きなコメディ作品はありますか?

「イエスマン “YES“は人生のパスワード」などジム・キャリーの作品が好きです。たくさん笑わせてくれるんだけど、涙が一筋出てしまうような喜劇が好きなんですよね。なので「男はつらいよ」もよく観ていました。僕の中ではコメディと言えば渥美清さんとジム・キャリーです。


2020年10月29日更新