岡田将生と志尊淳のダブル主演作「さんかく窓の外側は夜」が、1月22日に全国で公開される。
ヤマシタトモコのマンガを森ガキ侑大が実写映画化した本作は、霊を祓うことができる男・冷川理人と、霊が視える力を持つ男・三角康介がバディを組み、連続殺人事件の解決に挑む除霊ミステリーエンタテインメント。岡田が冷川、志尊が三角に扮し、平手友梨奈がストーリーの鍵を握る女子高校生のヒウラエリカ(非浦英莉可)を演じた。
本作の公開を記念してナタリーでは音楽、映画、コミックとジャンルを横断して全3回の特集を展開する。第2弾となる映画ナタリーでは、岡田、志尊、平手の3人にインタビュー。役を演じるにあたって大事にした思いやドッキリを仕掛け合っていたという撮影時のエピソード、それぞれの俳優としての魅力などを語ってもらった。
取材・文 / 秋葉萌実 撮影 / 曽我美芽
とてもやりがいがあって楽しかった(岡田)
──皆さんが演じた冷川理人、三角康介、非浦英莉可は3人とも他者と関わることによって大きく変化していくキャラクターです。役の感情の動きや行動をどのように受け止めたのでしょう?
岡田将生 冷川は中身がいわゆる“子供”というか、相手がどのような気持ちで話をしているのかが理解できず「なんで怒ってるんですか?」と言ってしまう男なんです。今までそういう役を演じた経験がなかったのですが、それが面白かったです。三角がどこかへ行っちゃったら「どうしてだろう。僕のものなのに」と子供のようにすねたり。
──冷川は時折、独占欲に近い感情をのぞかせていましたね。
志尊淳 すぐ縛るしね。
岡田 そうそう(笑)。シンプルに言うと独占欲で、それをいかに違う表現にしていくかと考えていました。そこは冷川が人間らしく見えるポイントでもあるので、さじ加減を考えながら演じるのはとてもやりがいがあって楽しかった。
志尊 三角は一番普遍的なキャラクターだと思っていて、どこに基準を置いて演じるかがとても大事でした。森ガキ侑大監督には「あくまでも観客を置いていかないようにしてほしい」と言われて、その時々でバランスを見ていただきながら芝居を調整していきました。あとは目の前で起きたことに対して「え、どういうこと?」と素直なリアクションをしようと心がけましたね。だって契約書を交わそうと拇印を押すときに焼肉のタレを渡されるのっておかしいじゃないですか。
岡田 そうだね。
──三角には観客が共感できるような、いい意味での“普通さ”がありました。
志尊 その“普通さ”が違う方向へ行ってしまったら、きっと映画を観ている人はどこか客観的な気持ちになっちゃうんですよね。この作品は人間の成長物語でもあるので、ブレないでまっすぐ立っていたいなと思いつつ演じていました。
平手友梨奈 私の役は呪いの力を操るという役でした。ずっと孤独感を抱いていたけれど、冷川や三角と出会って、三角からある言葉をかけられることでどこか救われた気持ちになる。英莉可が変化するきっかけになるシーンだったので大事に演じました。
誰も笑っていない……?(岡田)
──2020年2月に現場取材に伺ったのですが、作品のテイストはシリアスながら撮影現場自体はとても和やかな印象がありました(参照:志尊淳、平手友梨奈の共演シーンに密着「さんかく窓の外側は夜」撮影レポート)。ドッキリを仕掛け合うこともあったそうですが、どなたが現場のムードメーカーだったんでしょうか?
岡田 てち(平手)じゃない?
平手 え!?
志尊 3人それぞれの役割はあったけど、てちが「あれやろう」といろいろ提案してくれました。
平手 それぞれ仕掛け合っていました。
岡田 見えないところにカメラを置いて、僕たちも隠れててちを待っていたりね。
志尊 それは“お返し”なんだよ! 東宝スタジオで撮影をしていたときに、てちが仕掛けてきたことがあって。
平手 バレンタインのとき?
志尊 そうそう。ほかでもよく驚かせ合っていたね。懲らしめるものではなくて、みんなを喜ばせるドッキリ。
──当時回していた映像は、メイキングか何かで使われる機会はあるのでしょうか。
志尊 絶対に使われないと思います(笑)。
岡田 使われないよね。しかも淳くんのカメラで撮っていたことが多かったんじゃない?
志尊 みんなで送り合っていたよね。フラッシュモブをしたこともあった!
平手 (笑)
志尊 3人で1つの曲を踊りたいねと話していたんです。たまたま僕とてち2人だけのシーンがあった日に「ダンスを教えてよ」とお願いして。2人とも踊れるようになってから、まーくん(岡田)を「この間3人で踊りたいって言ってたこの曲、ちょっと練習しようよ」と誘いました。それで曲をかけて、いきなり僕とてちが完璧に踊ってみせて。あのときのまーくんの驚いた顔は最高だった。
岡田 踊れる2人がうらやましかったんだよね。いつの間に練習したんだろうと思って。
平手 岡田さんは、そのあと何度かサビが来る中でちょっとずつ踊れるようになってきたんですよね。
志尊 かわいかった。
岡田 この映画を観てくださる方は、シリアスな作品の現場がこんな感じだとは思っていないだろうね(笑)。
志尊 だって僕、劇中で笑っていないもん。
岡田 俺もだよ!
平手 私も。
岡田 誰も笑っていない……? 滝藤(賢一)さんくらいだよね。
平手 え、笑ってました?
志尊 “ガチ笑い”はないんじゃないかな?
──撮影現場での滝藤さんは明るい方という印象がありました。皆さんにとってはどんな方でしょうか。
岡田 僕たちのモチベーションを上げてくださる先輩です。基本的におしゃべりが好きな方だよね? ずっと話している印象がある。自然と現場が明るくなるし、お芝居でも引っ張ってくださるので安心します。
岡田・志尊 (滝藤のマネをしながら)「あれってさー」「この前現場で」「あはははは!」ってね。
平手 私は滝藤さんとご一緒しているときは聞き役でした。「俺、こんな鍛えてるんだよ」と写真を見せてくださって。
岡田 確かにずっと筋肉の話をしていた。
志尊 しかもね、今もあの筋肉をキープしているみたい。
平手 すごい! そのときは「嫁に見せても何も言ってくれないから、平手ちゃん反応して」とお願いされました(笑)。
志尊 19歳に聞き役をさせるベテラン俳優(笑)。滝藤さんは「気を使わないで」という空気を出してくれる優しい方。
岡田 滝藤さんみたいなベテラン俳優、なかなかいらっしゃらないよね。
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自然と英莉可になれた(平手)