「お前、あの作品からアイデアを盗んだろ!」と言われた
──アーネストさんは日本の作品がお好きとのことですが、川原さんの作品はご存知でしたか?
アーネスト・クライン もちろんです。「ソードアート・オンライン」のアニメはアメリカでも放送されていたので、観ていましたよ。
川原 いやあ……本当に恐縮です。
クライン 周りのみんなが私に「観たほうがいい!」と強く薦めてきたんです。それと同時に「お前、あの作品からアイデアを盗んだろ!」と言われたこともあって(笑)。
川原 はははは! いや「ソードアート・オンライン」の物語は、「レディ・プレイヤー1」のOASISで起こっている出来事の1つに含まれてしまいますよ。それくらいスケール感が違いますから。「ソードアート・オンライン」の舞台であるアインクラッドを、OASISにある惑星の1つにしてほしいくらいです。
クライン ありがとうございます。私たちはおそらく似通った想像力を持っているんだと思います。2人ともVRをテーマにした作品を手がけていて、劇中のクリエイターがプレイヤーたちにクレイジーなチャレンジを突き付けるところも共通している。
──逆に異なっている部分はどうお考えでしょうか。
クライン 川原さんのほうが現実世界をエレガントに描いていますよね。
川原 エレガントですか!?
クライン 時代設定の違いはありますけど。「レディ・プレイヤー1」の現実世界は荒廃してしまっているので、仮にエレガントに描きたいと思っても難しいですから。
手塚治虫、大友克洋、押井守──数々の傑作にインスピレーションを受けてきた
──アーネストさんは日本の作品に触れて育ってきたと公言されています。
クライン 手塚治虫さんの「マグマ大使」や大友克洋さんの「AKIRA」など日本のポップカルチャーは昔から大好きです。それに「ストリートファイター」といったゲームもプレイしてきました。
──VRものって「攻殻機動隊」や「マトリックス」のようなマスターピースがたくさんあると思うんですが、何か影響を受けた日本の作品はありますか?
クライン 押井守監督の「GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊」はもちろんですし、実写映画の「アヴァロン」にもインスピレーションを受けました。
川原 「アヴァロン」ですか!? あれは僕最高のVR作品だと思ってます。
クライン やっぱり好きなものも似ていますね。私たちはそういった作品から刺激を受けてきたので、生み出す作品も似てくるのかなと。
川原 僕は「アヴァロン」に影響を受けて「ソードアート・オンライン」の銃で戦うチャプターを書いたんですよ。
- 「レディ・プレイヤー1」
- 2018年4月20日(金)全国公開
- ストーリー
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そう遠くない未来。環境汚染やエネルギー危機により人類はスラム街での暮らしを余儀なくされ、人々の唯一の希望は超リアルな理想郷・VRワールド[OASIS(オアシス)]だった。ある日OASISの創設者から、全世界に向けてメッセージが発信される。この広大な世界に隠されたイースターエッグを最初に見つけた者はOASISを継承できるというのだ。今、全人類による史上最大の宝探しアドベンチャーの幕が開ける!
- スタッフ / キャスト
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- 監督:スティーヴン・スピルバーグ
- 原作:アーネスト・クライン「ゲームウォーズ」(SB文庫)
- 脚本:ザック・ペン、アーネスト・クライン
- 美術:アダム・ストックハウゼン
- 音楽:アラン・シルヴェストリ
- 出演:タイ・シェリダン、オリヴィア・クック、マーク・ライランス、サイモン・ペッグ、T.J.ミラー、ベン・メンデルソーン、森崎ウィン
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- アーネスト・クライン
- 1972年3月29日生まれ。小説家。2011年にアメリカで発表されたデビュー作「Ready Player One」がベストセラーとなり、その後「ゲームウォーズ」のタイトルで日本でも出版される。映画「レディ・プレイヤー1」ではザック・ペンとともに脚本を担当。スター・ウォーズのファンを主軸にしたコメディ「ファンボーイズ」や、ドラマ「Red vs. Blue(原題)」といった作品にも携わってきた。
- 川原礫(カワハラレキ)
- 1974年8月17日生まれ、群馬県出身。小説「アクセル・ワールド」で第15回電撃小説大賞の大賞に輝きデビューを果たす。その後「ソードアート・オンライン」や「絶対ナル孤独者」を発表。松岡禎丞や戸松遥をキャストに迎え製作されたテレビアニメ「ソードアート・オンライン」は絶大な人気を博し、2017年には「劇場版 ソードアート・オンライン -オーディナル・スケール-」が公開された。九里史生、攻打引という別名義を持っている。
2018年4月6日更新