スティーヴン・スピルバーグの監督最新作「レディ・プレイヤー1」が4月20日に全国で公開される。本作はバーチャル世界[OASIS(オアシス)]を舞台に、現実世界をも巻き込んで繰り広げられる史上最大の宝探しアドベンチャーだ。
映画ナタリーでは、今話題のゴールデンウイーク映画の魅力を紐解く特集を展開。第1弾として日本のポップカルチャーに触れて育ったという原作者アーネスト・クラインと、小説「ソードアート・オンライン」の著者・川原礫の対談をセッティングした。VR世界を題材にした作品を生み出し、自分たちが似通った思考を持っていると認め合う2人。彼らが考える、すぐそこにある未来とは?
取材・文 / 小澤康平 撮影 / ツダ商会
スケールが桁違い。VR世界と現実世界の対比が素晴らしい
──今回は「レディ・プレイヤー1」の原作・脚本を手がけたアーネストさんと、本作に近い設定を持つ小説「ソードアート・オンライン」の著者・川原さんとの対談を組ませていただきました。川原さんはすでに原作を読んでいると伺ったのですが。
川原礫 読んでます。でも実は半分しか手を付けていないんですよ。残りは4月に映画を観てからにしようと思って、我慢してるんです。
──なるほど(笑)。前半部分を読んで、どういった魅力を感じましたか?
川原 確かに自分の作品と設定は似ているんですが、VR世界のスケールの大きさが桁違いで。それとVRを題材にした作品を書くと、どうしても作者は仮想空間の描き方に集中してしまうと思うんですが、現実世界の社会情勢もしっかりと描かれているんですよね。エネルギー危機や、都市に人口が集中して土地が足りなくなってしまう問題など、近い将来に実際起こり得るであろう事態がリアルに表現されている。仮想世界と現実世界の対比が素晴らしいです。
──予告編を観る限り、映画でもそのあたりは綿密に描写されていそうです。
川原 トレーラーを積み上げて人々が暮らしているという、スタックパークのビジョンが本当に最高だなと。完全にやられてしまいましたね。もうあそこで暮らしたいです。
次のページ »
「お前、あの作品からアイデアを盗んだろ!」と言われた
- 「レディ・プレイヤー1」
- 2018年4月20日(金)全国公開
- ストーリー
-
そう遠くない未来。環境汚染やエネルギー危機により人類はスラム街での暮らしを余儀なくされ、人々の唯一の希望は超リアルな理想郷・VRワールド[OASIS(オアシス)]だった。ある日OASISの創設者から、全世界に向けてメッセージが発信される。この広大な世界に隠されたイースターエッグを最初に見つけた者はOASISを継承できるというのだ。今、全人類による史上最大の宝探しアドベンチャーの幕が開ける!
- スタッフ / キャスト
-
- 監督:スティーヴン・スピルバーグ
- 原作:アーネスト・クライン「ゲームウォーズ」(SB文庫)
- 脚本:ザック・ペン、アーネスト・クライン
- 美術:アダム・ストックハウゼン
- 音楽:アラン・シルヴェストリ
- 出演:タイ・シェリダン、オリヴィア・クック、マーク・ライランス、サイモン・ペッグ、T.J.ミラー、ベン・メンデルソーン、森崎ウィン
©2018 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. ALL RIGHTS RESERVED.
- アーネスト・クライン
- 1972年3月29日生まれ。小説家。2011年にアメリカで発表されたデビュー作「Ready Player One」がベストセラーとなり、その後「ゲームウォーズ」のタイトルで日本でも出版される。映画「レディ・プレイヤー1」ではザック・ペンとともに脚本を担当。スター・ウォーズのファンを主軸にしたコメディ「ファンボーイズ」や、ドラマ「Red vs. Blue(原題)」といった作品にも携わってきた。
- 川原礫(カワハラレキ)
- 1974年8月17日生まれ、群馬県出身。小説「アクセル・ワールド」で第15回電撃小説大賞の大賞に輝きデビューを果たす。その後「ソードアート・オンライン」や「絶対ナル孤独者」を発表。松岡禎丞や戸松遥をキャストに迎え製作されたテレビアニメ「ソードアート・オンライン」は絶大な人気を博し、2017年には「劇場版 ソードアート・オンライン -オーディナル・スケール-」が公開された。九里史生、攻打引という別名義を持っている。
2018年4月6日更新