いい子なんですよ! うちのリクは! 本当に!(潘)
──では “ウルトラマンガチ勢”のお二人と「劇場版R/B」の話を、ネタバレありでできればと思います。濱田さんは「劇場版 ウルトラマンジード つなぐぜ! 願い!!」の取材の際に「Twitterでエゴサーチばっかりしてる」と話されていました(参照:「劇場版 ウルトラマンジード つなぐぜ! 願い!!」濱田龍臣×坂本浩一インタビュー)。今回、エゴサしていて気になる反応はありましたか?
潘 アカウント持ってなくても、エゴサーチは誰でもできますもんね(笑)。
濱田 皆さん、いろんな考察をしてくださるんですよね。それぞれ自分なりに「ここはこういう理由なのでは?」とか、そこまで考えてくれるんだなとファンの皆さんの愛を感じて、すごくうれしいです。
潘 将来に悩んでいたカツミが、デザイナーを目指すじゃないですか。親友のゆきおくんはゲーム開発をしていたから、あの2人はいつか交わるんじゃないかな?とか。私も勝手に妄想しちゃいました。
──ゆきおくんはゲームの仕事を辞めたあとも自宅で怪獣のデザインをやっていたから、怪獣デザイナーになりたいという夢があるのかもしれないですよね。
濱田 ああ、確かに。いいですね。
潘 あと、お父さんのウシオさんもカツミのことは薄々わかっていたんじゃないかなと。最後にカツミの絵を見て「イタリアにデザイナーの知り合いがいるんだけど」って言い出すじゃないですか。あれは「もしかしたらカツミがデザインに興味を持ってくれるかもしれない」と思って準備してないと、あんなこと言えないですよ! やっぱり「R/B」は家族の物語というか、血のつながりの話なんだなって。そして、映画ではその家族の中にリクがいる“胸熱さ”ですよ。
──リクとアサヒの会話のシーンは印象的でした。
濱田 ホントに、あのシーンはね……。いいシーンですよね……。
潘 いいよねー! 湊家とリクのみんなで、すき焼きでワッと盛り上がったあとに2人が夢を語り合うというか……。
──すき焼きを食べるシーンもよかったですよね。兄弟がお肉を取り合ったあとにリクが「しらたきおいしいです」って言ってましたけど、自分が招かれている状況であれはなかなか言えないですよ(笑)。
濱田 なかなかいいやつですよね。
潘 いい子なんですよ! うちのリクは! 本当に!
濱田 (笑)。リクは「ジード」のテレビシリーズでも、(愛崎)モアの家に居候することになったときに「愛崎家の皆さんの邪魔者にならないようがんばります」と言っているんですよ。
──子供なのに気を使いすぎですよね。
濱田 しらたきの一言も、そういう気を使ってしまう部分が出ているのがいいなあって。あのすき焼きのシーン、実はもうちょっと長いんです。リクがしらたき食べたあと、兄妹がわちゃわちゃしてるのを見ていたら、お母さんのミオさんがすき焼きの鍋に2リットルのコーラをダバダバー!って入れるんです。それを見たウシオさんが「何してるの!?」みたいな感じで、また湊家の5人がわちゃわちゃし始めて、リクがそれを見ながらほほえむカットがあったんです。リクは料理に一番手出しできる立場であるミオを見て「これがお母さんというものか」と思っただろうし、僕からしたらリクの優しい顔を見て「どうした、お前!?」っていうのもあるし。
潘 なんだろうね、リクの生い立ちがあるからこそ、そこが響くんだろうね。ホントだったら寂しいはずじゃないですか。だけどそこを温かく見守れるリクはいいなと思います。
濱田 絶妙にしんどいポイントでもあるし、なおかつ胸がほっこりする部分でもあったりして。
潘 「ジード」の星雲荘の面々も家族だったとは思うんですよ。血のつながり以外での強く深い絆の疑似家族というのがあって。だから「ジード」から「R/B」の流れは、“家族”というテーマが共通してあるのかなって。
──疑似ではあるけど仲間であり家族というものを「ジード」で扱ったあとに、「R/B」ではしっかりと本当の血縁を描くという。
潘 リクはベリアルとの血のつながりもあるし、これまでの人生でも愛崎家に混ざり合うのはもちろんあったと思うんですけど、映像で家族との交流が描かれるのはこれが初めてですからね。
濱田 「ジード」と「R/B」、映画で共演すると関係性の対比が余計に際立ちますよね。「ジード」しか観ていなかった人たちにもぜひ今回の映画を観てほしいです。
潘 でも「劇場版R/B」を見るとやっぱり、私目線ではやっぱりジードびいきになっちゃうんですよ。変身シーンとかを観ていると、リクの顔がどんどんたくましくなっていくのがいいなーって。
濱田 一番若いときのジードプリミティブから、ロイヤルメガマスター、ウルティメイトファイナルの変身バンクで昔撮った映像が使われてますからね。(変身シーン以外は)普通のリクもいるので、4段階の僕が映っているから、ひたすらに恥ずかしいですよ(笑)。
──リクの成長はほかにどんなところで感じましたか。
潘 「劇場版ジード」でのリクは心が折れかけたりもしていましたけど、もう今回はそれを乗り越えて、カツミたちに「あきらめちゃ駄目だ!」と背中を押す姿がカッコよかったです。もう親心で観ていましたよ。リクーーー!って叫びたい。
──リクは「劇場版ジード」のときは、先輩のガイさんからウルトラマンの魂を伝授された立場だったので、今回はそれを後輩につなげるというか。
濱田 ガイさんはリクより歳上だし、風来坊として長く生きていたからこそ、リクには強く言いすぎない感じがありましたよね、諭すというか。でもリクはカツミたちに直接「あきらめちゃ駄目だ」って言うのが「あー、いいなー!」と。ガイさんとリクって、テレビシリーズ最終回の変身も対照的なんですよ。ガイさんは走りながら変身していたのに、リクはおとなしく歩きながらだったので、そういうところも「ああーーっ!」って。
潘 そういうのは偶然なのかわざとなのかわからないですけど、演出の意図がすごいですよね。
──さっきからお話を聞いて気になっているんですけど、濱田さんは自分で演じたリクに対して「リクいいやつだな」とか、「いいなー!」「ああーっ!」って思っているのがいいですね。
濱田 リクを演じている自分と、半ばおじさんの、ウルトラオタクの自分がいるんですよ。上から見ているもう1人の自分が「はぁーっ!」って思いながらリクをやってるんです。演じていてすっごい面白いですよ。
いつかニュージェネ大集合の映画をお願いします!(濱田)
──あと「劇場版R/B」の大きなトピックとしては、久々の女性型ウルトラマンであるウルトラウーマングリージョの登場がありますね。潘さんは昔から「ウルトラマンになりたかった」とインタビューなどで語られていましたが、グリージョをご覧になっていかがでしたか?
潘 やっぱりウルフェスでも年々、女性のお客さんが増えてきていると思うんです。そしてたぶん、全ウルトラ女子みんなが「女の子でもウルトラマンになりたい」と夢を持っていると思うんです。だからアサヒちゃんはみんなの夢を叶えてくれたなーって。今まで女の子のウルトラマンって限られていたので。
──女性型ウルトラマンは、誰以来と言えばいいのかちょっと定義は難しいですけど。
潘 そうなんですよね、(名前に「ウルトラウーマン」とは付いていないが女性型戦士の)ユリアンとかいますからね。
──濱田さんの好きなジャスティスも変身前のジュリが女性で……。
濱田 (さえぎって)ジャスティスは性別を超越した存在なんですよ。確かにジュリの見た目は女性ですけど、変身後はすごく男性的ですし、だからと言って男性と言い切ることもない、性別を超越した存在ということで、ひとつよろしくお願いします(となぜか頭を下げる)。
──(笑)。グリージョは「ウルトラウーマン」と名前の付くキャラでは、ウルトラウーマンベス以来ですかね。
潘 しかもグリージョは1人じゃなくて、ツルちゃん(美剣サキ)と一緒に変身するっていうのがもう、胸熱で! いやー、流れがわかってるなあ!みたいな。この2人の友情もまた、血縁ではない部分での分厚い絆だなって思いました。
──“悪のウルトラマン”として映画に登場したトレギアについてはどういった印象でしたか?
潘 魅力的でしたねー。おてての演技が色っぽかったです。最後、やられたあとの「勉強になったーっ!」ってセリフがちょっとコミカルなのも、愛染社長からの流れというか、「R/B」らしさがあって。
濱田 はっきりと“悪”すぎないのがトレギアさんの魅力なのかなと。あと公式サイトとかでは「ウルトラマントレギア」と紹介されてますけど、作中では「私の名はトレギア」としか言ってないんです。だからウルトラマンとの関連性含め、今後どうなるのかすごく気になっています。
潘 最後に「またな」と言ってるんで、この1回だけじゃない、絶対またどこかで会えるような気がしますよね。
──このたび発売されるBlu-ray 特装限定版 / DVDでじっくり見返してほしいシーンはありますか?
潘 私、最後のあのポーズがうまくいかないのが好きです。
──カツミとイサミがいつもやる、拳を上下からぶつけ合ったあとハイタッチするという決めポーズ(=「ルーブタッチ」と呼ばれる)を、リクも入れた3人でやるとグチャグチャになってしまうという(笑)。
潘 「練習しときます」と言っていたから、次にまた会うかもしれないと思えましたし。
濱田 あれ、カツミ(役の平田雄也)、イサミ(役の小池亮介)、アサヒ(役の其原有沙)とイベントに出演するときは、ステージに出る前に4人でやるんですよ。
潘 難しくない!?
濱田 4人だと本当にべちゃべちゃーって感じになるんですけど、そのまま気合い入れて舞台に出ます(笑)。
潘 あはは、かわいい! それ観たい! またやったら撮っておいてほしい(笑)。
──最後になりますが、ウルトラマンの「ニュージェネレーションヒーローズ」というくくりも「R/B」で6作目です。今後に期待することなどありますか。
濱田 僕はとりあえずニュージェネ大集合の映画が観たいという一言に尽きますよね。
潘 確かにそれは観たい!
濱田 これは田口監督も、坂本(浩一)監督もやりたいとおっしゃってくれているんですよ。だからその2人にメガホンを取っていただいて、特撮にもアクションにも全力を尽くした映画が観たいです! ファン目線としても観たいですし、役者目線としてもやりたいです。
潘 でも出てくる人たちがみんな自由だぞ!
濱田 誰もまとまってくれない(笑)。
──監督が大変そうですね(笑)。
濱田 いろいろ難しいとは思うんですが、何かのきっかけで円谷プロ様がやってくださると信じております。
──ぜひ実現させてほしいです。今日は長々とありがとうございました。
濱田 いやー、今日は楽しかったですね。まだまだしゃべってられますよ。
潘 「ウルトラ24時間」みたいな番組やりたいよね。
濱田 怪獣図鑑とか開きながらね。ウルトラマンの話だったら24時間は余裕ですよ。それでも3分の1しゃべりきれるかどうかぐらいじゃないですか。
潘 だって50年以上の歴史があるんだもんね。
濱田 72時間でもいけます。もしそういうイベントやるならその中で「コスジャス」の上映会もやりたいですね。僕はひたすら左胸を押さえながら、はあ……!とか言ってるだけだと思いますけど(笑)。
※記事初出時、発言内容の一部に誤りがありました。お詫びして訂正します。
- 「劇場版ウルトラマンR/B セレクト!絆のクリスタル」
- 2019年7月26日(金)発売
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特装限定版 [Blu-ray]
7344円 / BCXS-1452
- 封入特典
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SPECIAL DISC
- 劇場版ウルトラマンR/B メイキング<ドラマ編>
- 劇場版ウルトラマンR/B メイキング<特撮編>
- 湊兄妹×リク ビジュアルコメンタリー(出演:平田雄也、小池亮介、其原有沙、濱田龍臣)
- 2019/2/19 完成披露舞台挨拶レポート完全版
作品解説書(24ページ / オールカラー)
- 映像特典
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- ノンテロップエンディング
- 劇場予告&TVスポット
- 仕様
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- 特製三方背ブックケース
※内容・仕様は予告なく変更する場合がございます。
発売・販売元:バンダイナムコアーツ
©劇場版ウルトラマンR/B製作委員会
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通常版 [DVD]
4104円 / BCBS-4952
- 封入特典
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作品解説書(6ページ / オールカラー)
- 映像特典
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- ノンテロップエンディング
- 劇場予告&TVスポット
※内容・仕様は予告なく変更する場合がございます。
発売・販売元:バンダイナムコアーツ
©劇場版ウルトラマンR/B製作委員会
- 濱田龍臣(ハマダタツオミ)
- 2000年8月27日生まれ、千葉県出身。子役として、2010年放送のNHK大河ドラマ「龍馬伝」やテレビドラマ「怪物くん」に出演して注目を集める。その後も「ガッチャマン」「疾風ロンド」といった作品に参加。特撮ドラマ「ウルトラマンジード」、テレビドラマ「モブサイコ100」で監督の坂本浩一とタッグを組んだ。近年の出演作にテレビドラマ「花のち晴れ~花男 Next Season~」、AbemaTVオリジナルドラマ「1ページの恋」などがある。
- 潘めぐみ(ハンメグミ)
- 1989年6月3日生まれ、東京都出身。2011年に「HUNTER×HUNTER」の主人公・ゴン=フリークス役で本格的に声優として活動を始める。主な出演作品に「機動戦士ガンダム THE ORIGIN」セイラ・マス役、「ハピネスチャージプリキュア!」白雪ひめ / キュアプリンセス役、「怪獣娘 ~ウルトラ怪獣擬人化計画~」エレキング役、「リトルウィッチアカデミア」アツコ・カガリ役、特撮ドラマ「ウルトラマンジード」ペガッサ星人ペガ役など。Netflixで配信中の「ULTRAMAN」には北斗星司 / ACE役で出演。2019年4月6日より放送中の「フルーツバスケット」に草摩紅葉役で出演している。
2019年4月17日更新