僕も負けないくらいゾワッとしました(北村)
──今回の「OVER DRIVE」の現場を通して、特に刺激を受けた部分や、撮影が印象的だったシーンはありますか?
新田 やっぱり、匠海が本当に終始いい表情をするんですよ。「うわ、いいなあ」って、ゾワッとする。匠海にしかできない芝居なんです。
北村 褒めっぷりがすごいな!
新田 本当にいい顔をしてくれるんだ。欲しい。あのときは勉強になりました。
北村 僕は、2人が試合前に記者会見をしているシーンが印象的です。マッケン演じる直純が、記者からの「自信はありますか?」っていう質問に「誰に言ってんの?」と返したときは、僕も負けないくらいゾワッとしました。あのシーンでは僕らの感情がリアルにぶつかり合っていたんです。僕が出ていないシーンでも、マッケンのいい芝居がたくさんあって、完成版を観たあとに「これはマジで、マッケンのすべてが詰まった映画だよ!」ってくらい興奮して、メッセージを送ったんです(笑)。
新田 実際、僕が本当にラリードライバーだったらあんな感じになっていたんだろうなと思う。
北村 すごいことだよ。
新田 記者会見シーンではまた、匠海が演じる新海の、あの冷静なコメントがね……。
北村 僕ももしラリードライバーだったら、新海みたいな感じだったと思う。
──お互い、キャラクターとご自身が近かったということですか?
北村 そうですね。
新田 でも演じてみると、自分自身と似ているとか、似ていないとかは関係ないので。「自分と役は似ていますか?」って聞かれても、正直困ることがあって。実際、現場ではそういうことをあんまり考えずにやっているんです。完成したものを観て思うことはたくさんあるんですけど。
北村 ああー。いろいろな役を演じていくと、もはやわからなくなってくるかもしれない。
──今回は敵対する役どころでしたが、これだけ親しいと現場ではあまり仲良くしすぎないように意識していたのでしょうか?
新田 全然、そんなことはないです。
一同 (笑)
北村 すごかったんですよ。僕が遅れて現場に行ったら、遠くのほうからDISH//の「僕たちがやりました」っていう曲が聞こえてきて、大声で歌っている人がいて……マッケンだ!みたいな。会うなり「待ってたよ」って言われて。
新田 ははは。ロケ地の北九州で、ずっとこの人のこと待ってたんです。
北村 そのまま「とりあえずバナナ食べようぜ」って言われて、バナナ食べて。体作ってたからね(笑)。
新田 そうだね。
次に共演するとしたら、バディものをやりたい(新田)
──学生役だった「仰げば尊し」と比べて、プロのドライバーという役柄を演じて、変化を感じたことは?
北村 マッケンは、人間性としてはブレずにまっすぐ行っているんですけど、お芝居はいい意味で変わったというか。お互い再共演するまでにいろいろな作品を経験してきたこともあって、「仰げば」のときとは違うマッケンを見て、幅の広さがすごいなと思いました。それは、現場に入って1シーン目で感じました。
新田 俺はもう、匠海に追いつこうと必死にがんばってました。
北村 やめい、やめい(笑)。僕が追いかけとるんじゃ、今。
新田 僕は自分が本当に俳優には向いていないと思っているんですけど、匠海は同世代でどうしてあの芝居ができるんだろう? どういう人生を歩んできたんだろう?っていう興味を持たせてくれる人でもあるんです。
北村 怖い(笑)。ずっと僕のこと褒めてるじゃん、今日。
──ちなみに今回はライバル役でしたが、もしまた次に共演するとしたら……。
新田 (即答で)バディ! 匠海とバディものやりたいです。
北村 いいね。バディものはまだ経験ないし、楽しそうですね。
新田 ここまで来たらやるしかないよ(スタッフに視線を送る)。
一同 (笑)
俺、一生匠海と一緒に撮っていたい(新田)
──この映画では、表舞台に立つドライバーと、それを陰で支えるメカニックの姿が対照的に描かれていました。俳優という、スポットライトの当たる職業だからこそ感じる苦労はありますか?
北村 難しいんですけど、表に立っている時間より、そこに至るまでのプロセスのほうが長いので、やっていることはけっこう地味だったりするというか……。細かいシーンを地道に撮っていって、休みの日は部屋にこもってほかの俳優さんのお芝居を観たり、自分の演技を分析したり、映画を観て勉強したり。楽な仕事なんて世の中にはないと思いますけど、そういう作業は大変だなあって思います。表に立っているときはキラキラして見えるんですけどね。
新田 “俳優”っていうのはどうしても、ある意味で“商品”なので、もちろん生きたいようにばかりは生きられない。そういう宿命はありますが、いろいろな方に夢を与える仕事でもあるので。僕はとにかく、自分自身がこの仕事をやりたいと思わせてもらったように、たくさんの方に夢を与えていけたらいいなと思っています。
──このページはメカニックチームの座談会との2本立てになりますので、東出さんと町田啓太さんの印象を伺いたいのですが。
北村 お二人は、ほんっとうに素敵でいい人です!
新田 うん、本当にいい人。僕に心を開いてくれて、一緒にふざけてくれる、遊んでくれるような人たちでした。
北村 僕は遅れて現場入りしたので、スピカチームの方々の関係性がもうできあがっていたんですよ。僕は敵チームだからそれでもいいか、と思っていたんですけど、優しく迎え入れていただいて。
新田 みんな友達って感じだったね。兄貴(東出)は本当に、役そのままのイメージだと思います。真面目で、いい人で。
北村 僕はよく、マッケンの部屋に遊びに行ってたんですよ。そうすると、決まって東出さんが遅れて入ってくるっていう(笑)。
新田 そうそうそう。みんなで夜に他愛もない話をしながら、一緒に1カ月間過ごしていました。
──ありがとうございます。では最後に、ドライバーパートならではの本作の見どころを教えてください。
北村 やっぱりレースシーンはすごいよね。
新田 そうだね! お互い、車の運転席で悔しがるシーンがあるんですけど、すごくいいなと思いながら観ていました。顔はヘルメットでほとんど隠れているんですけど、その中での北村匠海の芝居がいいんだあ……。本当に、繊細で……。
北村 いやいや、レースシーンに関してはマッケンのほうが絶対うまかったから。
新田 いや! 芝居の質ではお前のほうが全っ然よかったから! 細かいところまで研究してたんだなあって、感動だったよ。こうやって話しててもすごくうれしいですよね。俺、一生匠海と一緒に撮っていたい。
北村 ははは。とにかくレースシーンはアツいものになっています。ラリーの映画ですし、迫力がすごいですから、特に注目してほしいですね。
新田 そうだね! そして男たちのぶつかり合い、兄弟の愛、ライバルとの戦い、チームの決断力っていうさまざまな要素が詰め込まれているので、ラリーがまったくわからない人が観ても楽しめる映画になっています。僕は観たあとに「兄弟に会いたいな」と思いました。兄弟がいない人は、絶対に欲しくなる。そして明日への希望や、やる気をもらえる作品だと思います。
新田真剣佑と北村匠海演じるドライバーのライバル関係を描く、
羽住英一郎監修のスペシャルムービー公開中!
- 「OVER DRIVE」
- 2018年6月1日(金)全国公開
- ストーリー
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公道での自動車競技“ラリー”の世界最高峰、WRC(世界ラリー選手権)。その登竜門である国内トップカテゴリーのSCRS(SEIKOカップラリーシリーズ)では、若き才能たちがしのぎを削っていた。WRCへのステップアップを目指すスピカレーシングファクトリー所属の天才ドライバー・檜山直純は、真面目で確かな腕を持つメカニックの兄・篤洋の助言を無視し、リスクを顧みない勝ち気なレースを展開。ラウンドごとに衝突を繰り返す2人だったが、ある日直純の新しいマネジメント担当の遠藤ひかるがやってきて……。
- スタッフ / キャスト
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監督:羽住英一郎
脚本:桑村さや香
音楽:佐藤直紀
主題歌:WANIMA「Drive」(unBORDE / Warner Music Japan)
出演:東出昌大、新田真剣佑、森川葵、北村匠海、町田啓太、要潤、吉田鋼太郎
©映画「OVER DRIVE」製作委員会
- 新田真剣佑(アラタマッケンユウ)
- 1996年11月16日生まれ、アメリカ・ロサンゼルス出身。2014年春より日本で芸能活動を開始し、2015年に本格的な俳優活動を始める。2016年公開「ちはやふる」シリーズの綿谷新役で注目を集めた後、「チア☆ダン~女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話~」「ピーチガール」「ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章」などに出演。ハリウッド作品「パシフィック・リム:アップライジング」では、日本人の青年リョウイチを演じた。出演映画「劇場版 コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-」が7月27日に公開予定。
- 北村匠海(キタムラタクミ)
- 1997年11月3日生まれ、東京都出身。2008年、「DIVE!!」でスクリーンデビュー。主な出演作に「あやしい彼女」「ディストラクション・ベイビーズ」「恋と嘘」「勝手にふるえてろ」などの映画や、「仰げば尊し」「ゆとりですがなにか」といったドラマがある。2017年には「君の膵臓をたべたい」で映画初主演を務め、日本アカデミー賞新人俳優賞に輝く。2018年冬には「春待つ僕ら」が公開される。ダンスロックバンドDISH//のメインボーカル兼ギターとしても活動中。
2018年5月30日更新