「武川さんの1日」的なスピンオフは楽しそう(徳尾)
──サウナで春田、黒澤、牧、狸穴、ジャスティスの5人が鉢合わせするシーンはとにかくハチャメチャで、バラエティ番組を観ている気分になりました。ドラマ第2話での屋上バトルシーン再び、という感じで。
徳尾 実はサウナのシーンは最後の最後までなかったんですが、貴島さんの意見で台本が完成する直前に入れたんです。「今『おっさんずラブ』に求められているのはなんだろうか」ということを常に更新し続けている人なので、彼女が言うなら間違いないだろうと僕ら作り手は思っていました。あのシーン、入れてよかったなと思っています。
──脚本の完成間際まで試行錯誤があったんですね。「劇場版おっさんずラブ展」でボツ原稿を拝見したところ、狸穴がまったく別のキャラクターとして登場していたので驚きました。
徳尾 去年の9月ぐらいまでは、とある島でのリゾート開発を舞台にして物語を積み上げていたんです。そのときの台本ですね。結果的にはボツにしたんですけど。
──以前、眞島秀和さんに取材した際、連続ドラマ版の打ち上げで徳尾さんが「続編はいくらでも書ける」とおっしゃっていたと伺ったんですが、そういった世に出ていないアイデアはまだまだあるんでしょうか?(参照:「おっさんずラブ」眞島秀和インタビュー)
徳尾 眞島さんで言うと、貴島さんと最近よく「武川さんの1日」的なスピンオフは楽しそうだよね、っていう話をしてます。チャンスがあるなら単発で1時間とかやってみたい。今回の映画の中でも武川やマロの物語はもちろんありますけど、1人ひとりをもっと掘り下げた話もたくさん思い浮かぶので、いつかやりたいですね。スピンオフってなんだか責任から解き放たれて自由に考えやすいです。
──それはすごく面白そうですね。実現を祈っています! 劇場版の話に戻りますが、完成した作品をご覧になって、脚本から離れた部分で徳尾さんが印象に残っているシーンはありますか?
徳尾 恋愛絡みのシーンでドキッとしたのは、春田と牧が帰り道、駅前で別れる場面。振り返ってもまだお互いのことを見ているのがよかったですね。台本上はそう書くしかないので、その場を去るだけで次のシーンに行っちゃうんですけど。そこをどう次につなげていくか、2人の関係をどう作るかという部分に監督のこだわりを感じました。瑠東さんはああいうことをやる人ではなかったので、新しい恋愛でもしたのかなって思いましたね(笑)。
瑠東 あはははは(笑)。あれは僕がやりたいと言って撮ったんですよね。個人的には伏線にもなっているつもりで撮ってみたので、注目して観てもらえるとうれしいです。
CHARACTERS
- 春田創一(田中圭)
- 天空不動産に勤めるお人好しのサラリーマン。うつ伏せで寝る派。ドラマ版では尊敬する黒澤部長と後輩の牧から同時に好意を寄せられ一時は混乱したものの、牧への思いが芽生えプロポーズをした。劇場版では上海・香港勤務を経て東京第二営業所に復帰。久々に牧と過ごす時間を楽しみにしていたが……。