配役を聞いたときからわくわくしていました（徳尾）

──今回新たに加わった狸穴迅役の沢村一樹さん、山田正義（ジャスティス）役の志尊淳さんは、お二人ともハマリ役でしたね。

徳尾　話を先に作っている過程でキャスティングが決まったんです。もちろん、そこからご本人たちをイメージして少し脚本を書き換えたりはしました。でも、もとからぴったりな感じでしたね。配役を聞いたときからわくわくしていました。

瑠東　貴島（彩理プロデューサー）さんは「あの人をこの役にはめたらこうなる」という感覚がすごい人だなと思います。それに徳尾さんの構成もうまいんですよね。この人はこうしたら面白くなるんじゃないかって、本の段階から本人に寄せていく作業が面白かったです。

──新キャストのお二人は、チームができあがっている現場にどう入ってこられたのでしょうか？

瑠東　志尊くんは最初はどうしても探りながらになっていて。この組に入るのが初めてなので当然なんですが。そこで圭くんが初日に食事会を開いてくれて、“生身で演じること”やジャスティスをどう表現していくかをそれぞれ意見を出し合って。すると、翌日ガラッと芝居が変わったんです。本当に素敵にジャスティスという役に息を吹き込んでくれた。あるシーンでは展開と心情をリンクさせることがすごく難しかったんです。でも、そこに徳尾さんが書いたセリフが志尊くんのすごい表現を引っ張り出した。そのおかげで彼のキャラクターをより深く素敵に描くことができました。あのセリフは秀逸でしたね。

徳尾　志尊くんはああいう芝居がとっても上手ですよね。

瑠東　うまいですねえ。徳尾さんは以前にも「走れ！T校バスケット部」でご一緒されてますもんね。沢村さんには「おっさんずラブ」の世界を楽しんでもらって、そこから何が生まれるのか、僕も楽しみにしていました。沢村さんは最後の最後までいろんな表現にチャレンジしてくださって、狸穴の存在感は本当にすごかった。

──吉田鋼太郎さん演じる黒澤部長との掛け合いも息ぴったりでした。

徳尾　狸穴と黒澤がキスしそうな距離感で対峙する場面は最高でしたね。当初はもう少し会話がシリアスだったんです。監督は脚本の一部分に対して細かく言う人じゃないけど、あのシーンでは「真剣な場面だけど、セリフ自体はもっと面白くしても成立するはず」と妙にこだわっていた。監督の提案で、狸穴が「プリーズ、ハリー、アップ」と言い放ったあとに黒澤のセリフを足して、最終的にすごく面白くなったんです。そうやって監督と僕で調整するところもありました。

瑠東　徳尾さんの脚本はアイデアが乗せやすいんですよね。俳優部も同じように感じていると思うんですけど。土台がしっかりしているからこそ、アレンジしたときに面白くなるんだと思います。