中国ドラマ「狼殿下‐Fate of Love‐」のBlu-ray / DVDセットが1月7日より順次リリース。「私の少女時代-Our Times-」のダレン・ワン、「慶余年 ~麒麟児、現る~」のリー・チン、「陳情令」のシャオ・ジャンが共演した本作では、宿命を背負う姫と彼女を愛する2人の男の姿が描かれる。
映画ナタリーでは、本作の魅力に迫る特集を展開。第1弾では辛酸なめ子とよしひろまさみちの対談をセッティングし、キャストの魅力や作品の見どころを語ってもらった。また第2弾では「昭和元禄落語心中」などで知られるマンガ家・雲田はるこのインタビューをお届け。中国ドラマ初体験で感じた魅力とは?
取材・文 / 金子恭未子
「狼殿下‐Fate of Love‐」ストーリー
煬国奎州(けいしゅう)城の姫、馬摘星(ばてきせい)は、狼に育てられた狼仔(ろうし)と心を通わせ初恋を育んでいた。しかし、ある日、狼仔は殺人を疑われ追われる身に。摘星は彼を逃がすためにわざと冷たく突き放すが、狼仔は崖から落ちて生死不明となってしまう。それから8年、狼仔を思い続けてきた摘星の身に、一族を殺されるという悲劇が起きる。生き延びた彼女は煬国の第3皇子・渤王(ぼつおう)に命を救われ、王命で彼と婚約。摘星は冷たい渤王に戸惑いながらも、狼仔の面影を持つ彼に惹かれていく。そんな中、正体を隠した賞金稼ぎの風来坊・疾沖(しつちゅう)が現れ、3人の運命が大きく動き始める。
辛酸なめ子×よしひろまさみち対談
山を見るともしかして狼に育てられたイケメンがいるかもと思っちゃう(辛酸)
──近年中国ドラマの注目度が増してきていますが、お二人はどこが中華エンタメの入り口でしたか?
辛酸なめ子 美男子が出ている中国ドラマの入り口でいうとBL作品の「双程(そうてい)-A Round Trip To Love-」ですね。ストーリーも波乱万丈で、イケメンのレベルが高い。麺を両側からすすってる場面がよくて。そこから「陳情令」があるんだと知って観たら、異世界でロン毛のメンズが飛び交っていました。
よしひろまさみち あたしは香港映画から中華系にハマったんです。アンディ・ラウとか香港四天王が若手だった時代だから入り口は古い。それから追い続けてはいるんですけど、最近の中国ドラマって歴史ファンタジーばっかりになっちゃって、全部が全部付いていけてるわけではなく。途中でこれはダメかな?って思ったらやめたりもするんですが、「狼殿下」は面白かったですね。
──今回お二人に観ていただいた「狼殿下‐Fate of Love‐」では、煬国奎州(けいしゅう)城の姫、馬摘星(ばてきせい)と、彼女が思いを寄せる狼に育てられた狼仔(ろうし)、狼仔の面影を持つ煬国の第3皇子・渤王(ぼつおう)、そして風来坊・疾沖(しつちゅう)を軸に運命に翻弄される男女の姿が描かれます。
よしひろ 面白くできていますよね。ストーリーはベタ中のベタ。生き別れた因縁のある男と女が数年経ってまた再会する。ヒロインは家族を皆殺しにされたり、波乱万丈。あたしたち、ベタな物語は韓流で肌に染み込ませてきているので、来た来た来たよ! そう来ましたか!っていう感じで。
辛酸 女性の妄想を具現化してくれていますよね。山に天然ワイルドなイケメンがいるっていうのがすごく夢があります。山を見るともしかして狼に育てられたイケメンがいるかもと思っちゃう。
よしひろ 狼に育てられて、イケメンに成長するって、なんで?って感じよね(笑)。
一同 (笑)
──現実にはありえない世界観を堪能できるのも中国ドラマの大きな魅力ですよね。
よしひろ 中国の歴史ファンタジーのすごさってセットを本気で作っちゃっているところ。歴史ドラマをやらせたら、今は中国が一番じゃないですか? お金の使い方がおかしい。制作費が100億円の作品があったり、ドラマ1本になんぼ使ってるの!?って。中国だけじゃなくて、各国のチャイナタウンにいる人がこぞって観るので、数十億人がターゲット。お金を掛けてもペイできちゃうんです。「狼殿下」は中国ドラマらしいゴージャス感があって、そこがとてもよかった。
辛酸 中国の自然の豊かさも感じますよね。まるで漢詩の世界のよう。そしてそれに負けない美男美女で。
よしひろ 大自然に負けないイケメン(笑)。
辛酸 男女がお互いの命を救いあうみたいな愛のスケールも大きい。
よしひろ とにかくすべてがおおげさでいいですよね。せせこましい人間ドラマでやるとなんじゃこりゃ!になっちゃうけど、あれだけの舞台装置を作って、あれだけのエキストラと衣装を使うと全然OK。日本ではできないと思います。
イケメンにはやんちゃさ、少年っぽさが欲しい(よしひろ)
──スケールの大きさはもちろん、本作の大きな見どころの1つは、摘星と渤王、そして疾沖の三角関係です。渤王を「私の少女時代-Our Times-」のダレン・ワン、疾沖を日本でも大ヒットした「陳情令」のシャオ・ジャンが演じています。
辛酸 ちょっと前に計算したんですけど中国には、14億人近い人口がいて、7億人ぐらい男性がいるんですよ。その中でクラスのトップを取れるイケメンが2%だとすると、1400万人ぐらい美男子がいるんです。
よしひろ イケメン競争社会ですよね。
辛酸 イケメンがひしめいている中で、歌ができたりアクションができたり、体を鍛えていたり能力が高い人じゃないと世の中に出ていけない。今回の2人もその中で生き残ってきた方だなって。台湾出身のダレン・ワン演じる狼仔 / 渤王はワイルドさがあって、寝汗すらセクシー。シャオ・ジャン演じる疾沖は銭と女が好きというキャラでやんちゃさがあってかわいかったです。
よしひろ 銭と女好きってそんなベタな話ある?(笑) でもそれがいいですよね。日本の時代劇だと悪代官になっちゃいますけど。
──主人公と2番手に大きな差があるドラマもありますが、「狼殿下」は疾沖のエピソードもたっぷり描かれます。
よしひろ 初登場シーンは1番手の出方ですよね。きらっきらしてて。
辛酸 「愛の不時着」だとヒョンビン1人しかいなかったですけど、「狼殿下」は2人の間で悩めるのがいい。渤王は眉間のしわが激しすぎるから私は疾沖のほうが。
よしひろ あたしはどっちも萌えでした! 選べないわ~。2人ともきれいだもん。なんであんなに歴史物の衣装が似合うんだろう? SNSに上がっている素の顔って今時のきれいな感じなのに。
──海外ドラマの入り口の1つにかっこいい俳優さんとの出会いがあると思いますが、よしひろさんならどのようにダレン・ワンの魅力をプレゼンしますか?
よしひろ あたしはイケメンにはやんちゃさ、少年っぽさが欲しいんですよね。デビューした頃のチェン・ボーリンみたいな。ダレン・ワンはチェン・ボーリンをちょっと彷彿とさせるんですよ。「陳情令」とかタイドラマの「2gether」みたいな作品に求められるスーパー美男子な役割は向いてないかな。小学生のときクラスに1人はいた、ちょっと意地悪なんだけどかわいい男の子という感じ。そういうタイプを愛でたい方にはお薦めですね。
──眉間にしわを寄せているシーンが多いですけど、笑ったときに、隠しきれない人懐っこさをのぞかせますよね。
よしひろ そうなの! 素顔もこれまたかわいい。
──辛酸さんはシャオ・ジャンの魅力をどのようにプレゼンしますか?
辛酸 すべてを兼ね備えている国民の彼氏みたいな感じはありますよね。彼は昔、デザイナーだったんです。自分の顔の造形にどんなデザインも勝てないって気付いて俳優になったのかなって。見た目の美しさはもちろんですけど、歌唱力もある。歌の売り上げもものすごいらしいんです。だから経済を回す力を持っている。かわいい感じだけどポテンシャルが果てしない。
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なかなか肉体関係を結ばないっていうじらしがいい(辛酸)