安倍晴明は謎解きクリエイターとして一番のライバルかもしれない
──劇中では、呪は肉体や物質に直接作用するものではなく、まず意識に作用を及ぼすことで肉体にも影響を与える“暗示”や“思い込み”のようなもの、という言葉もあります。謎解きを作成するにあたっても、回答者に“暗示をかける”といった要素はありますか?
これは企業秘密的な話になりそうですが……(笑)。いい謎解きを作る方法と、呪をかける方法って似ていると思います。例えば「1行目と2行目で法則を見つけて3行目の問題を解いてください」というタイプの謎解きがありますが、1行目にはややわかりづらいものを書いて、2行目にわかりやすいものを配置するんです。すると回答者はまず1行目で引っ掛かってしまうから正答率が落ちる。まさに1行目が“暗示”なんですよね。いわゆるミスリードやミスディレクションと呼ばれるもの。だから僕が作る謎解きは2行目から考えていくと正解しやすいんです(笑)。
──なるほど。では本作ともかなりリンクしていますね。
映画を観ながら「これ、いつも仕事でやっているやつだ」と思いました(笑)。謎解きのイベントやゲームを作るときも、違和感を一番見えにくいところに置くという考え方があります。「その情報が必要になるとき」と「その情報が出てくるとき」には間を空けたり、絶対にみんな見ているけれど初めのほうに書いてあったので気付かない、など工夫すると難しい謎解きを作れます。これも呪ですね。
──ちなみに、晴明はあくまでも事実を見ようとするキャラクターですが……。
なので、謎解きイベントに来られたらすごく嫌ですね(笑)。きっと全然暗示にもかからないし、ミスリードにもはまらない。謎解きクリエイターとしては一番のライバルかもしれないです。
オーディオコメンタリーで「こういう作品を生み出すにはどうクリエイトすればよいか」を勉強したい
──Blu-ray / DVDおよびデジタルでは何回も繰り返し観ることができますが、もう1回観直したいシーンはありますか?
伏線がいっぱいある分「あれってもしかして……」と思う部分がけっこう多いと思います。「呪」の説明シーンももう一度観返したいですし、犯人の発言や行動は改めてじっくり確認したい。アクションについても「思いが具現化したもの」であったり、ちゃんと因果があって火龍や水龍が登場していますので、その理解があるほど愛着が湧きますし、考察しがいがありますね。「実はこうだったんだ!」と腑に落ちるシーンがいっぱいある。1回だけでなく、違う角度から何回も観たくなる作品だと思います。
──Blu-ray / DVDのプレミアム・エディションには、メイキングやイベント映像を含む3時間を超える映像特典、佐藤監督と夢枕さんによるオーディオコメンタリーもございます。気になる特典についてもお聞かせください。
オーディオコメンタリーはすごく気になりますね。映画本編のみを観て自分自身で気付ける部分ってとても限られていると思っているので、「あのシーンにはどういう思いが込められているのか」など作品の理解を深めるためにぜひ聴きたいです。特に博雅が徽子女王に文を渡すシーンなど、こだわりがある場面が多いと思うので「どういう感情の機微を大切にしたのか」を確認してみたいですし、この物語にトライするうえで苦労した部分はクリエイターとして気になります。僕も謎解きクリエイターの会社をやっていますが、メンバーにも観てもらって「こういう作品を生み出すにはどうクリエイトすればよいか」を勉強したいです。
──最後に、これから初めて「陰陽師0」をご覧になる方に向けて、松丸さんならどのようにお薦めされますか?
「陰陽師」という題材は有名ですが、ちゃんと中身を知っている人や世界観を体験している人は少ないと思うし、僕自身もそうでした。この映画であれば自然に理解できますので、歴史好きはもちろん、知識のない人にも幅広く薦められる。僕の友人には“体験”が好きな人が多いので、物語の素晴らしさや謎解きの部分をぜひお薦めしたいですし、白組さんのVFXがとんでもなくすごかったので、「陰陽師×VFX」はどんなものだろうと、アクションが好きな人にもぜひその迫力を味わってほしいです。
本編冒頭映像を公開中!
Blu-ray / DVD プレミアム・エディション特典内容
音声・映像特典
- 佐藤嗣麻子×夢枕獏によるオーディオコメンタリー
- メイキング映像「Making of 陰陽師0」
- イベント映像集(キックオフイベントin京都、ジャパンプレミア、公開記念舞台挨拶、大ヒット御礼舞台挨拶)
- プロモーション映像集
- 予告編&TVスポット
封入特典
- フォトブックレット(24P)
- 両面アートカード(5枚組)
- クリアファイル(B6サイズ)
※仕様、デザイン、特典などは予告なく変更となる場合あり
プロフィール
松丸亮吾(マツマルリョウゴ)
1995年12月19日生まれ。謎解きクリエイターが集まるRIDDLER(リドラ)株式会社の代表取締役。著書「東大ナゾトレ」シリーズや、バラエティ番組「今夜はナゾトレ」「おはスタ」「ポケモンとどこいく!?」への出演で知られ、“謎解き”の仕掛け人として活動している。