村上虹郎の主演作「二度めの夏、二度と会えない君」のBlu-ray / DVDが、2月23日にリリースされる。赤城大空のライトノベルを中西健二が映画化した本作。高校3年生の篠原智と、不治の病を患う転校生・森山燐の関係を描く青春ラブストーリーだ。
映画ナタリーでは、智らが結成するバンドPrimemberの“変態ベーシスト”石田六郎を演じた山田裕貴に、ベースに初挑戦した心境や撮影エピソード、共演者たちとの思い出などを語ってもらった。そのほか、3つのキーワードから本作の見どころを紹介しているので、あわせて楽しんでほしい。
取材・文 / 秋葉萌実 インタビュー撮影 / 佐藤類
伝説のバンドAnimato animatoに憧れる燐は、彼らの出身校に転入。そして智や花京院姫子、石田六郎を誘い、Primemberを結成した。
同バンドのメンバーに扮したのは、村上虹郎、吉田円佳、金城茉奈、山田裕貴の4名。金城はドラム、山田はベース初挑戦だったが、クランクインの半年前から猛特訓を重ね、ライブシーンの演奏は本人たちが担当! さらに2017年8月には映画から飛び出して、高校生コピーバンド大会「ニドナツバンド選手権2017ファイナル」でパフォーマンスを披露した(参照:「ニドナツ」村上虹郎、吉田円佳、加藤玲奈、山田裕貴がコピーバンド大会で演奏)。
なお、劇中曲「遠距離恋愛爆撃ミサイル」「さよなら監獄教室」「TIME」「グライダー」「蝉時雨ライダーズ」や、エンディング曲の「夏のおわりに」は、吉田がMADOKA名義で所属するバンド・たんこぶちんが手がけている。
やったー銀髪!
──山田さんが演じた石田六郎は、“変態ベーシスト”とも呼ばれる個性的なキャラクターでしたが、どのように役にアプローチされましたか?
熱い気持ちを持っているけどそれをうまく発揮できないところや、賞にこだわりすぎていいものを作れない部分は、自分にも覚えがあるなと思いました。いろいろあった結果大事なのは仲間なんだと気付くところとかも。だから、けっこうそのまんまでよかったんです。ただ、六郎が変わり者だということが伝わりやすいしゃべり方や、生きている人間としていかに個性的に見えるかは意識しました。
──六郎はかなり感情のアップダウンが激しい人物ですよね。
大声を出したと思ったらロートーンになったり(笑)。感情がいきなり出てしまうタイプなのは、僕とすごく近いかもしれません。僕もけっこう突拍子もないことを言い出したりするそうなので。
──そうなんですね。ちなみに、キャストの皆さんの集合写真が出たときは、山田さんの銀髪姿がすごく話題になりました(参照:村上虹郎「二度めの夏、二度と会えない君」クランクイン、集合写真に銀髪の山田裕貴)。
そうなんですか! 原作小説の挿絵に描かれていた六郎が、白っぽい色の髪だったんです。僕はいつか絶対に銀髪にしてみたくて、なんなら銀髪姿で生きていたいとも思っていて。監督やプロデューサーの方に聞いてみたらOKが出たので、念願の銀髪です! そのときの僕のツイートは、かなりテンションが高めだったんじゃないかな。やったー銀髪!みたいな。
“絶対に報われる”と思って2016年を駆け抜けた
──撮影時期は主演舞台「宮本武蔵(完全版)」や「あゝ、荒野」のボクシング練習もあり、なかなかハードだったそうですが……。
2016年は、舞台をやっていたあたりから駆け抜けるような日々でした。2017年には出演作がたくさん公開されるから、絶対に報われると思ってやっていましたね。
──当時の状況を、今振り返ってみていかがですか?
人からは「こんなに出ていてすごいね」と言われるので、やってよかったなあ、死ぬ気でやればなんでもできるんだなと思います。逆に、自分ががんばっていない瞬間がわかってしまうので、いつも「2016年を思い出せ」と言い聞かせながらやっています。
──そのときの経験が今の糧になっているんですね。
そうですね。でも1つだけ心残りがあって。体をバキバキに作り上げていた時期にこの作品の撮影があったので、ちょっとガタイがよく映っているんじゃないかなと(笑)。食事はほとんどしていなかったんですが、筋肉を落としきれなかったなと思っています。六郎はヒョロッとしたイメージだったので。
──なるほど。脚本を担当した長谷川康夫さんは、以前演技指導でお世話になった方だったとか。
そうなんですよ! まだデビューしていない18、19歳の頃にお世話になった方なので、こうしてお仕事ができるというのはすごくうれしかったです。名古屋から出てきて、事務所にも所属していない“預かり”のような状態のときだったので。やっと会えたという感慨深さがあります。“二度めの長谷川さん”になりましたね。
役を生きて、心からの言葉が出ると輝く
──村上虹郎さんとは初共演でしたが、一緒にお芝居をしてみていかがでしたか?
撮影前のバンド練習で初めて会ったときに「おお、山ちゃん!」と呼んでくれて、これは仲良くなれるなと思いました。歳はかなり離れているけど、ニジ(村上)は壁を作らず話してくれるボーダーレスな子ですごくやりやすかった。もともと彼の持っている画力に刺激を受けていたし、感情が(受け手に)流れ込んでくるような表情がすごいなと感じていて。いつか共演したいと願っていたんですが、会ったら普通の男の子で、それがかわいらしかった! 女の子には人見知り、みたいな。演技の最中に、彼にいろいろと仕掛けていくのも楽しかったです。
──例えば、どんなふうに仕掛けたんでしょうか。
急なアドリブですね。六郎はそういうのがやりやすいキャラクターなので、「変態」と言われて「え? 天才?」と聞き直したり。
──あのセリフはアドリブだったんですか!
もちろん!(笑) 花火のシーンも、振り回してみたり自由にやっていて。
──あのシーンの六郎はすごく輝いていました。
「青春と芸術は爆発だ!」って言いながらね(笑)。やっぱり役を生きて、心からの言葉が出ると輝くんですね。
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女性陣はピュア、クール、癒やし系
- 「二度めの夏、二度と会えない君」
- 2018年2月23日(金)発売 / バンダイビジュアル
- ストーリー
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「バンド組もう!」バンド活動が禁止されている北高に通う主人公・智は、高校3年生の夏に転校してきた少女・燐に誘われる。仲間を集め、同校で見事文化祭ライブを成功させた彼らだが、智が燐に告白したことをきっかけに2人の仲は引き裂かれてしまう。そのことを後悔し続けていた智は、ひょんなことから半年前にタイムリープ。燐に思いを伝えないと固く心に決め、“あの夏”をやり直そうとする。
- スタッフ
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監督:中西健二
脚本:長谷川康夫
原作:赤城大空「二度めの夏、二度と会えない君」(小学館「ガガガ文庫」刊) - キャスト
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篠原智:村上虹郎
森山燐:吉田円佳(たんこぶちん)
菅野瑛子:加藤玲奈(AKB48)
花京院姫子:金城茉奈
石田六郎:山田裕貴
布施敦子:本上まなみ
榎本優:菊池亜希子
- 「二度めの夏、二度と会えない君」公式サイト
- 「二度めの夏、二度と会えない君」公式 (@nidonatsu) | Twitter
- バンダイビジュアル 公式サイト
- 「二度めの夏、二度と会えない君」作品情報
©2017赤城大空・小学館/「二度めの夏、二度と会えない君」パートナーズ
- 山田裕貴(ヤマダユウキ)
- 1990年9月18日生まれ、愛知県出身。2011年に特撮ドラマ「海賊戦隊ゴーカイジャー」で俳優デビュー。2017年には出演作「破裏拳ポリマー」「HiGH&LOW THE MOVIE 2 / END OF SKY」「HiGH&LOW THE MOVIE 3 / FINAL MISSION」「デメキン」「あゝ、荒野」2部作などが公開された。現在、出演ドラマ「ホリデイラブ」が放送中。公開待機作には「となりの怪物くん」「あの頃、君を追いかけた」がある。