中国ドラマ「夏花」特集 | 「流星花園」のスター、ジェリー・イェンに“あの頃”のファンも新世代ファンもときめく!李姉妹×西森路代が変わらない魅力を語り尽くす

「流星花園~花より男子~」でアジアを代表するスターとなった台湾の俳優ジェリー・イェン。彼が主演を務めた中国ドラマ「夏花」がU-NEXTで独占先行配信されており、8月2日よりDVDが順次リリースされる。本作は寡黙な大人の男性と、純真無垢なヒロインが織りなす官能的なラブロマンス。素っ気なくも優しさをのぞかせる主人公をジェリー・イェンが演じ、大胆な恋を仕掛けるヒロインに「プロジェクトV」のシュ・ルオハンが扮した。

本特集では、中国の文化やエンタメ情報を発信しているYouTuberの李姉妹とライターの西森路代による鼎談を実施。「流星花園」にハマった当時の思い出から、ジェリー・イェンの“時空を超えた”魅力までたっぷり語った。

取材・文 / 金須晶子

中国ドラマ「夏花」予告編公開中

エンタメの仕事を始めたのはF4の存在があったから(西森)

──ジェリー・イェンと言えば台湾ドラマ「流星花園~花より男子~」の道明寺司役で一世を風靡し、アジアのトップスターとなりました。李姉妹さんも当時中国にいながらドラマにハマっていたそうですね。

ゆんちゃん そうです! 子供のときにリアルタイムで観ていました。学校でも観てない子はいないぐらい国民的な人気ドラマでした。

しーちゃん 姉と一緒に観ていた頃、私は6歳とか7歳ぐらい。今思うと、ちゃんと理解できてたのかなって感じですけど(笑)、周りの子供もみんなハマっていました。

ゆんちゃん 今だと中国ってたくさんドラマがあるイメージだと思うんですけど、昔は今に比べてドラマが少なくて。台湾や香港の作品が多かった印象があります。特に「流星花園」のときは台湾ドラマブームがすごくて。

しーちゃん うん、よく台湾のドラマを観ていたよね。台湾の歌手の曲もよく聴いていたし。

F4のメンバー(2006年)。左からジェリー・イェン(言承旭)、ヴァネス・ウー(呉建豪)、ヴィック・チョウ(周渝民)、ケン・チュウ(朱孝天)。(写真提供:Mok Yan Chun / EyePress EyePress / Newscom / ゼータ イメージ)

F4のメンバー(2006年)。左からジェリー・イェン(言承旭)、ヴァネス・ウー(呉建豪)、ヴィック・チョウ(周渝民)、ケン・チュウ(朱孝天)。(写真提供:Mok Yan Chun / EyePress EyePress / Newscom / ゼータ イメージ)

──西森さんは以前、「流星花園」を観たことが今の仕事を始めたきっかけだと話されていましたが、詳しくお聞かせいただけますか?

西森路代 「仕事を始めたきっかけ」は言いすぎかもしれませんが……もともと香港映画が好きで、同じような友人たちが身近にたくさんいたんです。そのうち、アンディ・ラウやレオン・ライなんかの主演映画を観ていた人たちも、だんだん「F4が、F4が」と騒ぎ出したんです。観ないわけにはいかない空気になってきて、ちょっと観てみようかとなったんです。

──中華圏のエンタメが好きな人たちの間では、チェックしているのが当たり前だと。

西森 はい。もともと、連載されている原作マンガのファンだったので、映像化に複雑な思いも持ちつつも「流星花園」を観てみたら、やっぱりハマるところがあって。(美作あきら役の)ヴァネス・ウーさんを好きになったんです。F4のヴァネスさんというより、別の映画作品でアクションをしているヴァネスさんを見たのがきっかけではあります。それで、ちょうど編集の仕事を始めた頃だったので「自分で企画を出していい」と言われて台湾エンタメのムックを作ったんです。そこから本格的にエンタメの仕事を始めたという意味では、F4の存在があったからと言えるかもしれません。

ゆんちゃん そうだったんですね。

西森 お二人はF4の中では誰が好きだったんですか?

しーちゃん 花沢類推しだったよね?

ゆんちゃん 完全に2人とも花沢類が好き……だったんですけど、やっぱり最終的には道明寺だな!って。特に道明寺と花沢類で「どっち派?」みたいなのが多かったですね。

しーちゃん 花沢類がかっこいいと思っているけど、だからと言って(ヒロインの)牧野つくしと花沢類にくっついてほしいわけではなくて。ドラマの主人公としては道明寺を応援していました(笑)。F4はアイドルグループとしてもデビューしましたが、ドラマと離れたところでも彼らはF4として存在していて。本当にすごい人気でした。

西森 日本武道館とかでライブをやったときもお祭りみたいな雰囲気で。日本に来るのはワールドツアーの最後のほうだったので、ほかの国のライブDVDをみんなで集まって観た思い出があります。香港や台湾に行ったらお土産はF4グッズでした。今で言う“推し活”みたいな。当時、アーティストのワールドツアーで日本や東南アジアを含めた規模でツアーするのはF4が最初ぐらいでしたし、そうして彼らが切り開いた先に、韓国のピ(Rain)もワールドツアーをやったり、ほかのアジア圏のアーティストの人気も広まっていったように思います。F4は日本以外のアジア圏のペプシのCMにも出ていましたよね。規模の大きいCMでした。

ゆんちゃん 大スターですよね。

──4人それぞれ人気があった中で、ジェリー・イェンは……。

しーちゃん リーダー!

ゆんちゃん うん、その印象はファンの間で共通でした!

西森 雑誌を作っていたときも人気がすごすぎて「ジェリーが表紙だと特に売れる」と言われていました。インタビュー依頼も殺到していて、なかなか実現せず、行けても記者会見ぐらい。ようやく単独で取材できたときのジェリーの印象は、本当に繊細で、消え入りそうな雰囲気で……。道明寺のようなオラオラした感じは一切なかったです。でも、そんな部分が今回の「夏花」にぴったりだったかも?

ジェリー・イェン(言承旭 / 2006年) (写真提供:Mok Yan Chun / EyePress EyePress / Newscom / ゼータ イメージ)

ジェリー・イェン(言承旭 / 2006年) (写真提供:Mok Yan Chun / EyePress EyePress / Newscom / ゼータ イメージ)

「ジェリー、なんで老けないの?」(ゆんちゃん)

──ここからはジェリー・イェンが主演した「夏花」についてお聞かせください。ヒロインのホー・ランが、美容室で髪を洗ってくれた男性=シアオ・ハンに恋をするところから物語が始まります。ご覧になっていかがでしたか?

「夏花」場面写真。ホー・ラン(左)は、美容院で髪を洗ってもらったシアオ・ハン(右)に一瞬で心を奪われる。

「夏花」場面写真。ホー・ラン(左)は、美容院で髪を洗ってもらったシアオ・ハン(右)に一瞬で心を奪われる。

ゆんちゃん まず最初にドラマのビジュアルを見て「大人の恋愛なんだろうな」という印象を受けて。切なくてエモい作品のイメージで観始めたら、まさにその通り。とてもロマンティックでした。

しーちゃん 第1話の冒頭からミステリアスで「え、いきなりシャンプーするの!?」みたいな驚きもありました(笑)。そこから徐々にいろいろな設定が明らかになっていく。最初は「このヒロインいつも何をしてるんだろう」と不思議だったのも、背景がわかるとまた印象が変わったり。映像もきれいで妖艶な空気が漂っていました。

ゆんちゃん シアオ・ハンにシャンプーされたくないなって思った(笑)。

しーちゃん 私も! あの角度から顔見られたくない(笑)。

ゆんちゃん そうそう、耐えられん!

西森 美容室のシーンは、早々から色っぽい感じで始まってびっくりしました。しかも、髪を洗ってもらうシーンが印象的に描かれるのに、実はシアオ・ハンは美容師ではなかったという(笑)。きれいな映像でラブロマンスを映し出す一方、昔観ていた台湾ドラマみたいなゆるさというか、ちょっとズコーッとなるような、なんでもない回とかもあって、癒やされました。それなのに毎話ラストで何か起こるので、必ず続きが気になる作品でした。

「夏花」より、ジェリー・イェン(言承旭)演じるシアオ・ハン。

「夏花」より、ジェリー・イェン(言承旭)演じるシアオ・ハン。

──ファンの間では、この主人公のシアオ・ハンは「ジェリーの魅力が最大限に生かされた役」だと話題だったそうです。

ゆんちゃん 中国で放送されたときの反響を調べてみたんですけど、「ジェリー、なんで老けないの?」という感想が一番多かったです。「もしかして防腐剤飲んでる?」というコメントまで(笑)。自分もドラマを観て、まずジェリーの変わらなさに驚いたので、やっぱりみんなそう思うんですね。彼の出演作を観たのは、それこそ「流星花園」以来で。いくら若々しくてもそれなりに歳月を感じる瞬間があると思うんですけど、それがまったくなかった!

しーちゃん 普通は「若い頃もかっこいいけど、今は歳を重ねたよさがある」みたいになるけど、ジェリーだけそのまま時空を超えて来たみたい。「私はこんなに大きくなったのに、なぜあなたは全然変わってないの!?」って(笑)。

ゆんちゃん 観ているこっちも若いままなんじゃないかっていう錯覚に陥る(笑)。

西森 確かに、現在46歳だと知ってびっくりしました。でも近影を見るとかっこいい大人の写真もあるので、このドラマの役として、あえて若々しいビジュアルを意識したのかもしれませんね。

実はシアオ・ハンはプロの理容師ではなく、たまたま手伝いに来ていた凄腕の園芸家だった。

実はシアオ・ハンはプロの理容師ではなく、たまたま手伝いに来ていた凄腕の園芸家だった。

──シアオ・ハンがバンダナで髪をまとめ上げている姿は、なんだか道明寺をほうふつとさせる気も……。

ゆんちゃん わかります。あと道明寺ってタンクトップのイメージも強いんですけど、今回のドラマでも主人公がよくタンクトップ着るじゃないですか。それでさらに“あの頃”と姿が重なって、ファンは「全然変わってない」と衝撃を受けたんじゃないかなと思います。

しーちゃん 本人も意識してたのかな?

ゆんちゃん バンダナは完全に“やってる”よ!