「名も無き世界のエンドロール」岩田剛典×須田景凪|主人公の気持ちを代弁! 主題歌「ゆるる」がいざなう未知の感情

岩田剛典と新田真剣佑が共演する「名も無き世界のエンドロール」が1月29日に公開される。本作で描かれるのは、強い絆で結ばれた幼なじみであるキダとマコトが企てた“ある壮大な計画”。岩田が裏社会に飛び込み闇の交渉屋となるキダ、新田が貿易会社社長として表の社会で生きるマコトを演じ、山田杏奈、中村アン、石丸謙二郎、大友康平、柄本明もキャストに名を連ねた。

映画ナタリーでは、主演の岩田と主題歌を担当した須田景凪の対談をセッティング。岩田が今作で初めて挑んだガンアクションや、須田の書き下ろし楽曲「ゆるる」についてのトークをお届けする。

なお映画公開日である1月29日の21時より、全3話のオリジナルドラマ「Re:名も無き世界のエンドロール~Half a year later~」がdTVで独占配信される。映画を観たあとにチェックしてほしい。

取材 / 清本千尋 文 / 小澤康平 撮影 / 須田卓馬

小さな傷が次第に大きくなっていく感覚(須田)

──お二方は今日が初対面でしょうか?

岩田剛典 はい。先ほどご挨拶をさせていただいて。

須田景凪 そうですね。

──お互いにどんな印象をお持ちでしたか?

岩田 主題歌の「ゆるる」はもちろん聴いていたんですけど、写真でしか拝見したことがなかったので……今日会えてうれしいという気持ちに尽きますね。

須田景凪

須田 僕も岩田さんのインスタを見ていたくらいで。さかのぼって投稿を見てみたんですけど、優しそうなお兄さんというイメージです。

岩田 (にこやかに須田を見ながら)ふふ。

須田 今日舞台挨拶でしゃべっているのを見ていて、本当にイメージ通りの方なんだろうなと思いました。

岩田 ありがとうございます。

──まずは完成した映画を観たときの感想を伺えればと思います。岩田さんから教えていただけますか?

岩田 自分が出演していて脚本も頭に入っているので第三者の視点では語れないんですけど、なんて形容していいかわからない作品だと思いました。喜怒哀楽、どれとも言えない複雑な感情になったんですよね。これは実は僕だけではなくて、試写会で「経験したことのない新しい感情が湧き上がった」「どう表現すればいいかわからない」という感想を持った方が非常に多かったみたいなんです。

──確かに、観たあとすぐに「こういう映画だった」と説明するのが難しい作品です。

「名も無き世界のエンドロール」。左から中村アン演じるリサ、新田真剣佑演じるマコト。

岩田 ですよね。ただ僕自身、簡単に感想を言葉にすることができない作品が好きなので、出演できてうれしいです。公開後にどう受け止められるのかもすごく楽しみ。まっけん(新田真剣佑)は試写で2回観たと言っていて。自分が出ている作品を公開前に2回観ることってあまりないと思うので、そこでも手応えを感じました。

──なるほど。須田さんはいかがでしたか?

須田 冒頭にはコミカルなシーンも多いですし、明るいトーンで始まるじゃないですか。でもラストにかけてどんどんシリアスになっていく。小さな傷が次第に大きなものになっていく感覚が印象に残っています。

──前半と後半で印象がまったく違いますよね。

須田 ポップに始まったものが、ラストにはあんなことになるのかという。ただ、笑えたり、泣けたり、悲しかったりといろいろなシーンがあるんですけど、映画を通して統一された寂しさを感じて。それが不思議な体験で、曲を書くときの取っ掛かりになりました。

葛藤することも多いけど、それが人間だよなって(岩田)

──岩田さんは「去年の冬、きみと別れ」以降、シリアスな役が多いですね。

岩田 あの作品以降そういうオファーがたくさん来るようになりました。すごくうれしいんですけど、闇があると思われているのかなって(笑)。

須田 あははは。

──今回の裏社会の“交渉屋”というキダ役はいかがでしたか?

岩田剛典

岩田 原作を読んだときも感じたことなのですが、交渉屋という職業は現実世界にないと思うので、そこはファンタジーなのかなと。一方でキダ自身はこの映画の中で一番人間味を感じられるキャラクター。マコトは我慢ができないというか、自分の中で気持ちを消化できずに突っ走っていっちゃうんですけど、キダは常に葛藤しているんです。

須田 マコトはどんどん振り切った人間になっていきますよね。キダも大きく変化はするんですが、迷いが感じられる。

岩田 演じるうえでも僕はそこに魅力を感じました。強さと弱さが共存していて、葛藤することも多いけど、それが人間だよなって。

──今作ではガンアクションに初挑戦していますね。

岩田 本物の銃を撃っているわけではないので、そう見えるように撮影をしているんですけど、鼓膜が破れるんじゃないかってくらい音がすごかったです。しかも発光するので、目を開けっ放しにしてないといけないときにつむっちゃったりして。

──映画の中でも特に印象的なシーンでした。

「名も無き世界のエンドロール」

岩田 気持ちよかったですし、銃のような小道具を持たせてもらえると役に入れるんですよね。僕は強い人間ではないですけど、銃を持ってるときは強いと勘違いできましたし(笑)。

須田 撮影で銃を持てるっていいなあ……今かなりうらやましい気持ちです。

岩田 MVの撮影で持てる可能性もあるんじゃないですか?

須田 そういう曲を書いたら持たせてもらいます。銃を持ちたいから銃に関係のある曲を書くみたいな(笑)。

──(笑)。ちなみに岩田さんは、大友康平さんとの共演シーンも多いです。刺激を受けたことはありますか?

岩田 康平さんとは何度か共演しているんですけど本当に気さくな方。康平さん、まっけんとの3人のシーンは2019年夏に撮ったんですが、カメラが回ってないところでは一緒に夏の甲子園を観てました。「どっち勝った!?」とか言いながら撮影していて、楽しい現場でした。