津田寛治と駒井蓮がダブル主演を務めた「名前」が、6月30日より東京・新宿シネマカリテほか全国で順次公開されている。
直木賞作家の道尾秀介が原案を手がけた本作は、複数の偽名を使い分ける男とある秘密を抱えた女子高校生が織りなす疑似親子劇だ。映画ナタリーでは、津田扮する中村正男の前に突然現れ、親子のような愛を育む葉山笑子を演じた駒井にインタビュー。
「ポカリスエット」のCMでデビュー後、雑誌ニコラの専属モデルに抜擢され、2016年からは女優業も始めた駒井。これまでにはドラマ「先に生まれただけの僕」にレギュラー出演を果たした。またパナソニックオーディオのイメージキャラクターなどで活躍を見せる。現在高校3年生で17歳の駒井が初主演作で学んだ芝居の面白さ、彼女が目撃した大先輩・津田寛治の存在感とは。また憧れの女優や家族に関するプライベートな話題も飛び出した。
取材・文 / 奥富敏晴 撮影 / 入江達也
ヘアメイク / 堀奈津子 スタイリング / 小泉美智子
蓮という名前の由来、高1での上京
──初日舞台挨拶お疲れ様です(※取材は新宿シネマカリテでの映画公開初日に行われた)。
ありがとうございます!
──撮影は2016年8月と伺いました。初日を迎えていかがですか?
とにかくうれしいです。2年前の私にとって、すごく大切ないろんなきっかけをくれた作品なので。お芝居というものに対してどう歩み寄ったらいいのかも正直わからなかった私は、この作品で演技って面白いんだと初めて実感したんです。作品を作っていく過程もそうですし、その時間がすごく楽しかった。成長するきっかけをいただいた作品です。
──映画のタイトルにちなみ、ご自身の駒井蓮という名前の由来を教えてください。
今まで由来はよく知らなかったんです。4人姉妹でみんな和風の名前なので、バランスよく付けたのかな?ぐらいに思ってて。この前父親に改めて聞いてみたら蓮(はす)の花って地下茎でつながっているので、「蓮(れん)も見えないところでいいから、根っこと根っこ、人と人とをつなぐ存在であってほしい」という意味が込められているそうです。この仕事も作品を通していろんな人との関係性で成り立っているので、我ながらピッタリだなとは思いました(笑)。
──めちゃめちゃいい由来ですね。ちなみに駒井さんは4姉妹の何番目なんでしょうか?
3番目です! 私が双子のお姉ちゃんなので、姉2人に妹1人ですね。小さい頃からみんなで遊んでたので、とっても仲いいです。お姉ちゃんとは友達ぐらいの距離感で、妹は同い歳なのに妹感が強くてもうめちゃめちゃかわいいんです! みんな大好きです。
──ご出身は青森ですよね?
そうです。今、高校3年生なんですが高校入学を機に上京してきました。このお仕事は中2の頃から始めています。
──中3で上京を決意するってすごいですよね。
子役からやってる方たちは、もっと小さい頃から出てきてたりしてますよ。青森にいたときは、仕事から離れている瞬間がどうしてもあって。でも東京に出てくるとずっと隣り合わせ。それが面白いというか、楽しいというか、ありがたいなと思います。もちろん青森も大好きなんですけど、やっぱり映画も人もいろんなものが集まる東京は面白いです。
──上京した当時の思い出はありますか?
東京に住む、東京の学校に通うっていうのが自分にとって大きくて。ずっと津軽弁で友達と話してたのに、標準語でしゃべり合う友達ができたのは不思議な感覚でした。お姉ちゃんと一緒に住んでるので家ではずっと津軽弁なんですけど、家を出た瞬間に標準語になります。でも外にいるとき、親から電話がかかってくると津軽弁に戻ります(笑)。
津田さんとのダブル主演、うれしさよりも最初は驚き
──オーディションで出演が決まったときはどういったお気持ちでしたか?
津田(寛治)さんが出演されることは知っていたので、「えっ! 一緒に? ダブル主演!?」とびっくりしました。うれしさよりも最初は驚きです。
──撮影の前はどういった準備を?
(戸田彬弘)監督と津田さんと3人で何度もお芝居のワークショップをしました。監督と一緒に台本を読み込んだり、実際に津田さんと演技をしてみたり。その時間は大きくて、すごく自分の糧になりましたね。その時間のおかげで、監督の雰囲気やみんなが何を作っていきたいかを事前に体感できました。
──映画では津田さんとの共演シーンが多かったと思いますが、ご感想をお聞かせください。
なんて言うんだろう……本当に面白くてカラフルな方なんです。監督と3人で台本について話し合ったときもアイデアにあふれていて。間近で見ていて「すごい!」と改めて思いました。一見クールにも見えるんですけど、実はとってもお茶目な方。「ダイエットしてる」とお聞きしてたんですが、甘い物がお好きで控室に置いてあるものを食べてしまうんです。津田さんが撮影に行かれてる間に机にお菓子を並べておいたら、私が戻ったときにはそれが全部なくなっていたこともありました(笑)。
──お芝居に関してお話はされましたか?
笑子が初めて正男の家に上がって2人でオレンジジュースを飲むシーンがあるんですけど、最初は正男が飲むだけの予定だったんです。でも津田さんの提案で、笑子もジュースをがぶ飲みしたほうが面白いんじゃないかって。
──確かに出会ったばかりの2人がオレンジジュースを一緒に飲むことで、妙な親密さが生まれていました。
2人でリハーサルしてても、津田さんが台本上にない動きを急にされたり。現場でできあがる面白さがたくさんありました。カメラマンの根岸(憲一)さんからも、撮影の前日に「俺は蓮ちゃんがどこまで行っても付いていくから、自由にやっていい」とおっしゃっていただき、思い付いたことはやっちゃえ!と意識してました。
お芝居にはワクワク感、高揚感がある
──先ほどの舞台挨拶で道尾秀介さんは「一度も脚本を読んでない」とおっしゃっていましたが、原案と脚本で印象の変化はありましたか?
原案の時点では2人の存在含めミステリー要素が強くて。脚本は13稿まで書かれたんですけど、キャラクターがより面白くなっていった印象でした。津田さんのお芝居が持ってる力が強いと思うんですが、コミカルな部分やキャラクターの生き生きとした瞬間がより垣間見えるようになっていきました。リハーサルが始まった段階からは、津田さんや私、そしていろんな役者の方の意見や世界観が組み込まれて、監督とも直接「こんなとき笑子はどうする?」などたくさんお話ししましたね。
──最初、笑子にはどういった印象を持ちましたか?
ちょっとした壁があったり、隠している秘密や陰みたいなものがあったり。笑子も本当の自分をさらけ出せないし、自分でもその存在に気付いていない。誰にも話せないことがある部分は、ちょっと自分と似てるかもしれないと思いました。笑子は演劇部に入ったことで人を演じることの楽しさに心から気付くんです。でも部長や見えない壁とぶつかって。本当の自分が表現できたと思い込んでいたけど、まださらけ出していない部分があると気付くんです。
──「他人を演じるのって楽しいね」というセリフも劇中にはありました。
そうなんです。ワクワク感、高揚感はやっぱりあって。実際に私が笑子を演じるのも楽しいし、笑子は正男と一緒になって他人を演じるのも、演劇部に入って役を演じるのも楽しいんです。「名前」は芝居や人を演じるのはどういうことかを学べた場所です。私も笑子を演じる中で気付く部分がたくさんありました。
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「わかってる」と言うほど「わかってない」
- 「名前」
- 2018年6月30日(土)より
全国で順次ロードショー
- ストーリー
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会社の倒産により、家を出て茨城にやってきた主人公・中村正男。複数の偽名を使い分け、危ういバランスを保ちながら新生活を始めた彼の前に、女子高生の葉山笑子が突然現れる。“おじさん”と呼ばれ振り回されながらも、正男は彼女との時間に安らぎを得るように。一方の笑子は学校生活や母親との関係性に思い悩み、またある秘密を抱えていた。
- スタッフ / キャスト
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監督:戸田彬弘
原案:道尾秀介
出演:津田寛治、駒井蓮、筒井真理子、勧修寺保都、松本穂香、内田理央、池田良、木嶋のりこ、金澤美穂、波岡一喜、川瀬陽太、田村泰二郎、西山繭子ほか
©映画「名前」製作委員会
- 駒井蓮(コマイレン)
- 2000年12月2日生まれ、青森県出身。2014年に「ポカリスエット」のCMでデビュー後、雑誌ニコラの専属モデルに抜擢され、2016年からは女優業にも幅を広げる。2017年にはドラマ「先に生まれただけの僕」にレギュラー出演。また「セーラー服と機関銃 -卒業-」で映画デビューを果たす。「心に吹く風」ではヒロインの少女時代を演じた。津田寛治とダブル主演を果たした「名前」が初主演作となる。2015年からはパナソニックオーディオのイメージキャラクターを務めている。