1964年に製作された「メリー・ポピンズ」の約20年後を描く物語、「メリー・ポピンズ リターンズ」が2月1日に全国で公開。上から目線でエレガントな魔法使いメリー・ポピンズが風に乗って再び舞い降り、世界中を幸せな魔法で魅了する。「シカゴ」のロブ・マーシャルがメガホンを取った本作は、第91回アカデミー賞で作曲賞や歌曲賞など4部門にノミネートされている。
このたび「メリー・ポピンズ」の大ファンである俳優・小関裕太に本作を鑑賞してもらい、感想を聞いた。「メリー・ポピンズ」を自身の原点だと語る小関は、取材に思い出の品々も持参。「子供にも大人にも観てほしい」と熱弁する小関のインタビューと、タップダンスのリズムを踏んでもらいながら撮影した写真の数々をご覧あれ!
取材・文 / 金須晶子 撮影 / 入江達也
「メリー・ポピンズ」は僕の原点
──映画を観ながらメモを取られていたんですか?
今日のために前作の「メリー・ポピンズ」を観返したので、そのメモです。頭の中を整理しておこうと思って。
──用意周到ですね、ありがとうございます。今回は小関さんが「メリー・ポピンズ」の大ファンということでお声がけさせてもらいました。
はい。僕が最初に「メリー・ポピンズ」を観たのは幼稚園の年少か年中ぐらいのときで。イギリス人の先生がいつもお昼寝の前にちょこっと映画を流していて。あるとき「メリー・ポピンズ」を観てから家でも歌を口ずさんだり、「もう1回観たい!」とねだってたらしくて、母親がビデオを買ってくれたんです。(「メリー・ポピンズ」のパッケージを取り出して)これです。
──実物ですか! 大事に取ってあるんですね。
ずっと大事に取ってあります。屋根の上でタップダンスを踊るシーンがすごく楽しそうで、僕もタップダンスを習い始めたんです。それがきっかけでこの業界にも入って。だから「メリー・ポピンズ」は僕の原点なんです。実は今日、当時のタップシューズも持ってきました。
──実家から持ってきてくださったんですか? ビデオも靴も思い出が詰まっているのが伝わってきます。
これはタップダンスを習い始めた小1の頃に使っていたものです。タップダンスを始めたのも俳優になったのも、全部「メリー・ポピンズ」がきっかけ。本当に大好きな作品です。
今回は凧から物語が始まる
──本日「メリー・ポピンズ リターンズ」をご覧になって、いかがでしたか?
最っ高でした! 随所で拍手したくなりました。観る前に感じていた期待の10倍! 期待値を大きく上回っていて、いろいろなディズニー作品のいい部分が合わさった傑作でした。前作に続いて実写とアニメーションが組み合わさるシーンもさらに魅力的になっていて、僕が言うのもおこがましいんですけど、ディズニー作品の集大成だと思いました。
──まさにそう思います。
それに火を表現する音や色が素晴らしかった。映画自体も火のシーンから始まるし。曲名にもなっている「小さな火を灯せ!」と繰り返されるフレーズも印象深いです。「灯す」ってなんだか素敵ですよね。
──前作がお好きな小関さんにとっては、たまらないオマージュもあったのでは?
たくさんありました。特に凧が出てきたのはうれしかったです。前作はみんなで凧揚げをするハッピーエンドが印象的でしたが、今回は凧から物語が始まっていく。あと何より、前作でメリー・ポピンズの友人バートを演じたディック・ヴァン・ダイクさんのスペシャルなカメオ出演! どこに出るかはお楽しみなので言わないですけど……ここか!っていうところで出てらっしゃって。
──試写室に着いたときから、どこに出てくるか楽しみだと言ってましたね。「メリー・ポピンズ」の熱心なファンだからこそ、続編に不安を抱くことはありませんでしたか?
続編が公開されると知ったときはとにかく楽しみでした。でも「メリー・ポピンズ」って、平面的な中で立体感を見せてくれるのが面白いと思っていたんです。それが今回の予告編を観たとき、映像技術がすごくなってるから、ちょっと立体的すぎない?という気もして。
──コアな視点ですね。実際に映画を観たらどうでしたか?
その立体感こそが素晴らしかった! 劇中に出てくるバンクス家が前作とまったく同じ作りなんですけど、「この部屋は違う角度から映すとこうなってるのか」という発見があったり。バンクス家を起点にして「ビッグ・ベンはあの方角にあるのか」「公園はあっちにあったんだ」「街にはこっちの方向から行くんだ」とか。前作ではわりと同じカメラ位置で撮っていたので、今回は見たかったものを見せてもらえた感覚でうれしかったです。もちろん前作を観ていない人でも、いろんな景色が見えて十分楽しめると思います。
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クラシックのよさも改めて感じられる