桜井日奈子と吉沢亮がダブル主演を務める「ママレード・ボーイ」が、4月27日に公開される。吉住渉による少女マンガを廣木隆一が映画化した本作では、互いの両親のパートナーチェンジをしての再婚により、ひとつ屋根の下で暮らすことになった高校生・小石川光希と松浦遊の恋が描かれる。桜井が光希、吉沢が遊を演じ、2人の親たち“両親S”キャストには中山美穂、檀れい、谷原章介、筒井道隆が名を連ねた。
映画ナタリーでは本作の公開を記念し、若手メインキャストの座談会をセッティング。桜井と吉沢に加え、光希を一途に想うクラスメイト・銀太役の佐藤大樹(EXILE、FANTASTICS)、そして光希の親友・茗子役の優希美青に集まってもらった。伝説的少女コミックのキャラクターたちにリアリティを持たせるための工夫や、イチオシの胸キュンシーン、長回し撮影で知られる廣木組の現場について話を聞いた。
取材・文 / イソガイマサト 撮影 / 佐藤類
デフォルメしたお芝居では「全然伝わってこない」(桜井)
──人気コミックの実写映画化ですが、役に臨まれるときには原作を意識されたのでしょうか? 逆に役柄にリアリティを持たせるために工夫されたことがあれば、あわせて教えてください。
桜井日奈子 私は光希の素直で一途で一生懸命なところを大切にしました。でもホン(台本)読みのときに、原作がマンガだからという勝手な思い込みでデフォルメしたお芝居をしたら廣木隆一監督に「気持ちが全然伝わってこない」と言われて。それからは監督に求められる、普段の生活の一部のようなナチュラルな芝居にかなり苦戦しました。
吉沢亮 僕も原作はもちろん意識しましたけど、原作の世界観ばかり意識しすぎると気持ち悪くなるような気がしたので、あまりとらわれないようにしました。それに恋愛自体は別に特殊なことでもないし、誰でも経験することなので、脚本を読んで自分が思ったことを大事にしながら演じるようにしました。
佐藤大樹 僕は原作のコミックを知らなかったんですけど、周りの人から伝説的な作品ということを聞いて。だから撮影に入る前にすべて読みましたし、アニメも観て、自分なりにインスピレーションを受けました。でも、生身の人間がやるわけだし、監督にも「大樹にしかできない銀太を演じてほしい」と言われたので、原作を意識せず、自分がもしその世界にいたらどうするだろう? なんて言うだろう?ということを考えながら取り組みました。
優希美青 私も監督とプロデューサーさんから「原作にとらわれすぎないように」と言われました。それに、茗子ちゃんは原作ではすごく大人っぽくて、ちょっぴりミステリアスな女の子ですけど、「映画ではそこは表現しなくてもいい。せっかく血の通った人間が演じるんだから、人間らしい茗子にしてほしい」と言っていただいたので、楽しいシーンのときは笑おうと思って、光希とのシーンのときは普段のように自然にふざけるようにしました。
“吉沢亮”が出てもいいかな(吉沢)
──ご自身の素が出てしまったシーンや、演じられたキャラクターと似ているところはありますか?
吉沢 僕はわりと意識的に素を出していましたね。「それはどこですか?」って聞かれても思い出せないんだけど(笑)、全体的に“吉沢亮”が出てもいいかなって思いながらやっていたような気がする。役をきっちり演じるのもいいけど、自分から出てきたものをそのまま出したほうが作り込んだものよりもインパクトがあると思うし、遊とは内面的に似ているところもあったから、わりと等身大で演じさせてもらって。彼の柔らかい雰囲気を出すために笑顔を意識的に多めに作ったりはしたけど、役作りみたいなことはあまりしていないです。
桜井 私は走り方ですかね。もっとかわいく走れたらよかったんでしょうけど、部活をしているときのような走り方になっちゃったなと思って(笑)。必死な感じが伝わればいいかなと思ったんです。結果的に、映画を観た人からも「走っているシーンは腰が入っていたね」って感想をいただきました。
佐藤 僕はテニスシーンの身のこなしかな。ちょっとダンスっぽくなっちゃったし、喜んだ感じが……。
吉沢 ちょっとチャラかったよね(笑)。
佐藤 はい。ちょっとね(笑)。
優希 私は頑固なところしか茗子とは似てないです(笑)。
監督に「何か一言言って」と言われたから……(佐藤)
──原作で話題になった数々の名シーンが再現されていますが、皆さんが演じながら胸がキュンとしたシーンはどこですか?
佐藤 僕はテニスの試合の流れで光希に告白するシーン。あの日はずっと緊張していたなあ。あと駄菓子屋の前で光希にキスしようとして拒絶されるシーンは、台本を読んで、普通にキスをしてから頬をはたかれると思っていたんです。だから段取りで「えっ、何してるの?」って言われて、キスする手前で止められちゃったときは“えっ、駄目なんだ?”と思った(笑)。
吉沢 でもあそこ、めっちゃキュンキュンした。僕の超キュンキュンポイントなんだよね。2人がすごくかわいい顔をしているし、そのあとのさ……。光希に「何してるの?」って言われて「え?」ってなったときのダサい顔が最高に笑えて(笑)。
佐藤 いま、かわいいって言ったじゃん(笑)。
優希 超面白かった!
桜井 面白い。私も好き、あそこ。
佐藤 めちゃくちゃ緊張したけどね。
桜井 あの、光希が立ち去ったあとの一言はアドリブ?
佐藤 そう。
桜井 私が戻ってきたら、監督がすっごくニヤニヤしていたから、何を言ったんだろう?と思ってずっと気になっていたんだけど、やっぱりそうだったんだ(笑)。
佐藤 監督に「何か一言言って」と言われたから、「酸っぺー」って言ったんだよ。
吉沢 よかったよ、あれ。
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好きな人と一緒にいるってこういうことなんだ(吉沢)
- 「ママレード・ボーイ」
- 2018年4月27日(金)全国公開
- ストーリー
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高校生の光希は、ある日突然両親から離婚することを告げられる。旅先で出会った松浦夫妻と気が合い、母親がその夫と、父親がその妻と恋に落ちたため、お互いのパートナーを交換して再婚すると言うのだ。さらには松浦家の1人息子・遊も含め6人で一緒に暮らすことに……。甘いけれどクールな同い歳・遊からの不意打ちのキス、初恋相手・銀太からの告白、親友・茗子が起こしたある事件など、思いがけない出来事を経て、光希は遊に惹かれていく。しかし遊は、光希と自分に隠されたある秘密を知ってしまい……。
- スタッフ / キャスト
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監督:廣木隆一
原作:吉住渉「ママレード・ボーイ」(集英社文庫〈コミック版〉)
脚本:浅野妙子、廣木隆一
主題歌:GReeeeN「恋」(ユニバーサル・ミュージック)
キャスト:桜井日奈子、吉沢亮、佐藤大樹(EXILE、FANTASTICS)、優希美青、藤原季節、遠藤新菜、竹財輝之助、寺脇康文、筒井道隆、谷原章介、檀れい、中山美穂
- 「ママレード・ボーイ」公式サイト
- 映画「ママレード・ボーイ」公式 (@marmalade_movie) | Twitter
- 映画「ママレード・ボーイ」公式 (@marmaladeboy_movie) | Instagram
- 「ママレード・ボーイ」作品情報
©吉住渉/集英社 ©2018 映画「ママレード・ボーイ」製作委員会
- 桜井日奈子(サクライヒナコ)
- 1997年4月2日生まれ、岡山県出身。2014年に開催された「おかやま美少女・美人コンテスト」で美少女グランプリを獲得。2015年に出演したLINE MUSICのwebmovieをきっかけに“岡山の奇跡”と称され注目を集める。その後、大東建託、コロプラ、ニベア花王、GROPなどの広告に登場。2016年、舞台「それいゆ」で女優デビューを飾り、同年テレビドラマ「THE LAST COP /ラストコップ」「そして、誰もいなくなった」に出演する。2017年、「ラストコップ THE MOVIE」で映画初出演。2018年には、ヒロイン役を務める「ういらぶ。」の公開を控える。
- 吉沢亮(ヨシザワリョウ)
- 1994年2月1日生まれ、東京都出身。2011年に特撮ドラマ「仮面ライダーフォーゼ」の仮面ライダーメテオ / 朔田流星役で注目を浴びる。2013年に「ぶっせん」でドラマと舞台に初主演。主な出演映画に「アオハライド」「オオカミ少女と黒王子」「さらばあぶない刑事」などがある。2017年にはドラマと2本の映画からなる「トモダチゲーム」シリーズや「銀魂」「斉木楠雄のΨ難」に出演。2018年には「悪と仮面のルール」「リバーズ・エッジ」「レオン」「猫は抱くもの」「BLEACH」「あのコの、トリコ。」といった出演作が続々と公開される。
- 佐藤大樹(サトウタイキ)
- 1995年1月25日生まれ、埼玉県出身。2011年にFUNKY MONKEY BABYSの「ラブレター」MVにて俳優デビュー。2014年にEXILEにパフォーマーとして加入し、2017年からはFANTASTICSのリーダーとしても活動を始める。主な出演作にドラマ「シュガーレス」「俺たちの明日」「ワイルド・ヒーローズ」「HiGH&LOW」シリーズなどがある。2017年6月には舞台「錆色のアーマ」で主演を務めた。
- 優希美青(ユウキミオ)
- 1999年4月5日生まれ、福島県出身。2012年、第37回ホリプロタレントスカウトキャラバンにてグランプリを獲得。主な出演作に「空飛ぶ金魚と世界のひみつ」「神さまの言うとおり」「でーれーガールズ」「暗殺教室」シリーズや、NHK連続テレビ小説「あまちゃん」「マッサン」、ドラマ「デスノート」、Netflixオリジナルシリーズ「僕だけがいない街」などがある。2018年には「ちはやふる -結び-」に新入生・花野菫役で参加した。