成田凌の主演作「くれなずめ」が5月12日に公開。監督の松居大悟が自身の経験をもとに脚本を執筆し、主宰する劇団ゴジゲンで2017年に上演した同名演劇を映像化した青春ドラマだ。結婚式の披露宴から2次会までの長い空き時間で、青春時代の思い出を回想する男たちの物語が展開していく。

映画ナタリーでは、成田と松居のほか、キャストの高良健吾、若葉竜也、浜野謙太、舞台版から続投した目次立樹の座談会をセッティング。劇中さながらの親密な掛け合いを見せるキャストたちと、松居にとって、「くれなずめ」はどんな作品だったのか？ 現場でのエピソードや個々の赤っ恥秘話から、紐解いていく。また、公開に先駆けて本作を鑑賞した観客からの熱い感想コメントも集まった。

取材・文 / 佐藤希　撮影 / 清水純一

観客の皆さんが味方になってくれるように（成田）

──本日メインキャストから6人中5人、監督も参加されていますが、このメンバーがそろうのはいつ以来なんでしょうか？

松居大悟　個々ではみんなほかのお仕事を一緒にやることもあったので、ちょくちょく会っていたようなんですけども、このメンバーがこうしてそろうのは撮影以来かもしれないですね。2020年の春に撮影していたので、ちょうど1年ぶり。

──先ほど写真撮影のときも皆さん和気あいあいとしていて、仲の良さがスクリーンに表れているような作品でした。まず皆さんが作品をご覧になった感想を伺いたいです。

成田凌　面白かったです！ 6人がわいわいやっている序盤のシーンで、観客の皆さんが味方になってくれるようにと思って撮影していたので、もしそこを気に入っていただけたのなら、あとはもうご自由に受け取ってくれればそれでいいと思っています。

高良健吾　撮影も楽しかったですし、その雰囲気が作品に表れていたのならうれしいです。この作品って、映画をおもちゃみたいに扱って遊んでいる感じがして、僕はそこが好きなポイントでした。

若葉竜也　現時点の松居さんの監督作で、一番好きな作品です。映画を普段あまり観ない人にも観てもらいたいです。

浜野謙太　そうですね。なんでかわからないですけど、「今しか撮れない！」っていう勢いもあったし、今しかそろわない6人だったと思いました。たぶん松居監督もその雰囲気を大事にしていたんじゃないかなと。友達とのゆるい会話の楽しさとかくだらなさ、そして別れもそこにあって、何かのジャンルというよりは全部詰まっているエンタテインメントとして観られると思います。

──なるほど。ちなみに目次さんは舞台版でも同じ役を演じられていて、本作では唯一の続投キャストとなりました。映画版はいかがでしたか？

目次立樹　僕は松居とは大学からの付き合いで、普段は照れちゃうからあんまり褒めたりしないんですけど、今回は素直に面白かったと伝えました。

松居　言われましたけど、なんか嘘っぽかったんですよね。

目次　そんなことないでしょ！（笑）

本当にたわいもない話ばっかり（若葉）

──高良さんが「撮影が楽しかった」とおっしゃっていましたが、現場ではどういうお話をされていたんでしょうか？

成田　いや、あんまり文字にできるような話はしていなかったですね……。しょうもない話題で（苦笑）。

若葉　本当にたわいもない話ばっかりだったね。

成田　毎日笑える話題が落ちていて、1つ面白い話を見つけるとみんなブワッと沸くんです。

高良　で、何日間か同じ話題をずーっと引っ張っていく。

成田　そうそう……そして今も（笑）。

──主人公・吉尾たちの高校時代も皆さんがそれぞれ演じられていますが、高校生役に抵抗はありませんでしたか？

高良　浜野さん、高校生役はいかがでしたか？

浜野　ちょっと（笑）。そもそも高校生を演じるってこと以前に、成田くんみたいに若い人たちと40歳手前のおっさんが同世代の役で、なんなら僕のほうが後輩っていう設定だったから少し不安でした。でもグルーヴ感が出たらそう見えるかなって思っていたんですけど、撮影しているうちに僕も「自分が若い」と錯覚してたんでしょうね。高良くんに「俺大丈夫かな？ 同世代に見えるかな？」って聞いたら、「いや、最初からおっさんですよ」って（笑）。

一同　（笑）

成田　「見えるかな？」って聞いてる時点で、いい返事を期待してますよね。