中国ドラマ「君子盟」特集 | 高貴なジン・ボーランと弟キャラのソン・ウェイロンに注目!ブロマンス×ミステリー×時代劇の話題作を深掘り

中国ドラマ「君子盟」がU-NEXTで独占先行配信中。Blu-ray / DVDが2月2日より毎月順次リリースされる。

本作は「皇后的男人(こうごうのおとこ)~紀元(とき)を越えた恋~」のジン・ボーラン(井柏然)と、「家族の名において」のソン・ウェイロン(宋威龍)が共演したミステリー時代劇。亡き父の冤罪を晴らしたい礼部侍郎(※当時の官職)・蘭珏(らんかく)と、天才的な推理力を持つ貧乏書生・張屏(ちょうへい)が、最初は反発し合いながらも、次々に起こる怪事件を捜査するうちに絆を育んでいく。

麗しき青年たちの友情と怪奇ミステリーが見どころの「君子盟」。このたび中国ドラマに造詣の深いライター・沢井メグと島田亜希子に作品の魅力を語り合ってもらった。

取材・文 / 金須晶子

中国ドラマ「君子盟」予告編公開中

空からドラマが降ってきた!(沢井)

──お二人には中国ドラマ「君子盟」をご覧になっていただきました。“ブロマンスミステリー時代劇”として注目された本作ですが、いかがでしたか?

沢井メグ 人物の関係性が印象的でした。蘭珏(らんかく)と張屏(ちょうへい)がバディを組むのはキービジュアルを見たらわかるんですけど、メインの2人だけじゃなく、それぞれの親友や部下、師匠といった人物との関係も熱いものがあったので妄想のしがいがあるというか(笑)。余白がたくさんあるのがいいなと思いながら観ました。後半は新たな謎が次々と出てきて……そこから真実が明らかになっていく展開は、先が気になって気になって本当に一気観でした!

島田亜希子 テンポもよくて、短く感じるぐらい面白かったですね。私は「聊斎志異」(※編集部注:中国の怪異小説集)のような不思議な物語が好きなので、そういう面でも楽しめました。蘭珏と張屏に関しては、彼らにしか共有できない感情で結ばれているのが魅力的。そんな2人が協力して志を成し遂げていくさまが胸アツで、笑いあり、涙ありでとても楽しかったです。

中国ドラマ「君子盟」より、左からジン・ボーラン演じる蘭珏(らんかく)、ソン・ウェイロン演じる張屏(ちょうへい)。

中国ドラマ「君子盟」より、左からジン・ボーラン演じる蘭珏(らんかく)、ソン・ウェイロン演じる張屏(ちょうへい)。

──日本の中国ドラマファンの間でも大変話題になっていたようですね。

沢井 中国では撮影が終わってから審査などがあるので、放送・配信されるまで1年ぐらい期間が空くんです。「君子盟」はそれ以上の時間が掛かったのですが、その間に前評判が中国から流れてきて、日本のファンの期待値も上がっていたと思います。

島田 中国では宣伝なしで突然配信が始まって話題になったのもあって、私も早く観たいと思っていました。最近の中国ドラマは、突然始まることがけっこうあるようで。クランクイン・クランクアップの情報は流れてくるけど、詳しい続報がないまま、だいぶ時間が経ってから急にスタートする、という感じで始まるようです。

──日本でも“宣伝なし”の映画が話題になったりしましたが、中国ドラマは配信日も告知されないんですか……?

沢井 配信された途端、話題がSNSでバーっと広まって盛り上がるんですよね。そういう作品が増えているので、「空降开播(kōng jiàng kāi bō)」という言葉も生まれたんです。「空から急にドラマが降ってきた」みたいな意味なんですけど。

島田 沢井さんはどう訳します? パラシュート放送? それともゲリラ放送みたいなニュアンスですかね?

沢井 難しいですよね。私は「天空の城ラピュタ」みたいに空から女の子が降りてくるイメージもいいかな、なんて。「空から新作ドラマが降ってきた!」みたいな。

島田 本当にそれぐらい突然なんですよね!

まさに「蘭のごとき君子」なジン・ボーラン(島田)

──主人公の蘭珏と張屏は一見正反対に見えますが、それぞれどんなところが魅力だと思いますか? 島田さんは蘭珏役のジン・ボーラン派だとお聞きしましたが……。

島田 はい。なので蘭珏に肩入れしつつ行きますね(笑)。蘭珏はまさに「蘭のごとき君子」と呼ぶのにふさわしい清らかで純粋な本質を持った人。でも大人のずるさも持ち、復讐にとらわれて屈折している部分もあって、そんな邪の部分をあわせ持ったところも魅力的だったなあと思います。衣装替えなども多くて、どの場面のスタイルも本当に美しかったです……。

沢井 劇中を通して、蘭珏の苦悶の表情がたまらなかったです。彼には申し訳ないけど、もっと見せてくれ!という(笑)。それぐらい美しかったです。すべてを悟ったような顔をしつつ、実は復讐を遂げるために生きていて。一方でかわいい部分もあったり。模範生の面がだんだん剥がれて、見続けるうちに好きになっていくキャラでしたね。

中国ドラマ「君子盟」より、気品あふれる礼部侍郎・蘭珏(ジン・ボーラン)。

中国ドラマ「君子盟」より、気品あふれる礼部侍郎・蘭珏(ジン・ボーラン)。

中国ドラマ「君子盟」より、気品あふれる礼部侍郎・蘭珏(ジン・ボーラン)。

中国ドラマ「君子盟」より、気品あふれる礼部侍郎・蘭珏(ジン・ボーラン)。

島田 男子が憧れちゃう存在であることにもときめきを感じました。まさに蘭様はジン・ボーランにぴったりの役だったと思います。2015年のドラマ「皇后的男人~紀元を越えた恋~」以来の時代劇ということで、ファンは久しぶりの古装姿も必見かなと。

沢井 ジン・ボーランはビジュアルの美しさだけでなく、たまに見せる少年っぽさが素敵という印象でした。でも「君子盟」では心の葛藤をあまり見せない大人な感じで……また新しいジン・ボーランを見てしまいましたね。

──そう言えばジン・ボーランはロウ・イエ監督の映画「シャドウプレイ」の主演だったんですよね。同一人物だとまったく気付きませんでした!

島田 ジン・ボーランは近年ドラマでも活躍していますが、どちらかと言えば映画俳優というイメージで。さっき沢井さんが「空降开播」を“空から降ってきた”と表現されたように、「ドラマに降臨してきた!」みたいなうれしさはあります。演じる役もさまざまで、今回のような高貴な役とか、ちょっと心の揺れがある複雑なキャラが似合いますよね。

光属性なソン・ウェイロンが新鮮(沢井)

──ソン・ウェイロン演じる張屏はいかがでしたか?

島田 世渡り下手で空気が読めない変わり者。謎解きにかけてはピカイチという癖の強いキャラだけど、そんな超変わり者の張屏のペースにみんながのみ込まれていくところが面白い。思わず手を差し伸べたくなるような純粋さで、ソン・ウェイロンのかわいさが全面に押し出されていたと思います!

沢井 張屏は少年マンガの主人公みたいでした。とにかくまっすぐ突き進む性格や、卓越した推理力というほかにはない能力を持つところがまさに。ソン・ウェイロンの正統派イケメンなビジュアルとフレッシュさが張屏のキャラに合っていてハマり役でした。中国では「セリフ回しがちょっとつたない」みたいな論評も一部であったみたいですけど、張屏の不器用さや、若さ故に突っ走っちゃうところにマッチしている気がして、すごくいいキャスティングでした。

中国ドラマ「君子盟」より、隠れた名探偵の張屏(ソン・ウェイロン)。

中国ドラマ「君子盟」より、隠れた名探偵の張屏(ソン・ウェイロン)。

中国ドラマ「君子盟」より、隠れた名探偵の張屏(ソン・ウェイロン)。

中国ドラマ「君子盟」より、隠れた名探偵の張屏(ソン・ウェイロン)。

島田 私の中でソン・ウェイロンは寡黙なイメージがあったんです。超イケメンだけど、控えめなキャラクターを演じるような。そういう落ち着いたイメージがあったので、かわいらしい弟キャラが前面に押し出されている本作はちょっと意外性がありました。

沢井 私も寡黙なイメージでした。「家族の名において」のときの濡れた子犬のような目も印象的で……あのソン・ウェイロンの瞳に心をつかまれた方も多いのでは。今回は打って変わって、光属性なキャラが新鮮でしたね。ちょっと突っ走り気味な張屏とバディを組むのが、落ち着いた大人のお兄さん(蘭珏)というのもまたよかったです。

最初は反発し合う蘭珏(ジン・ボーラン / 右)と張屏(ソン・ウェイロン / 左)だが、徐々に信頼を深めていく。

最初は反発し合う蘭珏(ジン・ボーラン / 右)と張屏(ソン・ウェイロン / 左)だが、徐々に信頼を深めていく。

──いわゆる“最悪の出会い”ということもあり、第1話の時点では「この2人がバディに……?」となかなか想像がつきませんでした。そこから回を重ねるごとに少しずつ心を開いていきますが、関係性の変化をどのように見守っていましたか?

沢井 途中から「あの事件どう思う?」と相談し合う仲になってきて、それだけで感動しました。さり気ない会話の延長で相談するっていうのは、相当心を許している、信頼している相手じゃないとできないですよね。もともと蘭珏は「こいつを利用してやろう」という思惑で張屏に近付いたのに……感慨深くて、思わず1話を見返してしまいました(笑)。

島田 リスペクトして、支え合い、不器用に気遣い合う姿が徐々に見えてくるのがいいですよね。「あいつだったらどうする?」と思い浮かべるようになったとき、お互いの心が近くなったんだなと。相いれない2人ではあったけど、どこか似た者同士で、同じ感性を持っている。そんな2人だからこそ信頼関係が生まれたんだと思います。