映画ナタリー Power Push - 「恋妻家宮本」阿部寛 / 天海祐希 / 遊川和彦インタビュー
「家政婦のミタ」脚本家が初メガホン、伝えたいメッセージは“正しさより優しさが大切”
「女王の教室」は天海さんの必死な姿を楽しんで
──では「恋妻家宮本」をより楽しむために、遊川さんの過去作についてもお話いただければと思います。まず天海さんが主演を務めた「女王の教室」はいかがでしょうか?
天海さんとの出会いの作品です。とにかく「笑わないでくれ、いい人のようなそぶりを一切見せないでくれ」とお願いしました。
──天海さん演じる阿久津真矢は、厳格でどこか得体の知れない人物のような印象があって怖かったです。
天海さんには「反響がたくさん来て、みんなに嫌われるかもしれません。本当は愛にあふれているけれど、経験則上今は子供たちに厳しくすることが必要だから、ラストカットまでは笑わないでほしい。それが嫌ならやめてください」ともお願いしました。でも天海さんは「嫌じゃないです、やります」と言ってくださって。あとはいかに怖く見せるかです。覚悟を決めた女の姿をどう見せるかが大事だと思っていました。天海さんはけっこうきつかったはずですが、演じきってくれました。最終回では子供たちが「仰げば尊し」を歌っているシーンがありますが、僕が「泣くな」って言ったもんですから、天海さんは必死でこらえていたんです。阿久津真矢を演じようと必死な天海さんの姿をぜひ楽しんでいただければと思います。
──松嶋菜々子さん主演の「家政婦のミタ」については?
松嶋さんに「この人(主人公の三田)はどういう人なんですか?」と聞かれたので過去をお話しして、「とにかく本気でやってくれ。感情を押し殺して、ロボットになってくれ」と言った記憶がありますが、感情を失って渇ききった人間を彼女は喜びを感じながら演じてくれました。最後に自分の過去を語る長いシーンがあるんですけど、そこはもっと感情を出さないでいたかったらしくて。僕が「ちょっとだけ感情を出してくれ」とお願いしたものですから、あとで「涙が出そうになっちゃったじゃないですか!」と怒られました(笑)。でもその涙を流せないでいる感じがよかった。当時は震災の直後だったので、被災地の人たちに我々は何ができるのかと思っていました。喪失感のある人たちの前にどんな人が現れたら彼らを癒すことができるのかと考えたときに、さらに大きな喪失感がある人なのではと思い付いて、そのコンセプトから始めました。
──最後に天海さんと再タッグを組んだ「偽装の夫婦」に関してもコメントをお願いします。
普通の夫婦ではいられないけど、孤独を感じている男と女が理想の夫婦を演じることで新たな喜びや幸せを見つけるということが描きたくて。天海さんには、劇中で女性を好きになったりとかいろいろしてもらいました。「女王の教室」 のときは「笑わないでくれ」って言ったんだけど、今回は「笑ってごまかしてくれ。常に笑っているけど内面ではすごく毒づいていてほしい」と話しました。ナレーション録りのときの天海さんはすごくイキイキと毒づいていましたね(笑)。彼女のそういう面はあまり見たことはなかったです。もうちょっとおとなしくやるかと思ったら、かなりノリノリで。ビートたけしのモノマネとかもしてくれましたから面白かったですね。そういった背景も踏まえて楽しんでもらえたら。
ビデオパスで配信中の遊川和彦、阿部寛、天海祐希関連作
- ビデオパスとは?
- auの映像配信サービス。加入者は約1万本の映画・ドラマ・アニメが見放題なうえに、映画鑑賞料金の割引サービスも受けることができる。
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「はじめまして、愛しています。」
尾野真千子と江口洋介が夫婦を演じた連続ドラマ。遊川和彦が脚本を手がけた。血のつながりのない他人同士を法律上親子として認める制度“特別養子縁組”をテーマに、親に捨てられ感情をなくした5歳の男の子と家族になろうと奮闘する夫婦の姿が映し出される。
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「テルマエ・ロマエ」
公衆浴場設計技師にしてバカ真面目なローマ人ルシウスが、古代ローマと現代日本のお風呂を行き来するタイムスリップコメディ。阿部寛がルシウス、上戸彩がヒロインの真実を演じたほか、市村正親、北村一輝、宍戸開ら顔の濃い俳優たちがローマ人役で出演。
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「海よりもまだ深く」
「海街diary」の是枝裕和が、大人になりきれないダメ中年・良多と彼を深い愛で包み込む母親の姿を中心に、かつて夢見た未来と少し違う今を生きる家族を描く人間ドラマ。出演は阿部寛と樹木希林、真木よう子、リリー・フランキー、池松壮亮ら。
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「アマルフィ 女神の報酬」
織田裕二、天海祐希、戸田恵梨香、佐藤浩市ら豪華キャストが集結し、邦画では初めて全編イタリアロケで撮影されたサスペンス。日本人少女誘拐事件の真相を求め、イタリアを駆ける外交官・黒田の姿を追う。
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「Around40~注文の多いオンナたち~」
天海祐希扮する39歳の精神科医・聡子が恋愛や結婚、仕事に悩む姿を通して、現代を生きる女性の幸せの形を描く。このドラマによって広まった言葉“アラフォー”は、2008年のユーキャン新語・流行語大賞で大賞に輝いた。
auスマートパスとは?
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ストーリー
宮本陽平と美代子は大学時代にファミレスでの合コンをきっかけに付き合い始め、妊娠発覚を機に結婚。それから27年を経て一人息子・正が自立し、夫婦は久しぶりに2人きりになった。ある日、陽平は美代子が隠していた離婚届を見つけてしまい……。
スタッフ / キャスト
- 監督・脚本:遊川和彦
- 原作:重松清「ファミレス」
- 劇中歌:吉田拓郎「今日までそして明日から」
- 出演:阿部寛、天海祐希、菅野美穂、相武紗季、工藤阿須加、早見あかり、富司純子
遊川和彦(ユカワカズヒコ)
1955年10月24日生まれ、東京都出身。1987年に「うちの子にかぎって…スペシャルII」で脚本家デビュー。2003年には脚本を手がけたスペシャルドラマ「さとうきび畑の唄」が文化庁芸術祭大賞(テレビ部門)を受賞した。主な作品に「女王の教室」「家政婦のミタ」「純と愛」「偽装の夫婦」などがある。