中国ドラマ「キミに恋々(れんれん)!」特集 | 恋愛経験0のレスキュー隊長役でシュー・カイチョンの魅力炸裂、グーリーナーザー共演で贈るじれキュンラブコメの魅力をトーク (2/2)

女性が恋も仕事もどちらも実現している姿は爽快(小酒)

──最近日本に上陸したアレン・レンとアンジェラベイビーの共演作「トワイライト~恋がはじまる時間~」も奥手男子としっかり者の女子のラブストーリーでしたが、魅力的な組み合わせの1つですよね。

小酒 ヤン・ミーとシュー・カイが共演した「マリアージュ・ブラン~嘘つき弁護士の愛の法則~」もこのタイプに入りますかね?

島田 そう思いますね。あのドラマはリアルな描写をうまくラブコメに入れ込んでいました。奥手というとやや違うかもしれないんですが「黒豊と白夕~天下を守る恋人たち~」もよかったです。まずヤン・ヤンが魅力的だし、チャオ・ルースー演じる強気女子も嫌味がない。チャン・ビンビンが出演している「星が繋ぐ初恋~Here We Meet Again~」も素敵でしたね。

小酒 「可愛い秘書には野望がある」もこの組み合わせですよね。ケニー・リン演じる主人公が奥手にもほどがあるんですけど(笑)、タン・ソンユン演じるヒロインと少しずつ距離を縮めていく過程がじっくりと楽しめてものすごく満足度が高かったです。

──「奥手男子×しっかり者女子」のラブストーリーが支持される理由ってどんなところにあると思いますか?

島田 ドキドキする一方で安心感も得られる組み合わせですよね。

小酒 奥手男子を定義するのも難しいですけど、女性がリードして、男性が王子様になっていく過程が描かれるという点ではシンデレラものの逆パターンなのかなと思います。もちろんお互い対等な関係じゃないとダメなんですけど。

島田 あと、いつの間にか形勢逆転して積極的になってきちゃった奥手男子に女の子がタジタジみたいな、逆転劇も楽しいなと思います。押し返されて慌てちゃう強い女の子もかわいいし、ときめきます。

小酒 女性が恋も仕事もどちらも実現している姿は観ていて爽快だし、憧れますよね。「キミに恋々れんれん!」は女性の強さがポジティブに描かれているのも魅力的な部分。日本にもこういうタイプのドラマはありますけど、仕事はバリバリやっていても、私生活ではふにゃーっとしていたりダメな感じで描かれることも少なくない。グーリーナーザー演じるソン・シンチェンは常にキリッとしていて、周りから何を言われようと気にせず自分の信念を貫いてやりたいことを実現させていくので、中国ドラマらしいヒロイン像だなと思います。

グーリーナーザー演じるソン・シンチェン。劇中ファッションがネットショップで紹介され爆売れするなど話題を呼んだ。

グーリーナーザー演じるソン・シンチェン。劇中ファッションがネットショップで紹介され爆売れするなど話題を呼んだ。

島田 自分を持っているところがソン・シンチェンの素敵なところだと思うんですが、最初は少し自己中心的。そんな彼女が主人公の優しさやまっすぐなところに触れて、相手を思いやれる、本当の意味で自立した素敵な女性になっていく成長過程もこのドラマの魅力でしたね。観ていて元気になれるドラマでした。

小酒 「女性応援」をテーマにしている作品って、ついついそれをアピールすることに力が入りすぎてしまうものも中にはあると思うんです。でもこのドラマは、気楽なラブコメを観ているうちにそういったテーマをしみじみと感じられる作品。今は「フェムテック」や「フェムケア」が注目を集めていますけど、ヒロインが女性用グッズ店を始める設定だったり、ライブコマースで商品を売ろうとしたり、今の中国を映し出している設定も興味深く観ました。

島田 グーリーナーザーは今までクールな表情やツンとしたキャラクターのイメージが強かったんですが、この作品では優しい顔をたくさん見せてくれたのが印象的。イケイケのファッションだけじゃなく、意外と田舎のおばあちゃんが用意してくれた洋服をかわいく着こなしていて、そういうのが似合うって、改めてすごい美人だなと思いました。

小酒 もちろん、あんなイケイケファッションをさらりと着こなせるのもさすがグーリーナーザーですよね。

王道のラブストーリーが好きな人にお薦め(島田)

──スー・チンチョー、ソン・シンチェンのほかにも多彩な登場人物が本作には登場します。メインの2人以外にお気に入りのキャラクターや、注目してほしいサブカップルはいますか?

小酒 私はスー・チンチョーの親友ルー・チュンを演じたチャン・ホーが好きなんです。「酔麗花~エターナル・ラブ~」や「初恋王宮~お妃さまと呼ばないで~」では陰のある役で、「如歌~百年の誓い~」ではやんちゃな明るい役。私は後者が好きなので、そんなチャン・ホーが観られてうれしかったです。あと彼は細マッチョで鍛えているので、レスキュー隊員役はまさに私が求めていたチャン・ホー!(笑) チャラ男っぽくてお気楽に見せているけれど、本当は繊細で真面目という設定もよかった。彼とソン・シンチェンの親友ハン・シアオリーのサブカップルが繰り広げる不器用な恋の行方からも目が離せません。チャン・ホーとジャオ・ヤオコーは「初恋王宮」でも共演していて、これが3度目の共演なんです。

島田 私はヒロインの甥っ子チエン・チョンとモデルのガオ・チンインのカップルが好きでしたね。まさに初恋って感じで。チエン・チョンを演じているシア・ジーグアンってX玖少年団(X-NINE)のメンバーなんですよね。

小酒 そうそう。シャオ・ジャンやグー・ジアチェンはアラサーですが、シア・ジーグアンはグループの中でも年少組で今年24歳。だから、大学生の役もハマってます。

シア・ジーグアン演じるチエン・チョン。

シア・ジーグアン演じるチエン・チョン。

島田 そしてタン教授を演じるフー・シンボーも忘れちゃいけない! アイドルユニット「BOBO組合」で、彼はジン・ボーランの相方だったんですよね。

小酒 今回の教授役がすごく似合っていたのですが、回想シーンで若作りしているフー・シンボーもかわいかったです(笑)。すごく笑ったのがタン教授と、スー・チンチョーが裸でベッドで目覚めるシーン! 恋のライバルで競い合っていたはずが一緒に酔っ払った挙句、いつの間にか意気投合してる。

島田 タン教授とスー・チンチョーってマッチョか知性派かみたいな違いはあるけど、根本的に似たタイプの男性でどっちも奥手なんですよね。だからヒロインはこういうタイプの男性が好きなんだなって最終的にわかる(笑)。

大学教授のタン・ルイゾー。演じるフー・シンボーはジン・ボーランとのアイドルユニット「BOBO組合」で活動していた。

大学教授のタン・ルイゾー。演じるフー・シンボーはジン・ボーランとのアイドルユニット「BOBO組合」で活動していた。

──ドラマの魅力をたっぷりお話しいただきましたがこの作品、どんな方にお薦めですか?

島田 中華ラブコメが好きな人にはもちろんお薦めなんですけど、ちょっと懐かしい感じの日本の王道ラブストーリーが好きな人にはぜひお薦めしたいです。いろいろツッコみながら観てもらえたら楽しいと思います(笑)。先日、テレビドラマの王道シーンを詰め込んで作る「くりぃむしちゅーのベタドラマ」という番組で、ベタな恋愛ドラマの企画をやっていたんですけど、「キミに恋々れんれん!」はそのベタな展開をほぼ押さえているんです。いとうあさこさんたちがゲストで出ていたんですが、とても盛り上がっていて。だからけっこう、ドラマが好きで観ている方は、嫌いじゃないと思うんですよね、こういうラブストーリーが。

小酒 そう考えると中国ドラマを観たことがない人も楽しさを共有できるドラマですよね。1990年代の日本のトレンディドラマの雰囲気もあって、ロマンティックな世界観に浸りたい人にはお薦め。イルミネーションのバブリーなキラキラ感って、日本のドラマでは失われたものだと思っているんですが、中国ドラマはエネルギッシュでキラキラしている。やっぱり観ていてウキウキします。

中国ドラマ「キミに恋々(れんれん)!」場面写真

中国ドラマ「キミに恋々(れんれん)!」場面写真

中国ドラマ「キミに恋々れんれん!」第1話特別公開

プロフィール

小酒真由子(コサカマユコ)

フリーライター。アジアから欧米までドラマについて執筆。Cinem@rt「アジアドラマの処方箋」やCOSMIC MOOK「華流ドラマガイド」などでの連載も。ポッドキャスト番組「小酒真由子・島田亜希子の中華ドラマ雑談」、noteを随時更新中。

島田亜希子(シマダアキコ)

ライター。中華圏を中心としたドラマ・映画に関して執筆するほか、中文翻訳もときどき担当。Cinem@rtにて「中国時代劇トリビア」「アジア俳優名鑑」「中国エンタメニュース」を連載中。「中国時代劇で学ぶ中国の歴史」(キネマ旬報社)、「見るべき中国時代劇ドラマ」(ぴあ)などにも執筆している。