報われない感じが庄太っぽい!(蒼井)
──先ほど本番前に監督から新しい演出を受けたという話が出ましたが、今作で新しく挑戦したことは何かありますか?
妻夫木 撮影前は「ピアノで1曲弾いてくれ」と言われていました。スケジュールをなんとか調整して練習しようとしたんですけど、最終的には僕ではなく子供が弾くことになって。あと普通の調律の場面に加えて、もう1つ工場で調律しているシーンも作ると言われたので、けっこう練習しました。ビデオまで撮って家で予習復習もして現場でやったけど、(本編では)2秒くらいで終わって……。
蒼井 庄太っぽいね、その報われない感じ!(笑)
妻夫木 びっくりしたー。ちょっと弦を張ってクイックイッとやって、誰かに呼ばれて「はい!」と返事したらもう終わりだから。その前にもずっとやってたんだよ? マジかーと思って(笑)。
──ぜひメイキング映像集などで拝見したいです。
妻夫木 ぜひとも使ってほしいですね! 工場の方も「ここはこうしましょう」「やっぱり飲み込みが早いですねー。もうちょっとやりましょう」とすごく優しく教えてくださったので、けっこうノリノリでやっていたんですけど、全然使われてない!
西村さんの攻めの姿勢にヒヤヒヤ(妻夫木)
──蒼井さんは何か新しい挑戦はありました?
蒼井 私は特に挑戦はないかな……。脈を測ったくらいですかね?
妻夫木 優ちゃんはおじいちゃんの扱いがうまいなと思った。「食堂のラストオーダーが何時までだから、今行かないと」と声をかけるところとか、「何か欲しいものありますか?」と聞いて「ウイスキー」と答えられたときに「はいはい」って返すときの感じとか。
蒼井 憲子が仕事に慣れてきた感じは出せるといいなと思っていました。ここはちゃんと聞かなきゃいけないとかこれは聞き流していいっていう感覚は、同じ職場にいると養われるはずだから。それは自分の中で挑戦していたことかな。
妻夫木 あのやり取りは喜劇と現実の狭間にいる感じがしていいよね。山田監督は「男はつらいよ」や「学校」でも現実と人間が向き合う瞬間みたいなシーンを入れるじゃないですか。ああいうのが僕はすごく好きなんです。
蒼井 そういえば最初に山田組に参加させていただいたときに「セリフの一文字一文字に感情を込めてください」と演出を受けて。一文字か……と考えたんですけど。
妻夫木 すごいよね。(声のトーンを変えながら)「つーらーいーよー」ってなっちゃうもんね。
蒼井 そうしたら「つ、ら、い、がほぼ一緒だから駄目だよ、変えないと」って言われる。難しいなあと思ったんですけど、何作かご一緒させていただくようになってから、セリフを捨てることも許してもらえるようになってきてありがたいです。いつカミナリが落ちるかわからないから緊張感はあるんですけど。
妻夫木 ねえ、そうだよね。カミナリ様が……。
──今作の撮影では山田監督のカミナリはあまり落ちなかったんでしょうか。
蒼井 カミナリは落ちませんでしたが、演じていて急に閉じ込められる感覚がしたことはありました。これも違う、これも違うって。
妻夫木 みんなあるよね。
蒼井 そう。正解がわからなくなって、どこー?という気持ちになる。
──結局正解は見つかるんですか?
蒼井 わからないなりにいろいろやってみるんです。挑戦しつつ、守りにも入りつつ演じてみて。その点でいうと西村さんは攻めの姿勢だったよね?
妻夫木 西村さんは攻めてたねー! ヒヤヒヤしたよ本当に! 「(西村のモノマネをしながら)はい、はい。わかりました」みたいな。
蒼井 山田監督がしゃべっているのに最後まで聞かずに返事する人、初めて見た! 「(西村のモノマネをして)こうすればいいんですか?」ってね。みんな「やめてくれよ!」とハラハラしていたよね。
妻夫木 すごいよね……。(ポスタービジュアルの西村を指さして)西村さん、こんな顔してましたもん!
蒼井 それを見たみんなは「ヤバい!」ってこのあたり(橋爪や正蔵を指して)の表情になって。
今作でも“蒼井優先生”のエピソードが(妻夫木)
──前作は蒼井さんが山田監督にお話されたエピソードがそのまま劇中に使われたこともあったそうで、舞台挨拶で “原案・蒼井優先生”と言われていましたね(参照:「家族はつらいよ」原案は“蒼井優先生”、監督の山田洋次が認定)。今作でもそのようなことがあったのでしょうか?
妻夫木 今作でも“蒼井優先生”のエピソードがね。
蒼井 火葬場である出来事が起こるくだりは、私の友達の家族に実際に起きた話なんです。その話を山田監督にしたら、前作の撮影から1カ月後くらいにうなぎ屋さんに呼ばれて。山田監督が「あれはね、僕はねやっぱり撮りたいんですよ。問題は誰を殺すかです。誰がいいと思います?」とおっしゃられたので、「やっぱり小林稔侍さんですよね」と答えたら意見が一致して(笑)。あの描写が似合う人っていったら稔侍さんじゃないか?と思って、そうなりました。
妻夫木 まあそうだよね。
蒼井 同じことが実際に起きたときは、みんな泣いていたのに爆笑したそうです。もし思い付いたとしてもそれはないだろうなってことが、実際には起きますからね。ただ、それだけじゃなく、免許のことや無縁社会の話も交えると今の社会に通じる物語になるんだというのに感動しました。山田監督は、うなぎ屋さんでお重の下に敷いている紙をノート代わりにバーッて書き出していて。こうやって脚本を構築されるんだっていうのを見ることができたのもうれしかったです。
妻夫木 へえ!
蒼井 そっか、そういうふうに……。ところでその紙でいいんですか?と思って。
妻夫木 その紙をくれ!ってね。
蒼井 宝だ!と思った(笑)。
- ストーリー
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周造と富子の離婚騒動から数年、平田家の面々は平穏な暮らしを送っていた。周造はマイカーでの外出をささやかな楽しみとしていたが、その車体にへこみ傷が目立つようになり、家族から運転免許の返上を提案される。そんな折、高校時代の友人・丸田とひょんなことから再会を果たした周造。高齢にもかかわらず炎天下の中工事現場で働く丸田を励まそうと、なじみの居酒屋へ連れて行き酒を酌み交わす。そして酔って上機嫌になった丸田を平田家へ連れ帰り、一晩泊めることになるが……。
- スタッフ / キャスト
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監督:山田洋次
出演:橋爪功、吉行和子、西村雅彦、夏川結衣、中嶋朋子、林家正蔵、妻夫木聡、蒼井優、小林稔侍、風吹ジュン、劇団ひとり、笑福亭鶴瓶ほか
©2017「家族はつらいよ2」製作委員会
- 「家族はつらいよ」「男はつらいよ」シリーズ全作など山田洋次監督作品がビデオパスで見放題!
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- 配信作品
- 東京家族
- 家族はつらいよ
- 男はつらいよ
- 続・男はつらいよ
- 男はつらいよ フーテンの寅
- 新・男はつらいよ
- 男はつらいよ 望郷篇
- 男はつらいよ 純情篇
- 男はつらいよ 奮闘篇
- 男はつらいよ 寅次郎恋歌
- 男はつらいよ 柴又慕情
- 男はつらいよ 寅次郎夢枕
- 男はつらいよ 寅次郎忘れな草
- 男はつらいよ 私の寅さん
- 男はつらいよ 寅次郎恋やつれ
- 男はつらいよ 寅次郎子守唄
- 男はつらいよ 寅次郎相合い傘
- 男はつらいよ 葛飾立志篇
- 男はつらいよ 寅次郎夕焼け小焼け
- 男はつらいよ 寅次郎純情詩集
- 男はつらいよ 寅次郎と殿様
- 男はつらいよ 寅次郎頑張れ!
- 男はつらいよ 噂の寅次郎
- 男はつらいよ 寅次郎わが道をゆく
- 男はつらいよ 翔んでる寅次郎
- 男はつらいよ 寅次郎春の夢
- 男はつらいよ 寅次郎ハイビスカスの花
- 男はつらいよ 寅次郎かもめ歌
- 男はつらいよ 浪花の恋の寅次郎
- 男はつらいよ 寅次郎紙風船
- 男はつらいよ 寅次郎あじさいの恋
- 男はつらいよ 花も嵐も寅次郎
- 男はつらいよ 口笛を吹く寅次郎
- 男はつらいよ 旅と女と寅次郎
- 男はつらいよ 夜霧にむせぶ寅次郎
- 男はつらいよ 寅次郎真実一路
- 男はつらいよ 寅次郎恋愛塾
- 男はつらいよ 柴又より愛をこめて
- 男はつらいよ 幸福の青い鳥
- 男はつらいよ 知床慕情
- 男はつらいよ 寅次郎物語
- 男はつらいよ 寅次郎サラダ記念日
- 男はつらいよ 寅次郎心の旅路
- 男はつらいよ ぼくの伯父さん
- 男はつらいよ 寅次郎の休日
- 男はつらいよ 寅次郎の告白
- 男はつらいよ 寅次郎の青春
- 男はつらいよ 寅次郎の縁談
- 男はつらいよ 拝啓車寅次郎様
- 男はつらいよ 寅次郎紅の花
- 男はつらいよ 寅次郎ハイビスカスの花(特別篇)
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- 妻夫木聡(ツマブキサトシ)
- 1980年12月13日生まれ、福岡県出身。2001年公開の主演作「ウォーターボーイズ」で注目を集め、以降「ジョゼと虎と魚たち」「春の雪」「ザ・マジックアワー」「悪人」など数々の話題作に出演してきた。2017年「怒り」で第40回日本アカデミー賞の最優秀助演男優賞を獲得。主演作「奥田民生になりたいボーイと出会う男すべて狂わせるガール」が9月16日に公開される。
- 蒼井優(アオイユウ)
- 1985年8月17日生まれ、福岡県出身。1999年にミュージカル「アニー」でデビューし、2006年に公開された「フラガール」では第30回日本アカデミー賞の最優秀助演女優賞、新人俳優賞を獲得した。主な映画出演作は「リリイ・シュシュのすべて」「花とアリス」「百万円と苦虫女」など。公開待機作に「東京喰種 トーキョーグール」「彼女がその名を知らない鳥たち」「ミックス。」がある。
妻夫木聡:ヘアメイク / 勇見勝彦(THYMON Inc.) スタイリング / 望月唯(SUN'S&RAINBOW)
蒼井優:ヘアメイク / 石川智恵 スタイリング / 森上摂子(白山事務所)