オダギリさんにうまいことイジられる(麻生)
──以前インタビューで、オダギリさんは「コメディは楽しいというより、胃が痛くなる現場」とおっしゃってましたが、今回もそうでしたか?
オダギリ そうですね、特に三木さんの現場はみんなピリピリしてますよ。セリフも一字一句間違えられないし、ひと笑いのために培っていくものも必要なので。役者もそうですが、スタッフも緊張しています。でも、今回は吉岡さん、磯村(勇斗)くんが新しく加わって、ダッサい表現ですが、“フレッシュな”人たち(笑)が「時効警察」をどう変えてくれるのかというポイントがありますから、そこは観ている方も明らかな変化として楽しんでいただけるんじゃないでしょうか。
──オダギリさんや麻生さんは2シーズン分「時効警察」の撮影を経験されているので、現場の空気はご存知だと思うんですが、吉岡さん、磯村さんの“フレッシュ組”はどんな様子ですか?
オダギリ すごく柔軟に対応してらっしゃると思うんですけど、吉岡さんがインタビューで「こんなにピリピリしてると思わなかった」って言ってるのを読んだ気がします(笑)。もっとゆるく撮影していると思ったって。でも、笑いをこらえるのに必死なシーンも多いので、決して息苦しいという感じではなくて、いい緊張感なんですけどね。
──吉岡さんと磯村さんとは現場ではどういうお話をされてるんですか?
麻生 吉岡さんはすごくいい子なんですよ。気も使えるし、お芝居も魅力的なんですけど、人柄がとても好きです。自分の娘がこう育ってほしいと思うぐらいいい子! 吉岡さんが思ったことを素直に口に出して、それで現場が和むことが何度もあるんですよ。
オダギリ 麻生さんはちゃんと輪に入れてあげようと積極的に話してるよね? いや、僕がしてないみたいに聞こえるけど(笑)。
麻生 磯村くんはちょっと古い(笑)。
──古い?
麻生 リアクションとかがちょっと古い感じがするんですよ。そこが愛らしいんですけど(笑)。
オダギリ (笑)。あれは実際見てみないとわかんないよね。僕はけっこう人見知りだから麻生さんを介して話してる感じです。
麻生 本当にそうだよね。私がオダギリさんにうまいことイジられるというか……いや、うまいことじゃないか。
オダギリ あなたがイジられてる被害者だよ? 「うまい」って言っちゃうと、壮大な詐欺に引っかかってるよ。
メガネのおばさんだよね(オダギリ)
──衣装についても伺いたいと思います。霧山の髪の毛が「時効警察」「帰ってきた時効警察」とシリーズを重ねるにつれてどんどんボリュームアップしている気がするんですが……。
オダギリ あら、そうですか?
麻生 あ、でも最初の「時効警察」の頃は確かに髪短いかも。
──ニュアンスパーマみたいでしたよね。お二人は今回スタイリストさんやメイクさんと何か話し合われたことはありますか?
麻生 (首を大きく横に振る)
オダギリ え、ないの!? 嘘!
麻生 だってなんだっていいもん! あ、でもツインテールだけはちょっと難しいかもなと思ってました。「時効警察」が復活するってお話をいただいてから髪を伸ばしたんですけど、どうだろうなって。でも三木さんがいいって言ってるし、じゃあいいかと(苦笑)。オダギリさん、その場にいたじゃん!
──三日月に新しい髪型の候補があったんですか?
麻生 1つに縛ってるように見せて、襟足で2つに分けて前に流すとか、かなり後ろで2つに縛る案もありましたけど、無難にツインテールになりましたね。
──制服の色味も若干明るくなった気がします。
麻生 そうなんですよー。スカートの丈も少し長くしたので新しく作ってもらって……シーッ! この話もうしない!(笑)
オダギリ (爆笑)
麻生 でもパンツスーツにする案もあったんですよ。今までの制服の雰囲気を残しながら、ワイドパンツを合わせる。
オダギリ そうだったんだ!
──オダギリさんの衣装合わせでは何か新しい案が出たんでしょうか?
オダギリ 霧山がアメリカ帰りという設定だったので、衣装をアメリカ風にしようということになって70年代っぽい古着を集めてもらいましたね。ベルボトム風のパンツとか。
麻生 自分で意見出したの? 古着にしようとか自分で言ったの? すごいですね!
オダギリ 何、その質問(笑)。三木さんからだよ! でも「アメリカっぽくしてみますか」とか自分で言ったのかもね。
麻生 ほらあ。
オダギリ どっちでもいいでしょ、そんなの(笑)。でも前回までの霧山はイギリスっぽいというかモッズな私服だったので、スタイリストの西ゆり子さんや、三木さんと話してそこを変えようということになったんです。髪型に関していうと、三木さんは全然違うものでもいいっておっしゃっていたんですよ。
麻生 え、短髪とか!?
オダギリ さすがに短髪は……結んだりとかね。でもさっき、どんどんボリュームが増えているっておっしゃってましたよね?
──スペシャルドラマの告知ビジュアルがこちらなんですけど……。
麻生 これは確かにすごい! かつらみたい!(爆笑)
オダギリ いやもう、バッハみたい(笑)。前髪を上げないほうがよかったのかなあ。メガネのおばさんだよね。
「わあ、今回はなんだろう~?」みたいな(麻生)
──「時効警察」シリーズと言えば、事件解決後に霧山が犯人や関係者に渡す「誰にも言いませんよ」カードですよね。先日放送された第1話ではまさかの3Dタイプだったので「そう来るか……!」と思いました。
麻生 今回すごいよね?
オダギリ うん。あのシーンで遊ぶようになってるもんね。
麻生 前回そんなことなかったよね?
──カードの四隅を丸くした「誰にも言いませんよカードF」や、「誰にも言いませんがカード」はありましたよね。もしかして、3D以外にもバリエーションが増えたんですか?
オダギリ 実は毎回違うんですよ。
麻生 私も、誰にも言われていないのに新しい「誰にも言いませんよカード」を期待する演技になっちゃってるんですよ(笑)。
オダギリ (笑)。誰の演出でもないのに。
麻生 「わあ、今回はなんだろう~?」みたいな(笑)。でも、この間のカードは大変だったね。「水滴を……」と監督がこだわられて。
オダギリ 素材がねー(笑)。
──「時効警察はじめました」までの12年は、お二人にとってどういう期間だったんでしょうか。
オダギリ いやあ、皆さんと一緒ですよ。12年って長いですよね。でもそれほど経ってから復活するなんてことが奇跡に近いですから、なかなかないドラマだと思います。もともとあの当時に、ゼネラルプロデューサーの横地(郁英)さんと何かやりたいねと話していて、僕がそのとき三木さんと別の作品をやっていたので「三木さんは絶対テレビドラマをやると面白いから!」と言ってご紹介して、始まった企画だったんです。そうやってできあがったものだったので、自分の中でもその分思い入れが強いんですよ。
──なるほど。
オダギリ やっぱりあの時代になかった独特の笑いを持った作品なので、新しいものを作れた喜びもありました。だから今回、あれを超えるものができるかという心配はありましたね。そのぐらい大きな存在だと思っています。
麻生 本当に、(キャストが)よく集まれましたよね。
オダギリ でも麻生さんは「二度とやりたくない」って言ってたよね?
麻生 言ってないですよー! この人すぐそういうこと言うんですよ。本当いじめっ子!
オダギリ 12年後にまたやる?って聞いたら「無理!」って言ってたじゃない(笑)。
麻生 それは今みたいには働けないと思うよって意味! だって人によっては60歳過ぎてたりするでしょ。もうおじいちゃんおばあちゃんだよ。そんなの誰も見たくないよ!
オダギリ それだともう深夜枠よりも昼帯にやったほうがいいんじゃないの? 「やすらぎの郷」みたいに、「たそがれの時効警察」みたいな(笑)。
- 金曜ナイトドラマ「時効警察はじめました」
- 2019年10月11日(金)放送スタート
毎週金曜 23:15~24:05 ※一部地域を除く
- ストーリー
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時効になった事件を“趣味”で捜査する男・霧山修一朗が、FBIに派遣されてから12年が経ったある日、ふらっと総武警察署の時効管理課に帰ってきた。殺人などの重大犯罪の時効は廃止となったが、時効管理課には過去の事件資料がどっさり残されており、霧山は趣味の時効事件捜査を12年ぶりに復活させることに。離婚を経験したものの、霧山への恋心が再燃した交通課の三日月しずかも、下心をちらつかせながらお手伝いを名乗り出る。
- スタッフ / キャスト
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脚本・監督:三木聡、大九明子
脚本:福田雄、田中眞一、小峯裕之
監督:今泉力哉、森ガキ侑大、塚本連平
出演:オダギリジョー、麻生久美子、吉岡里帆、磯村勇斗、豊原功補、ふせえり、江口のりこ、緋田康人、内藤理沙・田中真琴、光石研、岩松了ほか
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初回登録30日間無料で映画・ドラマ・アニメも見放題。
- ビデオパスとは
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- オダギリジョー
- 1976年2月16日生まれ、岡山県出身。アメリカと日本でメソッド演技法を学び、2003年に第56回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に出品された「アカルイミライ」で映画初主演を果たす。2004年には「血と骨」で日本アカデミー賞最優秀助演男優賞を受賞し、その後ブルーリボン賞をはじめ、国内外の数々の賞を獲得する。近年の出演作には「湯を沸かすほどの熱い愛」「ルームロンダリング」「エルネスト もう一人のゲバラ」「宵闇真珠」など。第76回ヴェネツィア国際映画祭では、自身初の長編監督作「ある船頭の話」がヴェニスデイズ部門に、ロウ・イエがメガホンを取った出演作「サタデー・フィクション」がコンペティション部門にと2作品が同時出品された。
- 麻生久美子(アソウクミコ)
- 1978年6月17日生まれ、千葉県出身。1995年公開の「BAD GUY BEACH」で女優デビュー。1998年に公開された「カンゾー先生」での演技が評価され、第22回日本アカデミー賞最優秀助演女優賞をはじめ多数の賞を獲得する。その後、黒沢清が監督した「ニンゲン合格」「回路」、相米慎二の遺作「風花」、こうの史代のマンガを原作にした「夕凪の街 桜の国」、アボルファズル・ジャリリがメガホンを取った「ハーフェズ ペルシャの詩」などに出演。近年の出演作に「散り椿」「音量を上げろタコ!なに歌ってんのか全然わかんねぇんだよ!!」「翔んで埼玉」などがある。