オダギリジョーが主演、三木聡が監督を務めるドラマ「時効警察」。第2シリーズ「帰ってきた時効警察」から12年の沈黙を破り、新シリーズ「時効警察はじめました」の放送が10月11日にスタートした。趣味で時効事件を捜査する男・霧山修一朗が、赴任先のFBIから古巣の総武警察署に帰還。かつて捜査の助手を務めていた三日月しずかや、12年のうちに微妙に変化が生まれた仲間たち、フレッシュな新人たちと新たな時効事件に挑む。
映画ナタリーでは、主人公・霧山役のオダギリと、三日月役の麻生久美子の対談をセッティング。12年という歳月を経て復活した「時効警察」への思いや、新シリーズの見どころを、ドラマさながらの掛け合いを交えて語ってもらった。また、「時効警察」ではおなじみの“あのアイテム”について新たな事実が明かされる場面も。
取材・文 / 佐藤希 撮影 / 佐藤類
うれしいけどどうしようかなという気持ち(オダギリ)
──2007年に放送された第2シリーズ「帰ってきた時効警察」から12年ぶりの新作です。殺人など凶悪犯罪の公訴時効制度は2010年に廃止されましたが、このタイミングでの復活についてどう思われましたか?
オダギリジョー 単純にうれしかったです。でも、復活するという可能性を考えてなかったので、うれしいけどどうしようかなという気持ちもありましたね。
──どうしようというのは?
オダギリ せっかく皆さんに面白いと支持していただいていたので、いい思い出のままで終わらせておきたいという気持ちもあったんです。過去作以上に面白いものが作れるかどうかは、やってみないとわからなかったですし。そういう心配が正直ありました。
麻生久美子 実は何度か「もしかしたらやるかも」っていう話が出たけど、そのたびになくなっていたので、今回もなくなるんだろうなと思ってたんですよ。けっこう撮影のギリギリまで思っていました(笑)。
──今回、今泉力哉監督や大九明子監督らさまざまな監督や脚本家が参加されたことで、新しい「時効警察」の味のようなものは生じましたか?
オダギリ やはり監督によって好みが違うので、それぞれの色がちゃんと出ていると思いますね。ここにこんなにこだわるんだ!?という場面もあって、新鮮に感じます。大九さんは女性なので(吉岡里帆演じる)彩雲の演出にすごくこだわっていて面白いなと思ったり。でも、新しい監督や脚本を担当する人たちはプレッシャーもあると思いますし、三木(聡)さんが作ったあの世界観に入るのは大変だろうなと思います。だからなるべくやりたいことを実現させてあげたいというか、とにかく協力者でいたいと思ってます。
麻生 そうですね。
──麻生さん演じる三日月がバツイチという設定にすごく驚きました。
麻生 ね、私も驚きました! 霧山くん以外と結婚するんだー!と思いましたよ。元旦那は刑事課のエースっていう設定らしいですけど、本当によく捕まえられましたよね(笑)。
──麻生さんがこれまで演じられてきたキャラクターの中でも、三日月はかなり独特な存在に感じます。三日月役を演じる際のスイッチのようなものはあるんでしょうか。
麻生 確かに独特ですね。三日月のキャラクターは三木さんが最初に作ってくれたと思うんです。ほかのコメディのお仕事をしても三日月のようにはならないんですよ。三日月は思ったことを素直に表情や言動で表すことができる役で、自由度が高い気がします。
──過去作ではいきなり歌いだしたり、路上でバレーボールのスパイクを打つふりをしたりと三日月が暴走する場面もありますが、今回の壊れポイントをお聞きしてもいいですか?
麻生 今回は過去作ほど壊れてないですね(笑)。でも彩雲とプロレスするシーンはあります! その場面で彩雲がいい感じの弾けっぷりを見せてくれるので、とっても魅力的ですよ。あとは、柔道したり、バトンをしたり……、まあまあありましたね(笑)。時効管理課の掛け合いもパワーアップしてて面白いと思います。
「よくないな、調子乗ったな……」って反省してました(麻生)
──お二人が「時効警察」の世界に戻ってきた!という気持ちになったのは、どういう場面だったんでしょう?
オダギリ 僕はやっぱり麻生さんとのやり取りじゃないですかね。衣装合わせで会ったときに、久しぶりすぎてちょっと照れましたね。居心地悪い空気になってたと思います(笑)。でも次の日からは普通に、すっと12年前のやり取りに戻ったので、そこが「時効警察」だなって思いました。麻生さんとの待ち時間で生まれたやり取りを本編に入れたり、即興的な芝居に組み入れてたり、僕は麻生さんからけっこういろんなものを吸収して芝居に生かしていたので今回もそれができるんだなと楽しみでした。僕からすると、麻生さんがいないと「時効警察」はできませんね。麻生さんが「時効警察」の裏番長な気がしています。
──麻生さんはいかがでしたか?
麻生 確かに最初は少し距離があったような……。でもすぐに打ち解けて以前のような掛け合いができました(笑)。
──お二人はずっとコンビを組まれているので、自分が同じ立場だったらさすがにもういい加減に相手と話すこともないだろうなと思うんですが、普段どういうことをお話されてるんですか?
麻生 もう内容も覚えていないぐらい、本当にくだらないことを延々と話しています。ある回の撮影のときは、私がテンション高くなっちゃって、ゲストの人もいらっしゃるバスの中でどうでもいいことをオダギリさんとずーっと話していたので「これ絶対ウザいよね……」と思いました(苦笑)。
オダギリ 2人はなんとなーく話しているんですけど、周りの人からすると、それはそれは入りにくいじゃないですか。
麻生 そのときは「よくないな、調子乗ったな……」って反省してました。
オダギリ うん、反省してたね。でも反省したあと、すぐに爆睡してましたよね?(笑)
麻生 寝てたよね!(爆笑)でも、そんな感じで「何話そうかな」っていうことを考えずに済むのでとてもありがたい人です。やっぱり長いこと一緒に仕事していたのもありますし、今回の「時効警察」も撮影期間が長いので、そういう気を使わずにいられる人と一緒だと楽しいですね。
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オダギリさんにうまいことイジられる(麻生)
- 金曜ナイトドラマ「時効警察はじめました」
- 2019年10月11日(金)放送スタート
毎週金曜 23:15~24:05 ※一部地域を除く
- ストーリー
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時効になった事件を“趣味”で捜査する男・霧山修一朗が、FBIに派遣されてから12年が経ったある日、ふらっと総武警察署の時効管理課に帰ってきた。殺人などの重大犯罪の時効は廃止となったが、時効管理課には過去の事件資料がどっさり残されており、霧山は趣味の時効事件捜査を12年ぶりに復活させることに。離婚を経験したものの、霧山への恋心が再燃した交通課の三日月しずかも、下心をちらつかせながらお手伝いを名乗り出る。
- スタッフ / キャスト
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脚本・監督:三木聡、大九明子
脚本:福田雄、田中眞一、小峯裕之
監督:今泉力哉、森ガキ侑大、塚本連平
出演:オダギリジョー、麻生久美子、吉岡里帆、磯村勇斗、豊原功補、ふせえり、江口のりこ、緋田康人、内藤理沙・田中真琴、光石研、岩松了ほか
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- オダギリジョー
- 1976年2月16日生まれ、岡山県出身。アメリカと日本でメソッド演技法を学び、2003年に第56回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に出品された「アカルイミライ」で映画初主演を果たす。2004年には「血と骨」で日本アカデミー賞最優秀助演男優賞を受賞し、その後ブルーリボン賞をはじめ、国内外の数々の賞を獲得する。近年の出演作には「湯を沸かすほどの熱い愛」「ルームロンダリング」「エルネスト もう一人のゲバラ」「宵闇真珠」など。第76回ヴェネツィア国際映画祭では、自身初の長編監督作「ある船頭の話」がヴェニスデイズ部門に、ロウ・イエがメガホンを取った出演作「サタデー・フィクション」がコンペティション部門にと2作品が同時出品された。
- 麻生久美子(アソウクミコ)
- 1978年6月17日生まれ、千葉県出身。1995年公開の「BAD GUY BEACH」で女優デビュー。1998年に公開された「カンゾー先生」での演技が評価され、第22回日本アカデミー賞最優秀助演女優賞をはじめ多数の賞を獲得する。その後、黒沢清が監督した「ニンゲン合格」「回路」、相米慎二の遺作「風花」、こうの史代のマンガを原作にした「夕凪の街 桜の国」、アボルファズル・ジャリリがメガホンを取った「ハーフェズ ペルシャの詩」などに出演。近年の出演作に「散り椿」「音量を上げろタコ!なに歌ってんのか全然わかんねぇんだよ!!」「翔んで埼玉」などがある。