月川監督と歳を取ってもご一緒できたら（北川）

──皆さん役柄とシンクロしていたんですね。北川さんが月川監督の作品に出演されるのは3作目ですが、北川さんのどこに魅力を感じますか。

月川　作品で毎回魅力が変わるんです。「君の膵臓をたべたい」では、このキャラクターならそう言うなと納得するようなアドリブをたくさん出してくれました。今回は、一緒に作品を作っていくというか、一緒に平手さんを演出してもらっているような心持ちでした。「君の膵臓をたべたい」で築けた信頼関係で、伴走してくれた感じ。

──今後も月川監督の映画でどんな北川さんが観れるか楽しみです。

北川　常連みたいな感じで出られたらうれしい。月川監督の映画は、そのときの役者のよさやきらめきを作品に切り取って残してくれるので、歳を取ってもご一緒できたらいいなと思います。

──廃棄された原稿をふみに拾われた響はラッキーだったと思いますが、お二人が最近ラッキーだったことはありますか？

北川　「響 -HIBIKI-」に参加してからずっとラッキーだと思ってます。今年の春からずっと平手さんのいろんな顔を見てきて、私しか見ていない表情や私しか知らないエピソードもあるから特別な感じがします。欅ファンの方、すみません！という感じですね。自分だけが知ってる響の魅力を伝えたいふみと平手さんの魅力をたくさんの人に知ってもらいたい自分の思いがリンクしてるんです。

──北川さんの愛が伝わります。月川監督はいかがでしょう。

月川　僕も「響 -HIBIKI-」に出会えたことですね。この作品と平手さんに出会って物作りをする姿勢を正されたような気がします。今回はサービスショットとかを気にせず作ったけれど、エンタテインメントになったのが自信になりました。初めて恩師の黒沢清さんに手紙を書いてチケットを送りました。

──お二人の言葉から「響 -HIBIKI-」が自信作だということが伝わります。

北川さんから「特撮出身の意地です！」とメールが来た（月川）

──小説「お伽の庭」は響の転機となりますが、北川さんの転機となった役や作品はありますか。

北川　デビュー作の「美少女戦士セーラームーン」です。1年間同じ役に向き合って演じていく忍耐力が付きました。あと、JACさんに学んだアクションが、映像に映ったときの体の動かし方とか見せ方の基盤を作ってくれました。特撮でデビューするのはすごくいいことだなと思います。あと、森田芳光監督とご一緒させていただく機会が続いて、それが映画を好きになるきっかけになりました。ほぼ10代の頃の経験なんですけど、そのときがあって今がある気がします。

──北川さんのルーツにはアクションがあるんですね。

月川　ふみと響が取っ組み合って花瓶を割る一連の流れを北川さんが一発で決めてくれて。「今日はありがとうございます」とメールをしたら、「特撮出身の意地です！」とメールが来ました（笑）。

──いい話ですね（笑）。北川さんと月川さんがタッグを組んだアクション映画が観たいです。

月川　いいですね。僕はアクションやりたいですから！

──月川さんの転機となった作品を教えてください。

月川　「君の膵臓をたべたい」ですね。いろんなチャンスをいただけるようになったし、そこで出会った人とそのあとも仕事をしている。北川さんもそうですし、小栗（旬）さんや浜辺（美波）さんも。

──では最後に、この映画を観る方にメッセージをお願いします。

北川　主演が10代の子ですけど、大人が観ても感動できるいろんなメッセージを持った作品です。刺さるセリフがたくさんあって、ドキッとしたり、もっとシンプルに生きようと思えるような作品になったと思います。

月川　響の生き方をまず観てください。この映画で僕は特定のメッセージを発信してないし、万人受けしなくてもいいと思ったので、皆さんがこの映画をどういう言葉で語るのかが楽しみ。いろんな意見を聞きたいし、作品を通じて僕も観客の方と一対一で対話をしたいです。