ロシア発ダークファンタジー「魔界探偵ゴーゴリ」シリーズ 森川智之インタビュー|ロシアが誇る文豪はダークヒーローだった!?「SHERLOCK」コンビ再タッグの日本語吹替版をTV初放送

「魔界探偵ゴーゴリ」が面白い4つの理由

文 / 前田かおり

まるでロシア版「文豪ストレイドッグス」

主人公のニコライ・ゴーゴリは1809年にロシア帝国のウクライナに生まれた小説家(没1852年)。ロシアのエドガー・アラン・ポーと呼ばれる文豪で「検察官」「外套」「死せる魂」などの著作があり、芥川龍之介をはじめ、日本文学にも強い影響を与えている。そして悪魔や魔法使い、妖女などの民間伝承を織り交ぜたゴシックスタイル作家でもあった。本作ではそんな彼が、異世界とつながる特殊な力を持っていたという設定にして、難事件を解決していく。日本でも太宰治、芥川龍之介、中島敦ら文豪たちを主人公にしたバトルアクションを描き、アニメ化もされている「文豪ストレイドッグス」が人気を集めているが、本作はまるでロシア版「文豪ストレイドッグス」のようなもの。そしてストーリーはゴーゴリの短編集「ディカーニカ近郷夜話」を原案にしたダークファンタジーだ。

物語の舞台は1829年のサンクトペテルブルク。作家志望のゴーゴリは生活のために秘密警察の書記官をしていた。ある事件現場で、いろんなものが見えてしまう特殊な能力を捜査官のグローに買われて、ウクライナの寒村で起きた若い美女だけが狙われる連続猟奇殺人事件を捜査することに。突如、気絶しては事件のビジョンが見えるゴーゴリ。その力によって、容疑者として浮かび上がった恐ろしくもおぞましい姿をした“黒騎士”と、事件の真相に近付いていく。シリーズ3部作を通して解き明かされる黒騎士の正体。そしてなぜ、ゴーゴリは神秘的な力を持つのか。ヒネりの効いたストーリーに、おどろおどろしい黒騎士や魔女などダークファンタジー要素たっぷり。さらにロシア美女たちとのロマンス要素、捜査官グローとの思いも寄らぬ展開も、一度観ると気になってハマること請け合い!

ヘタレ探偵ゴーゴリを放っておけない

イケメンと言うには、気弱でいつもおどおどしているゴーゴリ。実際の彼も、駆け出し時代に自費出版した詩が酷評され、失意のどん底に落ち国外に逃亡するほどメンタルが弱かったらしい。本作でも酷評された本を暖炉にくべるシーンがあるが、とにかく繊細。探偵グローにちょっと意見されるとへこみ、屈強な男たちを相手にすると縮こまる。ヘナチョコでかっこいいところなどまったくない。だが、なぜか美女にはモテる。作家ですもん、インテリですもん。弁が立つ。いかにもモラハラしてそうな夫と暮らす、薄幸そうな伯爵夫人にひと目惚れ。夫人もゴーゴリに気のある素振り……。一方、異世界とつながる力を持つゴーゴリ、なんと美しき亡霊から惚れられてしまう。そして幼い女の子からも「ゴーゴリさん、ゴーゴリさん」と慕われ、老いも若きもこの世の者じゃない者までの母性本能をくすぐる。

どこか放っておけないというか、ついつい構いたくなるキャラクターを演じるのはアレクサンダー・ペトロフ。1989年生まれの彼は、SFスリラーの「アトラクション 制圧」や、戦争アクションの「T-34 レジェンド・オブ・ウォー」など近年のエンタメ系ロシア映画で大活躍する人気スターだ。そんな彼が終始、青白い顔して、神経症的なゴーゴリを好演する。ハリウッドスターとはひと味違うロシア俳優の魅力に浸ってみてはどうだろう。

主役を支えるクセモノキャラたち

まるでダメな探偵ゴーゴリを取り巻くキャラクターにも注目したい。まず仕事の最中でも突如気絶するゴーゴリの隠された能力を見抜いた捜査官グロー。完全に上から目線で、常に慇懃無礼な男だが、シャーロック・ホームズ以上にキレ者で何を考えているのかわからない。演じているのは、ニキータ・ミハルコフ監督の名作「太陽に灼かれて」の主演俳優オレグ・メンシコフ。ベテランの味で、本作の面白さをグーンとアップしている。また、なかなか捜査が進まないゴーゴリを支える仲間とでも言うようなキャラクターたちも登場する。すぐにへこたれるゴーゴリに幼い頃から仕えている召使いヤキムや、手術に失敗したことから人間にメスを入れられない村医者ボンガート、強面だが絵がうまい鍛冶屋ヴァクーラと彼の幼い娘ヴァシリナ。それぞれがゴーゴリの捜査を助けながら、彼らのドラマも描かれる。ちょっといい話を巧みに絡め、時には涙も誘う。お楽しみ満載のロシアン・ダークファンタジーなのだ。

こだわりの世界観、迫力満点のVFX

オープニングにして深い森の中に不気味に現れる黒騎士。邪悪さ一色のビジュアルは迫力満点、そのうえ無頼の男たちを瞬殺し、冷酷にも若き美女の血しぶきを吸い取る。グロくてエグい描写もあるが、19世紀のロシアという時代感、黒騎士や魔女の存在を信じるような寒村のムードが独特な世界観を作り上げている。重厚で美しい映像を手がけた撮影監督は、ロシアで大ヒットした「ナイト・ウォッチ/NOCHNOI DOZOR」「デイ・ウォッチ」のセルゲイ・トロフィモフ、VFXは「アトラクション 制圧」「ガーディアンズ」などを手がけたロシア最高峰のクリエイターが担当し、ハリウッドに負けない仕上がりに。特に3部作のラスト、黒騎士との壮絶な闘いはスリリングで血湧き肉躍るはずだ。

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