2012年にテレビアニメが放送され、2015年11月に劇場版が封切られた「ガールズ＆パンツァー」の最新作「ガールズ＆パンツァー 最終章」が全6話構成でロードショー。“最後の戦い”の開幕を告げる「『ガールズ＆パンツァー 最終章』第1話」が12月9日よりついに全国公開される。

映画ナタリーでは、12月2日にKBS京都とBS11、3日にTOKYO MXで「ガールズ＆パンツァー 劇場版」が放送されるのにあわせ、主人公の西住みほを演じた渕上舞にインタビューを実施。「最終章」について尋ねたほか、“乙女の嗜み”として存在している武道・戦車道に青春を懸けるみほたちへの思い、本シリーズを振り返っての感慨などを明かしてもらった。また渕上によるテレビアニメと「ガールズ＆パンツァー 劇場版」の見どころ紹介や、フォトギャラリーも掲載している。

取材 / はるのおと　文 / 伊東弘剛　写真 / 佐藤友昭

意外とリラックスしてる

──「『ガールズ＆パンツァー 最終章』第1話」の公開を控える今の心境を教えてください。

思いのほかリラックスしています。2016年の8月に製作が発表されたときはまだまだ先の話だなと思っていたんです（参考：「ガールズ＆パンツァー」新作の制作決定、イベントの様子収めたBD/DVD発売も）。もちろんアフレコに臨んだときは「いよいよだな！」と感じましたが、公開が近付くにつれて緊張感が高まってくるかなと思っていたんですけど、意外とそうでもなくて。今は、ファンの方々に早く観てほしいという気持ちや、始まるのが少し寂しいという思いなどさまざまなものが混ざり合い相殺されて意外とリラックスしてます（笑）。

──周りの声優さんやファンの方々からの反応はいかがですか？

映画館で予告編が流れ出してから、「ガルパン（ガールズ＆パンツァー）」に出ていない声優仲間をはじめいろんな方から声をかけていただけるようになりました。「いよいよ始まるんだねー」とか。私はリラックスしているんですが、周りは期待してくれているのが伝わってきてうれしいです。

エリカとのやり取りと沙織の彼氏が見たい

──「最終章」第1話の台本を読んだときどのような印象を持ちましたか？

真っ先に楽しいなって感じました。それは、テレビアニメが廃校騒動や西住家の話など物語が進むにつれて描かれるものがシリアスになっていったことと、「（ガールズ＆パンツァー）劇場版」は戦闘がメインだったのでドキドキハラハラさせられるシーンが多かったからだと思うんです。そこに慣れてしまっていたので、「最終章」の第1話は日常シーンがすごい魅力的に思えて。戦車との関係よりも、人と人との関係、キャラクター同士のやり取りがメインの印象で、テレビアニメの最初のほう、居心地のいい場所に帰ってきたような感覚を覚えました。癒やされるというか、落ち着いた気持ちで楽しめました。

──渕上さんは「劇場版」の公開1周年を記念する舞台挨拶で「（西住）みほとお母さん（西住しほ）が面と向かって和解してほしい」と語っていました。「最終章」第1話のアフレコを終えた現在、今後の展開の希望は何かありますか？

2話以降はまだ私も知らされていないので、今後どうなっていくか楽しみです。そしておっしゃっていただいた通り、お母さんとのやり取りは見たいです。その関係が私の中ではまだ解決していなくて、モヤモヤ感が残ってるので。あとは（逸見）エリカとのやり取りをもっと見たい！ 「劇場版」でかわいらしくなっていたので（笑）、接してみたいです。それと（武部）沙織に彼氏ができればいいなあ。

──アフレコのとき何か印象に残っていることはありますか？

アフレコブースになぜかボコ（の着ぐるみ）がいました。みんなボコとワイワイ楽しそうにしていたんですが、私はなんでいるんだろう？って目で見てしまって。そうしたらボコが手を振ってくれたんですけど、私は振り返さなくて……塩対応してしまいました（笑）。でもボコがいてくれたおかげで、キャストの人数が多いにもかかわらずアットホームな雰囲気で収録ができましたね。私もじっくりと丁寧に収録をさせていただけました。

華さんは6話の中でどこまで行ってしまうんだろう？

──渕上さんの中で「最終章」第1話の注目キャラクターは？

（河嶋）桃ちゃんがいつも以上に桃ちゃんって感じでいいんですけど、個人的には新生徒会長になった（五十鈴）華さん！ 知られざる一面が見れてカッコよかったです。華さんは第1話でこれなので、第6話のときはどこまで行ってしまうんだろうって感じです。華さんを生徒会長に選んだ先輩たちの選択がよかったのか悪かったのか見守りたいと思います。

──台本を拝見したのですが、女子校に似つかわしくない場所で華が活躍しますよね（笑）。

はい。そこは長めのシーンなので楽しみにしてほしいです。今までの「ガルパン」らしからぬシーンで、女子高生なのにいいのかなあと（笑）。あとアフレコのときは画に色が着いてたり着いてなかったりでしたし、そこから音楽も入りますのでどんな雰囲気になるのか私も期待しています。

「劇場版」は集大成からターニングポイントへ

──2015年11月に公開された「ガールズ＆パンツァー 劇場版」は今振り返ってみてどんな作品ですか？

これまでは集大成だと思っていたんですけど、「最終章」全6話の製作が決まった今は集大成ではなくなってしまったので……（笑）。だから新しい中間地点になりました。「ガルパン」の物語がこれから続いていく中で、キャラクターたちのターニングポイントになったのかなと思っています。私たち声優陣にとっても大きな思い出のある作品ですし、今現在も上映してくださっている劇場があることにびっくりです。

──「劇場版」で「ガルパン」のことを知った方も多いですよね。

そうですね、映画館で上映されるというのは大きいなと。テレビアニメは深夜帯で放送されていたこともあり、普段からアニメを観る層以外の方に知っていただくのはなかなか難しかったと思うんです。でも映画館で上映される場合、公開される前に予告編が流れたりポスターが貼ってあったりして、多くの人に知ってもらえる。この業界ではない友達に「この映画、舞ちゃん出ているんだよね？」とか言ってもらえたりもして。劇場で公開されるというのは大きなことなんだなと実感しました。

──それはうれしい反応ですね。

それに劇場で観るのにものすごい適した作品だと思います。パッケージ商品が出てから、手元に持っているのに劇場に足を運んでくださる方がたくさんいらっしゃったみたいなんです。それは「ガルパン」のスタッフが戦車の音や映像の細かいところまでこだわって作り込んだ結果なんだと思います。