映画ナタリー Power Push - 「ゴースト・イン・ザ・シェル」

“SFアクションの金字塔”と称される士郎正宗のマンガ「攻殻機動隊」は、2029年の日本を舞台に草薙素子率いる公安9課の活躍を描いたサイバーパンクSF。押井守によって1995年に劇場アニメ化され、米ビルボード・ビデオヒットチャートで1位を獲得した。以降も数々の映画、テレビシリーズが生み出され、海外にも多くのファンを持つ同作が、このたびハリウッドで初の実写映画化。スカーレット・ヨハンソンが主演を務め、「ゴースト・イン・ザ・シェル」のタイトルで4月7日に公開される。

ナタリーではコミック、音楽、映画、お笑いの各ジャンルで、ゲストを招いたインタビュー特集を実施。圧倒的な情報量を誇る原作マンガや「人を人たらしめるものは何か?」というテーマに迫った押井版アニメの魅力などに加え、いまだベールに包まれた実写版に期待することを語ってもらった。

長年のファンも初心者も“ゴーストのささやき”に身を任せて、広大なる攻殻機動隊の世界にダイブしよう。

タランティーノも熱狂、
押井守や神山健治が紡いできた草薙素子の物語

押井守が1995年に発表した「GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊」は、クエンティン・タランティーノやラナ&リリー・ウォシャウスキー姉妹ら海外のクリエイターにも多大な影響を与えた。続く2作目「イノセンス」は、2004年のカンヌ国際映画祭コンペ部門に日本のアニメとして初めてノミネート。同時期に、“笑い男事件”を巡る「攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX」と、“個別の11人事件”を描く「攻殻機動隊 S.A.C. 2nd GIG」という2つのテレビシリーズが神山健治によって製作された。そして2013年、草薙素子が公安9課に入る前の時代を切り取った「攻殻機動隊 ARISE」でシリーズが再始動。同作の総監督・黄瀬和哉は、2015年に「攻殻機動隊 新劇場版」でも総監督を務めている。

「GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊」より。©1995 士郎正宗/講談社・バンダイビジュアル・MANGA ENTERTAINMENT

スカーレット・ヨハンソン、ビートたけしが
公安9課のメンバーに

ハリウッド版「攻殻機動隊」の企画が始動したのは2009年。自身も攻殻ファンを公言するスティーヴン・スピルバーグが実写映画化権を獲得し、その動向に世界中から熱い視線が注がれていた。そんな中、満を持してメガホンを取ったのは「スノーホワイト」のルパート・サンダースだ。原作の草薙素子に当たる主人公の“少佐”役は、スカーレット・ヨハンソンが担当。「アベンジャーズ」シリーズのブラック・ウィドウ役で知られる彼女が、今作でも激しいアクションシーンに挑んだ。また、少佐の上司で公安9課を創設した荒巻大輔にビートたけしが扮するほか、役名は不明だが桃井かおりの参加もアナウンスされている。

「ゴースト・イン・ザ・シェル」より、スカーレット・ヨハンソン演じる少佐。

光学迷彩や多脚戦車も登場、
監督が詰め込んだ攻殻シリーズへの愛

サンダースは2016年11月に来日した際「『攻殻機動隊』ファンなので、サイバーパンクの美意識をキープしながら、自分がインスピレーションを受けたものを実写化して届けたい」と語った。予告編には、ネオンが輝く猥雑な街並み、少佐がビルからダイブする姿や光学迷彩を用いて戦う様子、芸者型ロボットに多脚戦車……と攻殻シリーズではおなじみの場面やモチーフが満載。さらにテレビアニメ第2期「攻殻機動隊 S.A.C. 2nd GIG」にも登場する革命家クゼをマイケル・ピットが演じており、少佐に意味深な言葉を告げるシーンも。ファンにとっては、過去作のエッセンスがどのように取り入れられているかを発見する楽しみもありそうだ。

  • 「GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊」より。©1995 士郎正宗/講談社・バンダイビジュアル・MANGA ENTERTAINMENT
  • 「ゴースト・イン・ザ・シェル」より。
  • 「攻殻機動隊 S.A.C. 2nd GIG」より、草薙素子のダイブシーン。©士郎正宗・Production I.G/講談社・攻殻機動隊製作委員会
  • 「ゴースト・イン・ザ・シェル」より、少佐のダイブシーン。
  • 「ゴースト・イン・ザ・シェル」より、光学迷彩を使用して戦う少佐。
  • 「ゴースト・イン・ザ・シェル」より、芸者型ロボット。

キャラクター紹介

少佐(スカーレット・ヨハンソン)
少佐(スカーレット・ヨハンソン)
悲惨な事故を経験し、脳以外は全身義体となった女性。公安9課の実質的なリーダーであり、高いハッキング技術と格闘能力を持つ。
荒巻大輔(ビートたけし)
荒巻大輔(ビートたけし)
サイバー犯罪の脅威から世界を守るため、公安9課を創設した人物。1995年公開作「JM」以来のハリウッド映画出演となるビートたけしが、監督の熱望を受けて原作キャラに近い髪型で演じる。
バトー(ピルウ・アスベック)
バトー(ピルウ・アスベック)
公安9課のメンバーであり、少佐のよき相棒。屈強な肉体とレンズ状の義眼がトレードマーク。扮するのは「LUCY/ルーシー」でもヨハンソンと共演したピルウ・アスベック。
オウレイ博士(ジュリエット・ビノシュ)
オウレイ博士(ジュリエット・ビノシュ)
映画オリジナルのキャラクターで少佐の全身義体化に関わる人物。「トスカーナの贋作」でカンヌ国際映画祭女優賞を受賞したフランスの女優、ジュリエット・ビノシュが演じる。

映画「ゴースト・イン・ザ・シェル」2017年4月7日全国公開

ストーリー

ネットに直接アクセスできる電脳技術が発達し、人々が義体(サイボーグ)化を選ぶようになった近未来。脳以外は全身義体の“少佐”が率いるエリート捜査組織・公安9課の面々は、サイバー犯罪やテロ行為を取り締まるべく日夜任務を遂行していた。そんな中、ハンカ・ロボティックス社の推し進めるサイバーテクノロジーを狙うテロ組織と対峙することになった少佐。上司の荒巻大輔や同僚のバトーらと捜査を進めていく過程で、彼女は自分の記憶が操作されていたことに気付く。

スタッフ

監督:ルパート・サンダース
原作:士郎正宗「攻殻機動隊」
脚本:ジェイミー・モス、ウィリアム・ウィーラー、アーレン・クルーガー

キャスト

少佐:スカーレット・ヨハンソン
荒巻大輔:ビートたけし
オウレイ博士:ジュリエット・ビノシュ
クゼ:マイケル・ピット
バトー:ピルウ・アスベック
トグサ:チン・ハン
イシカワ:ラザルス・ラトゥーエル
サイトー:泉原豊
その他出演者:桃井かおり、福島リラ、山本花織ほか

「GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊」
「GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊」
販売元:バンダイビジュアル
[Blu-ray Disc] 7344円 / BCXA-0293
バンダイビジュアル
「攻殻機動隊 S.A.C. 2nd GIG Blu-ray Disc BOX:SPECIAL EDITION 特装限定版」
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販売元:バンダイビジュアル
[Blu-ray Disc] 43200円 / BCXA-1098
バンダイビジュアル

2017年4月6日更新