中川大志が主演、「虹色デイズ」「ステップ」の飯塚健が監督を務めた「FUNNY BUNNY」が4月29日に公開される。本作はうさぎの着ぐるみによる図書館襲撃とラジオ局電波ジャック、2つの事件に隠された謎と悲しい真実を描くシニカルミステリー。岡山天音、関めぐみ、森田想、レイニ、ゆうたろう、田中俊介、落合モトキ、角田晃広、菅原大吉もキャストに名を連ねた。
映画ナタリーでは特集第1弾として中川と飯塚の対談を掲載。第2弾となる今回は“同じ匂い”を感じるという中川と関に、連日行われた深夜の撮影や“人救い屋”である主人公について語ってもらった。また、うさぎの着ぐるみを被っての撮影が想像以上にハードだったと語る2人。その理由とは……?
なお「FUNNY BUNNY」は劇場公開と同日にauスマートパスプレミアムで配信される。追加料金はかからず、税込548円の月額料金だけで観ることが可能だ。同サービスはauユーザーに限らず、スマートフォン・タブレットを持っているすべての人が利用できる。
取材・文 / 小澤康平 撮影 / 後藤壮太郎
ずっと終わらない1日のような感覚(関)
──中川さんと関さんは、2020年9月に開催された飯塚健さん演出・脚本・選曲のバラエティショー「コントと音楽 Vol.2 他人関係」でも共演されています。「FUNNY BUNNY」の撮影には、最初から打ち解けた状態で臨めたのでしょうか?
中川大志 そうですね。稽古含めたら1カ月くらい一緒にやっていたので。
関めぐみ 大志くんが出演している「虹色デイズ」を観ていたので、次は映画で共演できるんだとワクワクしていました。
──現場では中川さんがチームを引っ張っていたと伺いました。
関 円陣組んだりしてましたね。私は現場で、周りの方とのコミュニケーションが最小限になることもあるんですが、今回は大志くんのおかげで明るくいられた気がします。
中川 深夜の撮影が多く、シリアスなシーンが続くこともあったので、みんな気が滅入ってきてしまうんです。その中で自分を含めどうモチベーションを高めていくかを考えていて、その方法の1つが円陣でした。僕はオンとオフを切り替えて取り組むのが好きなので円陣を組んだんですが、関さんからすると巻き込まれた感じですか?(笑)
関 そんなことない!(笑) 朝日を浴びない日が続いて、ずっと終わらない1日のような感覚があったので、気合いを入れる行動は大事だったと思います。
中川 「コントと音楽」のときも、「熱いな」「うるさいな」と思われていないかちょっと心配だったんです。でも優しく見守ってくれる方なんだなと。僕がマイペースにふざけているときは乗ってきてくれることもあったので、撮影中は安心感がありました。
関 大志くんより私のほうがマイペースだと思いますけどね。
中川 あ、それはそうかも(笑)。
関 (笑)
中川 自分のペースがあるんだろうなと感じていたので、それを邪魔しないことは心掛けていました。僕もその波はあるので同じ匂いを感じたと言いますか。
関 あははは。伝わっていてよかったです。
物語の展開はスマート、キャラクターは人間臭い(中川)
──「FUNNY BUNNY」は図書館襲撃とラジオ局電波ジャック、2つの事件を軸にしたミステリーです。映画を観た今はわかるのですが、最初に情報を知ったとき、どんなテイストなのか想像ができない作品だなと思いました。
中川 そうなんですよね。こういうふうに取材を受けていると「どんな映画ですか?」と質問されることがあるんですが、「ファニーなうさぎたちの話です」と言うしかなくて。正直僕もこの映画を表現するにふさわしいキャッチフレーズはまだ見つけられていません。
関 群像ミステリーではありますよね。剣持(聡)くんと彼を取り巻く人々がいて、物語が進むにつれてそれぞれの過去や抱えている闇が明らかになっていく。剣持くんに振り回される人たちの物語でもありますし、救われた人たちの話とも言える。
中川 今作含めると飯塚監督とは6回仕事をしているんですが、時系列をシャッフルして物語を推進するのは監督の持ち味なのかなと思います。それが最終的につながっていくトリックが仕掛けられているところが、おしゃれでかっこいいんですよね。
関 小説の文体もおしゃれですよね。剣持くんたちがよく行く中華飯店の前の道をトラックが走っていくシーンがあるんですが、読みながら「うわーおしゃれだな」と思ったのを覚えています。
──原作小説でも、過去と現在が交錯しながら話が進んでいきますね。
中川 小説ではもっとたくさんのエピソードが出てきて、「どう映像化するんだろう?」と思っていました。いくつかのエピソードは削ぎ落とされていますが、それによって「FUNNY BUNNY」らしさが凝縮されたなと感じていて。
──どのあたりに“らしさ”を感じているんでしょうか?
中川 物語の展開はスマートな一方で、キャラクターは生っぽいところですかね。人間臭いというか。それが「FUNNY BUNNY」の世界観だと思います。
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“人救い屋”になってる(中川)