マーベル・スタジオの最新ドラマ「ファルコン&ウィンター・ソルジャー」が、ディズニープラスで独占配信中。本作は「アベンジャーズ/エンドゲーム」後の世界で、“新たなキャプテン・アメリカ”の誕生を描くクライムアクションだ。
映画ナタリーでは、本作の配信開始を記念した特集を展開する。本企画では、マーベル好きの著名人や映画ライターが最新話について語り合う座談会を毎週お届け。動画生配信を実施する週もあるのであわせてチェックしてほしい。
文 / 浅見みなほ、山里夏生
「アベンジャーズ/エンドゲーム」のラストでは、絶対的なヒーローであるキャプテン・アメリカが、その象徴の盾をファルコンに託すさまが描かれた。本作の物語はその直後、ファルコンが盾の称号と責任に悩むところからスタートする。そしてファルコンは、キャプテン・アメリカの親友だったウィンター・ソルジャーとタッグを組むことになるが……。また「シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ」でアベンジャーズを危機に陥れた敵、ヘムルート・ジモの再登場も見逃せない。
「キャプテン・アメリカ」シリーズに直結する、ファン必見の本作。マーベルらしいアクションを交えたスリリングな物語を通して、「混沌とした時代にヒーローは必要とされているのか?」という問いを突き付ける。新たなキャプテン・アメリカの誕生を巡る物語が、ここに開幕!
よしひろまさみち×SYO×映画ナタリー編集部マーベル担当 座談会
最終話(4月23日配信)
胸アツとしか言いようのない脚本!「キャプテン・アメリカ」カラーを進化させた社会派ドラマ
「胸アツ」としか言いようのない脚本でした(よしひろ)
映画ナタリー編集部マーベル担当A 先ほど最終話をご覧いただいたばかりですが、まずは率直なご感想から伺えると幸いです!
よしひろまさみち 一言で言うと「胸アツ」としか言いようのない脚本でしたね! 最初、ファルコンがコスチュームチェンジしたところからアゲアゲでしたけど、ホロッときちゃったのは……サムの大演説。あれは今の社会にバッチリフィットするセリフ。
SYO あれは泣きました。
編集部A 権力者に「力をどう使うかを考えろ」と言うのは、今回全体を通してファルコンや新キャップが悩んできたヒーローの力のことも指していて胸アツでした……。
よしひろ その結論を、新世代がきっちり言語化したのは意義深いですね。
SYO 個人的に思ったことなのですが、現代社会とフィットしている部分は、製作期間の短いドラマというのも大きかったのかなと。より世相を反映できたような……。配信順が前後しちゃったこととかあるからなんとも言えない部分はあるのですが。
よしひろ いやいや、配信時期は奇跡的に大成功ですよ。だって、ブラック・ライヴズ・マター(BLM)の鍵を握る判決がつい先日出たばかり。ファルコンを主人公にしている以上、BLMは切っても切れない話にはなるだろうと。
編集部A 「社会派ヒーローアクション」と言い切っていい作品ですよね!
しっかり社会派にしてきた(SYO)
よしひろ そして、恐ろしいのはクリエイター。初回時には総監督を務めたカリ・スコグランドの才能にたまげたと言いましたが、脚本家も務めたクリエイターのマルコム・スペルマンはドラマ「Empire 成功の代償」での実力もさることながら、本作ではアフリカ系の市井の人々のカルチャーを見事に切り取ってますね。マジ見事。
SYO んーなるほど! 「キャプテン・アメリカ」シリーズってずっとアメリカの内部告発的な要素があったと思うのですが、それをより全面的に押し出してきて、しっかり社会派にしてきたのは熱かったです。
よしひろ キャップの単体映画はどれも、アベンジャーズをつなぐ重要なエピソードになっていたけど、これもその立ち位置を引き継ぎそうですね。
SYO それこそ、誰が次のアベンジャーズのリーダーになるのかも気になります。
編集部A ファルコンがヒーローとして大きな決意をしたことが、絶対に今後の作品につながってくると思うので、みんなこれを観ないと次の映画に進めないのでは?と思うくらいです。
よしひろ 第5話のサムとバッキーのいちゃこらも、あれがなかったらこのエピソードの2人の関係はなかったものね。本当に無駄なしの脚本だわ。
SYO あと、ここ数話の盛り上げ方が半端なくなかったですか? 翌週が待ち遠しくて仕方なかったです。
よしひろ 本当に素晴らしかった。2時間尺の映画では無理だったのが理解できます。
善の答えは民衆が握っている(よしひろ)
編集部A では、本作でのジョン・ウォーカーはいかがでしたか? 個人的には人間くさい葛藤が描かれていて、最終話で好きになりました。
よしひろ うわー……好み分かれますよね、ジョン・ウォーカー。あたしは最初からダメ。
編集部A (笑)
よしひろ あまりにも考え方が素人過ぎて、ヒーローには向かないキャラですよね。まずアンガーマネジメントしないと。でもそんなウォーカーも、究極の選択シーンでちょっと見直しましたが。
編集部A バッキー好きのSYOさんはジョンを認められたのでしょうか……?
SYO 無理(笑)。
よしひろ だよねー!!
編集部A お二人とも厳しい!(笑)
SYO 自家製の盾の後ろに“ある物”を仕込んでいたのはなかなか熱かったです。ただやっぱり、盾を汚した罪は重いですよ。
編集部A 最終話では盾を手放してまで人助けをしようとする描写がありましたが、マーベルは最後までどれだけ盾の使い方がうまいんだ!と思ってしまいました。おっしゃる通りすごい脚本です。
よしひろ MCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)ってフェーズ2あたりから、いわゆる勧善懲悪ではなくなったじゃないですか。善悪の境があいまいで、真に求められている善の答えは、民衆が握っているっていう。その方向性を明確に打ち出したなって思いました。
SYO ただ、ジョンに関して言うと、やっぱりアメリカの被害者ですよね。
よしひろ それで言うと、イザイアの伏線も回収されていて抜け目がなかった。
SYO あそこの舞台は第1話の伏線回収にもなってますもんね! あと、めっちゃ細かいところなんですが、バッキーがアプリを使いこなしていましたよね? 第1話の小ネタがこんな重要なところで……!とバッキー推しとしてはシビれました(笑)。
愛されるキャラって万国共通なんだ(SYO)
編集部A あと個人的にこのドラマを通してジモ株が爆上がりしてしまいまして。ジモ、最高じゃないですか……?
よしひろ 控えめに言って最高ですね。
SYO 右に同じですね。
よしひろ そもそもダニエル・ブリュールを使っておいて、劇場版1回だけ(「シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ」)って贅沢すぎじゃない?と思っていたので、こうしてジモがフィーチャーされたのはうれしいですね。
編集部A 囚人、ひねくれもの、男爵(おじいちゃん執事が仕えている)、家族を失っている暗い過去、ダンスが下手、なんだかんだ主人公たちに協力する……などツボをつくような設定ばかりで。世界的にもジモがTwitterトレンドになっていたりして、今後の再登場にも期待せざるを得ません。
SYO ジモを観ていると、愛されるキャラって万国共通なんだなと思いますね。この属性だったら2次元作品でも間違いなく推されると思います。
編集部A ちょっとロキにも近いですよね。
SYO そうなんです!
よしひろ 次はそんな「ロキ」のドラマではないですか!
編集部A 6月からディズニープラスで配信ですね! 愛されトリックスターが……。ジモロスの人々にも手厚い供給でありがたいです。
よしひろ そこまで手抜かりなし(笑)。
SYO あと今後も普通に出て来そうなのはジョン・ウォーカー。
よしひろ ジョン・ウォーカーは、マーティン・フリーマン演じるエヴェレット・ロスのようにちょいちょい出てきそう(笑)。
SYO なるほど、わかりやすい例え!
おかわりにちょうどいい味付け(よしひろ)
編集部A ではそろそろまとめとして、「ファルコン&ウィンター・ソルジャー」全体の感想と今後のマーベルへの期待をうかがえますか。
よしひろ あたし、トニー・スタークなき今、どうやってヒーローの新兵器が開発されているかっていうのが気がかりで。今回で言うと、ファルコンの新コスチューム。
SYO ワカンダっぽい匂わせがあったので、ブラックパンサーの妹のシュリですかね。
よしひろ そのわりには、ちょっと関わり薄い気がしていて。
編集部A バッキーがワカンダのアヨとやり取りをしたあと、ファルコンに新コスチュームのケースを渡すくだりがありましたね。
よしひろ ウィンター・ソルジャーの腕しかり、基本ヴィブラニウムの鋳造に関してはワカンダがやってると考えないといけないんですが、とはいえシュリがここまでやってるの?とか思ったり。
SYO それはあれですよ。バッキーがデザインしたんですよきっと。妄想ですが(笑)。アヨに「もう1つ頼まれてくれ」と言っていたので、きっといろいろ踏まえてデザイン画とかを描いて……。
よしひろ いやーん。アガる設定(笑)。今回のラストのバッキー、萌え萌えが爆発して3回観直しました。セバスタ(セバスチャン・スタン)のかわいさをよくわかっておる。
SYO バッキーがほほえむシーンとかヤバかったですもんね。完全に需要をわかってらっしゃる。作品全体の感想としては、やっぱり社会的なテーマを盛り込んで、今の時代に完全にフィットさせたところですね。これだけ混乱している世の中で、ヒーローものも変わっていかざるを得ない。その気概をものすごく感じました。ただ、本作で急に突飛なことをしたわけではなく、「キャプテン・アメリカ」シリーズのカラーを継承して進化・深化させたところが素晴らしかったです。キャラクターの掘り下げとしてもファンが期待するもの以上を入れてくれて、感謝しかないです。今後への期待は、公式でここまでやってくれたので、ファルコン&ウィンター・ソルジャーが、コンビヒーローとして活躍する姿をもっと観たいですね。欲しがっていいんだ!となったので。
編集部A まだファルコンが「バック」と呼ぶことを認めるところまでは行っていないですもんね。
SYO “アッセンブル”的なやつを……「左を見ろ」的なやつを……ファルコンとウィンター・ソルジャーで観たいなあと。あと言い忘れてたけど、バッキー×バイク。本当にありがとうございました。
よしひろ MCUって劇場版は一度観ると「おかわりはしばらくいいかな」っていう味の濃さがあるんだけど、「ワンダヴィジョン」しかり本作しかり、ミニシリーズにすると、すぐにおかわりしたくなるちょうどいい味付けなんですよね。1エピソードが懐石料理の一品みたいな。1エピソードあたりの尺と話の山が、おかわりにちょうどいいというか(笑)。今後、フェーズ4の新キャラに関しては劇場版が決定してますけど、これまでのレジェンドキャラはいくらでもミニシリーズにできそうで、可能性しか感じられないのよね。恐ろしや。
SYO 底なし沼ですよ……。
編集部A ジモのミニシリーズを待ってしまう自分もいます。
よしひろ 「ロキ」からヴィランズシリーズスタートってことでしょ! ディズニーヴィランズのように……(笑)。
(構成:浅見みなほ、山里夏生)
- よしひろまさみち
- 映画ライター、フリー編集者。sweetやotona MUSEでカルチャーページの編集・執筆を手がけ、日本テレビ系「スッキリ」の映画紹介コーナーにレギュラー出演している。MCUの推しキャラはロキ。
- SYO(ショウ)
- 映画、ドラマ、アニメ、マンガ、音楽などのジャンルで執筆するライター。装苑、sweet、BRUTUS、GQ JAPANなどの雑誌のほか、多くのWeb媒体にも寄稿している。Yahoo!公式コメンテーターとしても活動中。MCUの推しキャラはバッキー。
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「ファルコン&ウィンター・ソルジャー」キャンペーン
期間:開催中〜2021年4月25日(日)毎週金曜 12:00〜日曜 23:59
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2021年4月23日更新