空の魅力は思いやり（三森）

──三森さんは、空を演じるにあたって重松さんからアドバイスを受けたことはありますか？

三森　第1章のときに、花鳥さんが空についてさらっと言った一言に「あっそうか！」となりました。

重松　なんだろう？

三森　「空は母性だからねえ」とおっしゃっていて。私は、空はお姉さんっぽいキャラクターなんだなと思っていたんですけど、納得しました。それからは「空は母性、空は母性……」と意識しながら演じていましたね。

──なるほど。三森さんが考える空の魅力はどんなところでしょうか。

三森　思いやりですね。自分のことよりもまず人のことを助けてあげたいという気持ちがあったりとか、みんなを支えるお姉さん的な役割をしていたりとか。他人に自然と手を差し伸べるタイプで、本当に母性あふれる女の子なんですよね。

──一方、パートナーの重松さんから見た空とは？

重松　ピヨモンにとって、空はすべてです。第3章で“リブート”が起こるときに、デジモンたちが「どうしよう、パートナーと離れたくない」「でも、こんなことを言っていてもなんにもならないよね」と話していると、ピヨモンが「そうよ、これ以上こんなことを話しても空が悲しむだけ」と言うんですが、そこでなんで空なの？ 空のことしか考えてないの？と思ってしまいました。最初は甘えん坊だったピヨモンを、空が成長させてくれて、ピヨモンが一緒に成長していって空を守るまでになる。高め合っていくパートナーなので、やっぱりかけがえのない存在ですよね。

花鳥さんのお芝居がテストのときより冷たかった（三森）

──第4章では空とピヨモンがお話の中心になっていますよね。さらにサブタイトルが「喪失」とヘビーな展開を予感させるものですが……。

重松　ピヨモンが空に冷たいんです。しかもどんどんエスカレートしていってね。本当にごめんなさい（笑）。公開されているPVやニコ生ではそういうシーンがすでに流れていて、実は「おっ、言っちゃうんだ」とびっくりしてました。

三森　空とピヨモンは第3章まではすごく平穏に過ごしていたので、第4章で平和な日常が急にガラッと変わってしまった喪失感みたいなものがありました。リブートによってゼロになった状態から、空がどうピヨモンとの仲を深めていくか、絆を取り戻していくかという感じがすごく健気なんですよね。

──確かに、第4章は空にとっては試練ともいえる展開でした。重松さんは、ピヨモンとしてそんな空をどういう気持ちで見ていましたか。

重松　私は、悩む空をサポートするのは絶対にピヨモンなんだと信じていたんですよ。第3章では「空はいつも人のことばっかり、でもピヨモンは空のことが一番だよ」なんて感じだったので、第4章ではサポートするぞ！という気持ちがあったんです。それがむしろかき回して空を悲しませている。本当に「デジモン tri.」という作品には、台本を開くたびにびっくりさせられます。

三森　今回は監督から花鳥さんに「テストのときよりもさらに冷たく」と指示があったんです。だから空のセリフも、より戸惑いが出ていたり、ピヨモンに対する「どうして？」という気持ちが大きくなっていて。自分自身が空になって、その言葉を発信している感覚がありました。個人的には、お芝居をする楽しみをすごく味わえましたね。