マーベル・スタジオの最新作「キャプテン・マーベル」が、3月15日に公開される。シリーズで初めて女性ヒーローを単独主人公に据えた本作は、記憶喪失の戦士が、アベンジャーズ誕生の鍵を握るヒーロー“キャプテン・マーベル”として目覚めるさまを描くサスペンスフル・アクションだ。
ナタリーでは本作の公開を記念した特集を展開する。映画ナタリーでは、キャプテン・マーベルというキャラクターの魅力を徹底的に紹介。映画ライター・渡辺麻紀のコラムや、4月26日公開の新作「アベンジャーズ/エンドゲーム」の考察コーナーも展開している。なお音楽ナタリーでは、本作をいち早く鑑賞した、大のマーベルファンで知られる夜の本気ダンスのベーシスト・マイケルのインタビューを後日公開する。
文 / 浅見みなほ(P1)、渡辺麻紀(P2)
キャプテン・アメリカやアイアンマン、スパイダーマンらヒーローが所属するアベンジャーズ。この映画で描かれるのは1990年代半ば、そのアベンジャーズが誕生する以前の物語だ。主人公は、宇宙に名を馳せるクリー帝国で、エリート・ソルジャー・チーム“スターフォース”に所属する1人の女性。ある出来事で瀕死の重傷を負い、記憶を失った彼女は“ヴァース”という名を与えられ、エリート戦士に育て上げられていた。失った記憶に隠された“秘密”を狙われ、宿敵・スクラル人に捕らわれたヴァースは、逃亡の末に“惑星C-53”こと地球・アメリカのレンタルビデオ店に不時着することとなる。
そしてマーベルファンにとってうれしいのが、「アベンジャーズ」シリーズなどでヒーローたちを率いてきた国際平和維持組織S.H.I.E.L.D.(シールド)の長官ニック・フューリーの登場。この頃の彼はまだ、宇宙人の存在を信じていない。しかし空から降ってきたキャプテン・マーベルと彼の出会いが、地球を守るためヒーローたちを集結させる“アベンジャーズ計画”の起点になるのだ。ドラマ「エージェント・オブ・シールド」でも知られるシールドのエージェント、フィル・コールソンが、“新人”だった頃の初々しい姿も見逃せない。
キャプテン・マーベル(ブリー・ラーソン / 吹替:水樹奈々)
- 名前
- 呼び名は“ヴァース”
- 所属
- クリー帝国の戦力部隊
スターフォース - 年齢
- 20代後半?
- 出身
- 記憶喪失のため不明
クリー帝国
マーベル主演俳優はここまでやる!ブリー・ラーソンの役作りと体作り
2015年の「ルーム」で第88回アカデミー賞主演女優賞に輝いた現在29歳のブリー・ラーソン。マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)で初となる女性単独主演を果たした彼女にとって、本作は初めての本格アクション映画でもある。
「キャプテン・マーベル」に向けた彼女のトレーニングは、撮影の9カ月前から始まった。ボクシング、キックボクシング、柔道、レスリング、柔術、筋力トレーニングに励んだラーソンは、ついに約102kgのデッドリフトや約101kgのヒップスラストができるまでたくましくなった。デッドリフトとは、床に置いてあるバーベルをつかみ、曲げていたひざを伸ばす形で宙に持ち上げるウエイトトレーニング。その状態で102kg=2リットルの水入りペットボトル51本分の重さを持ち上げると想像すれば、どれだけのものかがわかるはず。彼女の努力の証はInstagramの動画投稿から確認できるが、5000ポンド(約2267kg)のジープを生身で押すトレーニングまで行っているから驚きだ。
さらにラーソンは3カ月をスタントトレーニングに費やし、撮影では自ら多くのスタントをこなした。激しいアクションシーンとエモーショナルで繊細な芝居を同日に撮影することもあったという。「思っていたよりもさらに、心身両面において自分は強い、と気付いたの」と語るラーソン。彼女が演じることによって、キャプテン・マーベルのパワーと不屈の心に説得力が増しているのだ。また「彼女(キャプテン・マーベル)はいつもベストな選択をしているわけではない。本作の旅を通して、自身の欠点や間違いに向き合い、自分が何者であるべきかを受け入れていくの」というラーソンの言葉通り、劇中では彼女がヒーローとして目覚めていく過程も丁寧に表現されている。
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渡辺麻紀によるコラム
2019年3月19日更新