幻徳の変化にためらいはありました(水上)
──役とご本人が離れていくことで言えば、水上さんと氷室幻徳が顕著な例ですよね。最近の幻徳は私服がダサいことが判明したり、Tシャツにプリントされた文字で会話するようになったりと、コメディ要素を担うキャラクターになってきています。
水上 そうですね。幻徳に近付いていたら、マズいですからね。
犬飼 でも、本当に申し訳ないんですけど、最近剣星さんがカッコよく見えなくなっちゃいました(笑)。
赤楚 そういう意味では、役に近付いてるのかも。
滝 さっき1年前の剣星さんの写真を見せてもらったんですけど、すごくカッコよくて。
高田 うん、カッコよかった!
武田・赤楚 過去形(笑)。
──幻徳のキャラクター性の変化は、ためらいなく受け入れられましたか?
水上 ためらいは、ありました!
武田 そうそう、こういうところで言っておいたほうがいいよ!
水上 特にこの間放送されたある回はためらいましたね。オンエアを観たら、けっこう駄目だと思いました。あそこまでやっちゃいけなかったって、今でも思っています。
武田 剣星さん、怒ってます? 大丈夫?(笑)
滝 その回については、私も同じ意見です! 幻徳さんに引っ張られて、紗羽までおかしなことになってきて。
水上 なんか、全部俺のせいみたいになってる。
──ですが、ダサいファッションに関しても、あそこまでダサさの記号を身に着けないといけないのは、水上さんのポテンシャルに太刀打ちできないからですよ。
水上 本当ですか、ありがとうございます!
犬飼 コロコロされてる(笑)。剣星さんも石ころだ!
一同 (笑)
真面目な話はしたことないんじゃないかな(赤楚)
──映画の話題に移りたいと思います。本作では北九州にて大規模ロケを行いましたが、その際犬飼さん、赤楚さん、武田さん、水上さんは“ホテルで朝まで語り明かした”そうですね(参照:「ビルド」犬飼貴丈や赤楚衛二、北九州ロケ振り返る「ホテルで朝まで語り明かした」)。製作発表のステージでは幻徳のセリフにちなんで回想されていましたが、ホテルでは作品に関する真面目なお話をしていたんですか?
犬飼 真面目な話は、1つもしていないです!
赤楚 今までもしたことないんじゃないかな?ってくらいですよ、僕たち。
水上 うん、本当にないですね。
犬飼 北九州のホテルでは、もしも将来自分が父親になったらどうする?みたいな、もしも話で盛り上がっていました。
武田 そうそう。どういう音楽が好き?みたいな。しかも剣星さんと貴丈が、「いや、俺はこれ嫌いっすね!」みたいに激論を交わし始めるんですよ(笑)。僕も音楽が好きだからそれをちゃんと聞いてるんですけど、赤楚はまったくわからないから、ただボーっとしてる時間があって。
赤楚 遠い目をしてましたね(笑)。
犬飼 芝居の話とか、恥ずかしいですよね。
武田 貴丈はたまに「芝居やりたいっすから!」みたいな熱いキャラになるときもあるんだけどね(笑)。でも1つ言えるのは、みんなこれだけキャリアがあって個性も強いので、特別な議論をしなくても現場で足並みをそろえることができる。それはこのビルドチームのよさなのかなって思いますね。芝居論を押し付けることもなく、「用意ドン」と現場でスタートを切った瞬間、それぞれのキャラとして演技ができるんです。
滝 そうですね。そのうえで、現場で修正し合うことはありますけど。
武田 だから、現場以外では本当に友達みたいな感覚で仲良くやっていますし、それがいいんだと思います。
これから内海の内面が描かれていく(越智)
──「劇場版 仮面ライダービルド Be The One(ビー・ザ・ワン)」では、“ラブ&ピースのために戦う”という主人公・桐生戦兎の信念にまつわる秘密が明かされました。
犬飼 その真実については知らずに演じて来たんですが、脚本を読んで特に驚くことはなかったです。そもそも戦兎がラブ&ピースとうたっているときにはもう過去の記憶がなかったので、偶然というか、今回明かされることと直接関係はないと思っていて。戦兎がこの真実を頭の片隅で覚えていたという解釈もあると思いますが、もっと信念の部分に突き動かされて、戦兎はおのずとラブ&ピースと言っていたんだと思う。それが結果的に、この映画で描かれる真実とつながっていたのかなと。
武田 映画を観た人にはわかると思うけど、そういう解釈、すごくいいね。戦兎の底の部分から出てきたラブ&ピースという言葉が、知らずのうちにあの事実につながっていたんだ。
──戦兎がラブ&ピースのために戦っているとしたら、ほかの皆さんが演じるキャラクターはなんのために戦っていると思いますか?
赤楚 万丈はもちろん、ラブ&ピースです! 戦兎からここまでもろに影響を受けているのは俺だけかな。
──万丈がラブ&ピースのために戦うようになる、という変化は「仮面ライダー平成ジェネレーションズFINAL ビルド&エグゼイドwithレジェンドライダー」で丁寧に描かれましたね。
高田 (石動)美空もやっぱり戦兎くんにはすごく影響を受けていて、ラブ&ピースの精神を持っていると思います。戦兎くんが倒れそうになったとき「ラブ&ピースのためなんじゃないの?」と言っていつも支えているので。
武田 (猿渡)一海の場合は、ラブ&ピースと似ているんですけど、北都という故郷のため、仲間のために命を懸けていますね。
水上 幻徳はやっぱり、(山田)明郷さんですかね。
武田 明郷さんって! お父さんって言ってくださいよ(笑)。
水上 そうでした(笑)。明郷さん演じる幻徳の父、氷室泰山です。
滝 (滝川)紗羽はどうですかね……。
犬飼 難波重工のためじゃないの?
高田 冷たいよ(笑)。
滝 そっか、すべては難波重工のために(笑)。でも今まで家族と呼べる人がいなかった紗羽にとって、戦兎たちが初めてできた家族のような存在なんです。だからラブ&ピースまで大きな信念を持っているという感覚よりは、大切な存在を失いたくないっていう気持ちで、いつも支えているのかなと。
越智 内海は、最初から最後まで難波会長のためなんですが……。
犬飼 でも、これから見せ場があるじゃん!
越智 そうですね。幻徳さんに対して思うこともありますし。内海は育ててくれた実の親もいなくて、ずっと難波会長に育ててもらっていたんです。そういうシーンもこれから描かれていきます。
滝 視聴者の方の内海に関するコメントで、ちょっとウルッときたのがあって。紗羽にとっての戦兎たちのように、内海には救ってくれる新たな存在が現れなかったんだよね。だからスタークの側に付かざるを得なかったんだなって思う。
武田 でも内海も信念を持って動いていることが、最終回までに見えてくるんだよね。だから内海の気持ちを、視聴者の方々が理解することになると思う。
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次に共演するなら、無人島に移住した家族の役とか(滝)