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実は前作と今作はある意味まったく違う作品なのかなとも考えています

──本作は「ボス・ベイビー」の続編になりますが、最初にオファーを聞いたときの感想は？

「続編が作られます、大人ティムの出番もあります」とお伺いして、「やった！ また出られる！」と喜びました。ただこんなメインの役になるとは思っていなかったので、感謝の気持ちが大きかったです。大人のティムが小さくなるストーリーだと聞いて、ますますワクワクしましたね。前作はほぼナレーションでの参加だったので、今作でほかのキャラクターたちとガッツリ絡めたこと、「ボス・ベイビー」のはちゃめちゃな空気感をより感じられたことがとても楽しかったです。

──完成作を観て、どんな点に魅力を感じましたか？

昨今珍しいくらいハッピーな気持ちで終われる、みんなが幸せな気持ちになれる、なんて心温まるいい作品なんだろうと思いました。試写室で観させていただいたんですが、周りの関係者の方からも幸せな感動の涙があふれていたので、その光景も素敵でした。ティムを演じる身としては、兄弟の絆と親子の絆が色濃く描かれていた点に心動かされましたね。

宮野真守

──前作との違いやパワーアップしたところはどこでしょうか。

実は前作と今作はある意味まったく違う作品なのかなとも考えています。前作は子供ががんばる大冒険的なお話でしたが、今作の主軸は大人の想いになっています。見た目は赤ちゃんになっていてもボスもティムも中身は大人なので。ビジュアル面でのはちゃめちゃさは前作に共通しますが、根本では異なるテーマを表現している。そこに製作陣の作品への愛情深さと、同時に面白さを感じました。

「ボス・ベイビーファミリー・ミッション」より、左からボス・レディ、若返ったボス・ベイビー、若返ったティム。

ドリームワークスの表現はエンタテインメントとして素晴らしい

──ティムの声を担当するにあたって意識していたことは？ 前作で子供のティムを演じた芳根京子さんは、今作ではティムの娘タビサ役で参加されましたね。

今作では大人ティムの心情がしっかり描かれています。実際、実年齢的にも僕とティムは近いものがあるので共感できることも多かったですね。僕も、まあ、おっさんなので（笑）、たまに声がおっさんになりすぎる瞬間があったようで。中身が大人になったとはいえ、かわいい子供のティムから出てくる僕の声を聞いたディレクターから「前作は芳根さんなので、若干その要素を入れてください」ということを言われて、確かにそうだと思ったところがありました（笑）。僕としてはそこまで意識していたわけではなかったんですが、たまに低く、渋くなりすぎたかもと思うときは、芳根さんを思い出しながら調整していきました（笑）。

左から大人になったティム、ボス・レディ、大人になったボス・ベイビー。

──ほかにディレクターとどんな話をされましたか？

ティムは大人になっても変わらず子供心を持ち続けています。その無邪気さが原因で、成長した娘のタビサと行き違っているように見えてしまうシーンがあります。実はタビサはそんな父親に憧れもあるんですけど、素直に出せないんですね。ティムはティムで、子供っぽい自分では父親としてダメなのかなと悩む部分があるので、そういった子供心と親心の心情は、ディレクターとのやり取りの中でいろいろ発見していった点です。

──まさに子供心を失わないのがティムの魅力だと思います。

ティムは誰に対しても、遊び心を持って友達のような雰囲気でいてくれる父親なのも魅力的でした。前作にも出てきた目覚まし時計のおじいさん（ウィジー）のシーンも、ティムの子供心ゆえの豊かな想像力がなせる描写なのかなと。

宮野真守

──火山が噴火したり歌の楽しさを表現するシーンがあったり、アニメーションも迫力があって素晴らしかったです。

アニメーションだからこそティムの想像の世界を華やかににぎやかに描けるのがさすがですよね。やっぱりドリームワークス（・アニメーション）作品の表現はエンタテインメントとして素晴らしいです。ティムは専業主夫だけど、想像の世界ではカーレーサーにも科学者にもなれる。観ていてワクワクしますし、ティム自身のワクワクもダイレクトに伝わってきました。