1978年9月生まれ、スウェーデン出身のスベリル・グドナソン。18歳で俳優としてのキャリアをスタートさせて以降、スウェーデンを中心に数多くの映画やドラマで活躍してきた。2014年に日本公開された「ストックホルムでワルツを」には、バンドのベースを担当するストゥーレ役で出演。「ドラゴン・タトゥーの女」の続編にあたる2019年公開予定作「蜘蛛の巣を払う女」で、これまでダニエル・クレイグが演じてきたミカエル役に抜擢され、今後さらなる躍進が期待されている。
ボルグを演じることは怖くもあった
──完成した作品の感想を教えてください。
観ていてすごく幸せでした。期待よりさらに素晴らしいものになっていた。特にテニスの試合の部分がきちんと成立していたのがうれしかった。作り手としても、観客に飽きさせないように試合の時間にあれだけ割くのは本当に勇気のいることだったと思う。
──スウェーデン生まれのあなたにとって、スウェーデンの国民的英雄ボルグを演じることはどんな意味がありましたか?
ボルグを演じることはとても大きな意味があって、同時にすごく怖くもあった。皆に愛され、皆にリスペクトされているからね。彼のことを知る人が多いから失敗するほうがたやすく、だからこそ僕にとって怖いミッションだった。でもすべてを解き放って役に向かうのはすごく面白かった。もし失敗しても(自分が育った)アイスランドに帰ればいいだけだったからね。
シャイアとのスカイプは音が出なかった!
──マッケンローを演じたシャイア・ラブーフは、あなたの出演作を観て「ライバル心がメラメラ燃えてきた」と感じたそうです。撮影前に彼とスカイプで話した際、どんな会話をしたんですか?
最初に2人が知り合うためにスカイプする機会を設けてもらったんだけど、なんと音が出なかったんだ! アップデートか何かがうまくいかなくて何をやっても駄目だった。映像だけの状態で「このまま行こう!」となって、25分間無音のままシャイアとジェスチャーでコミュニケーションしたよ。でもこれは誰かと知り合うのにとても有効な方法だった。聞くと笑えると思うんだけど、それだけ相手と通じ合えた気がしてよかった。
──そうだったんですね。ボルグとマッケンローのように、自分とシャイアの中に共鳴する点はありましたか?
共通点は、映画作りに対する愛。そのために自分の持てるものをすべて出すところ。ただ映画を作るのではなく、意味があるものを作りたいという気持ちも同じだ。シャイアは素晴らしい役者だよ。とてつもないエネルギーを現場に持ってきて、それをいい形で役や周りの人に反映できるし、カメラの前で爆発させられる。どんどん腕が上がっているから、いつか彼はオスカーを獲ると思うんだよね。
──映画では、マッケンローは感情を爆発させる場面がある一方、ボルグは常に感情を閉じ込めるような役柄でした。現場でフラストレーションが溜まったり、シャイアをうらやましく思ったことは?
(笑)。それはもちろん、うらやましいと思ったよ! カメラの前で気持ちを爆発させるのって楽しいしね。でも僕にとってボルグは特別な役だったし、煮えたぎる感情を内包する方法を模索するのはすごく楽しくて、挑戦でもあった。だからシャイアと僕はお互い反対のチャレンジと向き合って、この映画を作ったと言える。
ボルグとマッケンローの友情はリスペクトがもとになっている
──ボルグとマッケンローは一見正反対ですが、演じてみて2人の関係をどのように捉えましたか?
テニス界初のロックスターと言えるような2人だったから、当時は世界が2人に注目していた。でも今と違って有名選手にセキュリティが付いてないから、ふらっと空港にやって来て何百人ものファンに襲われることが普通にあったみたい。そういう状況の中、お互いが唯一自分の気持ちを理解し合える相手だったんじゃないかな。2人はのちに仲良くなって、その友情はいまだに続いているんだけど、リスペクトがもとになった友情だと僕は思っているよ。
──それでは最後に日本の観客へメッセージをお願いします。
僕たちはボルグもマッケンローもすごくリスペクトしていて、大きなハートで作った誇れる作品なので、日本の映画ファンも気に入ってくれるとうれしいです。次回作で日本に行きたいと思っているので、ぜひ本作品も楽しんでください!