シアトルの友人から「一護役をやるんだね!」(福士)
──久保帯人さんによる原作マンガの連載が開始されたのは、お二人が小学生の頃にあたります。ちょうど「BLEACH」世代とも言えると思いますが、原作はリアルタイムで読んでいましたか?
福士 亮くんは読んでいたそうです。
吉沢 僕は読んでた。
福士 自分はこの映画のお話をいただいてから読んで、本当にドハマりして、当時出たばかりの全74巻分を、1、2週間で一気読みしました。
吉沢 そうなんだ! 普段からマンガを読むタイプだったの?
福士 読むことは好きだったけど、小学生の頃は、週刊誌を買うお小遣いがなかったので……(笑)。マンガはずっと友達に借りて読んでいました。
吉沢 ああー。僕は小さい頃から「BLEACH」のアニメも観てたし、単行本も買ってました。「BLEACH」と一緒に育ったと言っても過言ではないくらい、めちゃくちゃ好きでしたね。当時は、もちろん熱い話でもあるんですけど、クールでカッコいいところが魅力的で。斬魄刀(ざんぱくとう)や必殺技が、すごくカッコいいじゃないですか。でも今読んでも、刀、死神、幽霊のような日本的なテーマを、スタイリッシュに描いているなと感じます。冷静に考えて、すごく海外受けしそうな作品だと思いました。
──それほど海外の観客からも注目されていることで、心境の変化はあるのでしょうか。
福士 この作品をやらせていただくと決まったときから、「BLEACH」が海外でも人気のある作品だと知っていたんです。映画化が発表されたときに、シアトルに住んでいるアメリカ人の友達から「一護役をやるんだね!」と連絡が来たんです。
吉沢 そこにも届くんだね! すごい。
福士 やはり責任は感じましたね。
とにかくミステリアスな存在でいよう(吉沢)
──これまでも人気マンガ原作の映画にたくさん出演されてきたお二人ですが、「BLEACH」のように世界から注目される実写版でメインキャラクターを演じるには、それだけプレッシャーもあったのではないかと思います。役作りでこだわったポイントを教えてください。
福士 マンガ原作ですから、ビジュアルへのこだわりは強かったです。一護は原作でわかりやすく「髪の色:オレンジ」「目の色:ブラウン」と書かれているので、その通りにやってみたいという思いがありました。髪の色については原作者の久保さんも気にされていて(参照:「BLEACH」福士蒼汰主演で実写映画化、久保帯人「唯一心配なのは一護の髪の色」)、なんとしても地毛を染めようと決めました。自分の髪でやったほうが、客観的に見てなじむだろうと思ったので。一護の内面的なことで言うと、家族思いな部分や、自分のせいで母親を死なせてしまったという思いが、彼のエネルギーになっていると捉えていました。
吉沢 僕は今回、とにかくミステリアスな存在でいようと意識していました。死神の話の中で唯一死神に対抗する立ち位置ですし、「なんだか、こいつよくわからないな」っていう印象のまま終わったほうがいいだろうなと(笑)。原作での雨竜はわりといじられ役で、どんどん面白いキャラになっていくんですけど、今回の映画ではあまりそういう部分が出ないので。敵なのか味方なのか明確に見せないままでいたほうがいいかなと思って、芝居でもあえてあまり表情をつけませんでした。眼力も使わず、目元をずっと固定していることは意識して。
──それぞれ一護は斬魄刀、雨竜は弓状の武器で戦う役どころでした。アクションシーンもかなりハードだったと思うのですが……。
吉沢 僕は全然、そんなことないです! ぴゅーんと飛んで、パパパっと矢を放ってるくらい(笑)。
福士 でも、雨竜の武器はほとんどCGだったんです。
吉沢 そうそう。僕、剣道を9年間やっていたので、本当はこっち(刀を振るしぐさをしながら)をやりたかったんです(笑)。やっと特技を生かせるときが来たぜ!と思ったらまさかの滅却師<クインシー>という……もちろん雨竜を演じられることはすごくうれしいんですけど。
──雨竜の弓矢はすべてCGだったのですか?
吉沢 左手で持っている弓の一部だけ実物があるんですけど、あとは全部CGです。ただ、それをちゃんと引いているように見せないといけないので、けっこう練習しました。弓を引いたときのひじの角度が、下がりすぎても上がりすぎてもカッコ悪いですし、まっすぐ引くように気を付けないといけない。あとCGの矢が体を貫通しないように、ラインも意識しないといけなくて。地味に見えますけど、やっていることは難しかったんです。でもやっぱり、福士くんのアクションを観たら「ヤバい!」と思いました。特に(阿散井)恋次戦は、早乙女太一さんと福士くんの動きが素晴らしいし、CGに関しても「うわっ! 刀がこんな動きをするの!?」と驚きました。あそこは観ていて単純にアツくなりましたね。
福士 この作品に限らず、アクション映画はどれも大変です。ただ今回何が難しかったかというと、虚<ホロウ>が見えないところです。1人で演舞しているかのように動きながら、「ここに虚<ホロウ>の足が来るので避けてください」と言われたことを想像して動くんです。スタッフの皆さんとイメージを共有することが難しいと感じました。恋次戦については、アクション監督の下村勇二さんのこだわりやアイデアによってできあがったシーンだと思います。自分自身、完成版を観ると思いも寄らないカットも多くて。
吉沢 刀がデカくて大変そうだったね。
福士 あれは大変!
吉沢 恋次は刀が細いから、パパパッと動かれちゃうし。
福士 こっちは大きいハンデを背負っている中、あの早乙女太一さんがものすごいスピードでやってくるので(笑)。
日常と非日常の融合が魅力的(福士)
──福士さんがおっしゃったように、CGの多いアクションはその分演じながら考えなければならないことも多いですよね。
吉沢 もちろん苦労もありましたけど、佐藤(信介)監督の頭の中にはすべてできあがっていました。監督が的確なアドバイスをくださったおかげでやりやすかったです。
福士 現場で監督は常にiPadを持っていて、それを使って「尸魂界<ソウル・ソサエティ>はこんな感じ」というように資料を見せてくださるんです。尸魂界は本編に一瞬しか出てこないんですが、細かい設定まですべて決まっていて、「今白哉がいるところは、この中のここ!」と説明していただきました。偉そうな言い方になってしまいますが、佐藤監督は、世界観を作り上げるのが本当にお上手だと思います。そうやって作り込まれた世界観は海外の皆さんにも受けるだろうなと。佐藤監督の作品は、日常と非日常の融合が素晴らしくて、「GANTZ」でもCGとリアルな人間が本当にその場で戦っているような感覚にさせられました。「BLEACH」という作品に関して監督は「現代劇なのにキャラクターが和装しているというミスマッチな部分がいいなと思った。そういう作品をやりたいと考えていたところに『BLEACH』がハマった」とおっしゃっていたんです。そこに目を付けられるというのも面白いなと感じました。
──では最後に、お二人自身が完成版を観て感じた、本作の見どころを教えてください。
吉沢 一護がグランドフィッシャー(虚<ホロウ>)と戦うシーンは、迫力が半端じゃなかったです。現場では、駅前ロータリーをセットで全部作っていて、かなり広かったので「どんだけ大規模なんだ!」と驚いたんですけど(笑)。背景の奥はグリーンバックになっていたので、どうなるのかと思っていましたが、すごく自然に世界に溶け込んでいて。グランドフィッシャーについても、CGのすごさに驚愕しました。
福士 アクションやCGに関しては、驚かされるポイントが本当にたくさんありました。ほかに完成作品を観て「おっ!」と思ったのは、挿入歌や主題歌です。
吉沢 ああ、アツいですね!
福士 [ALEXANDROS]さんの曲がすごくハマっているんです。生活の中で主題歌の「Mosquito Bite」や挿入歌の「MILK」を耳にすると「BLEACH」を思い出すくらい頭に残る曲だし、「いい音が入った!」という感じがしました。
- 「BLEACH」
- 2018年7月20日(金)全国公開
- ストーリー
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高校生・黒崎一護はユウレイが見える霊感の持ち主。ある日、家族が人間の魂を喰らう悪霊・虚<ホロウ>に襲われてしまう。そこに現れたのは、死神を名乗る謎の女・朽木ルキア。彼女は一護に究極の選択を迫る。このまま家族とともに殺されるか、世の中のすべての人を虚<ホロウ>から護る<死神>になるか──。<死神>として生きていく道を選んだ一護の先には、想像を超えた闘いが待ち受けていた。
- スタッフ / キャスト
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監督・脚本:佐藤信介
原作:久保帯人「BLEACH」(集英社ジャンプコミックス刊)
脚本:羽原大介
音楽:やまだ豊
アクション監督:下村勇二
主題歌:[ALEXANDROS]「Mosquito Bite」(UNIVERSAL J / RX-RECORDS)
キャスト:福士蒼汰、杉咲花、吉沢亮 / 真野恵里菜、小柳友 / 田辺誠一、早乙女太一、MIYAVI / 長澤まさみ、江口洋介
- 映画「BLEACH」オフィシャルサイト
- 映画「BLEACH」公式 (@bleach_moviejp) | Twitter
- 映画「BLEACH」公式 (@bleach_movie) | Instagram
- 「BLEACH」作品情報
©久保帯人/集英社 ©2018映画「BLEACH」製作委員会
- 福士蒼汰(フクシソウタ)
- 1993年5月30日生まれ、東京都出身。2011年に「仮面ライダーフォーゼ」で初主演を務めて注目を集める。その後はNHK連続テレビ小説「あまちゃん」や「図書館戦争」シリーズ、「神さまの言うとおり」「ぼくは明日、昨日のきみとデートする」「無限の住人」「ちょっと今から仕事やめてくる」など話題作に立て続けに出演した。2018年には主演作「曇天に笑う」や「ラプラスの魔女」が公開されたほか、10月26日に「旅猫リポート」が封切られる。南勝久のマンガをもとにした2019年公開作「ザ・ファブル」への出演もアナウンスされている。
- 吉沢亮(ヨシザワリョウ)
- 1994年2月1日生まれ、東京都出身。2011年に特撮ドラマ「仮面ライダーフォーゼ」の仮面ライダーメテオ / 朔田流星役で注目を浴びる。主な出演映画は「さらばあぶない刑事」「トモダチゲーム」「銀魂」「斉木楠雄のΨ難」など。2018年には「リバーズ・エッジ」「ママレード・ボーイ」「銀魂2 掟は破るためにこそある」「あのコの、トリコ。」といった出演作が続々と公開。現在主演ドラマ「GIVER 復讐の贈与者」がテレビ東京系にて、出演ドラマ「サバイバル・ウェディング」が日本テレビ系にて放送されているほか、2019年4月より放送のNHK連続テレビ小説「なつぞら」へも出演する。
2018年7月27日更新