映画ナタリー Power Push - 「バクマン。」
新井浩文、ジャンプ編集部へ“聖地巡礼” +スタッフ・キャストの“思い出のジャンプマンガ”セレクション
2人は編集部の内部へ進む。劇中で山田孝之演じる服部哲のモデルとなった編集部員のデスクは、映画の撮影でも使用されたスポットだ。
片山 じゃあ編集部の中をご案内しましょう。今は席外してますけど、二大“机汚いやつら”のゾーンです。ここは一番汚いと言われている、映画版の服部哲のモデルになった門司(健吾)の席。映画の最初のシーンとかはここで撮ってましたよね。
新井 ふふふ。門司さんの机が汚いって、この前も話題になってましたよ。
片山 しかも意味わかんないことに、普通は自分が担当してるマンガを手の届くところに置くんですけど、この人の机にはなぜか「修羅の門」全巻と醤油が……。
新井 醤油、好きなんですかね。本当にきったねえな!
片山 あ、池沢(春人)先生の新連載(「ものの歩」)の原稿のコピーがありますね。
新井 あっそれ! 今日発売のジャンプにありましたよ! 読みました!(※この取材は9月14日に行われた)
片山 今日の分までもうチェックしていただいて、ありがとうございます(笑)。で、その後ろが2番目に机が汚い人です。
新井 こんにちは。あっ「ニセコイ」担当されてるんですか? 前Twitterでも書いたんですけど、うちは断然(橘)万理花派です!
片山 ははは(笑)。あ、新井さん、こちら編集長の瓶子(吉久)です。
新井 こんにちは、見学させていただいてます。平丸役の新井浩文です。あっ、「火ノ丸相撲」! これ朝買って読んだんですけど、ここから先はゾーン的な話なんですか?
瓶子吉久 担当じゃないので自分もまだわからないですね。
新井 あれっ!? これ、まだ出てない号じゃん!
片山 あっ、そうだ! 来週発売ですね。
新井 うわっすげえ! よだれ出ちゃった! 今週は、この最初のページのところで終わったんすよ。その続きじゃん! ……すいません、興奮しちゃって。各マンガの原稿が編集長のデスクに集まるんですね……。
片山 ちょっと、編集長と肩組んで写真撮ってみます?
新井 いいんですか、そんな馴れ馴れしく(笑)。
瓶子 ええ。
片山 瓶子さんがノリノリなのが面白いですね。編集長の席も、座ってみてくださいよ。
新井 じゃあちょっと失礼します。よくほかの人が編集部訪問とかしてるの見ていて、すごいことやってるなあって思ってたんですけど、今うちも同じ状況なんですねえ。(編集長のPC画面を見て)今、車調べてたんですか?
瓶子 はい、車調べてました(笑)。
ここで新井に手渡されたのは、9月19日発売のジャンプ43号から2号連続で掲載された小畑・大場コンビによる特別読切マンガ「バクマン。age13」と「age14」。「バクマン。」の前日譚を描く本作の最後のアオリ文を、なんと新井が考えてみることに。
片山 これが、2回にわたって掲載される「バクマン。」の前日譚を描く特別読切マンガです。
新井 あー! これ、大根さんから聞いてました。ほんとにすごいらしいですね!
片山 この紙は、“白ヤキ”と呼ばれるチェック用の状態です。
新井 あー、キャラが幼くて、かわいい感じだね。なるほどなるほど、楽しみだな。すげー、みんな出てくるじゃん! 平丸も出てる!
片山 ……新井さん、一番最後のページにアオリ文入れてみませんか?
新井 えっ?ってか、入れていいんですか!?
片山 すごい急ですけど、よかったら。
新井 入れます(即答)。あれですよね。本編の脇に書くやつですよね? 「誰々先生のマンガが読めるのはジャンプだけ!」とか……。
片山 そうですそうです。ジョジョだと有名なのが、「NO断念!!」とか、「愛=理解!!」とか。アイデアだけでもいただけたら僕がそのキーワードを入れ込みますよ。
新井 うちが文字考えていいの!? 本当に!? でも内容を見てみないとあれなので、ちょっと1回読みますよ。文字数は決まってますか?
片山 級数っていう文字の大きさがいろいろあって、それによって何文字かが決まるんです。物語を盛り上げたり、状況説明の役割を果たしてます。
新井 やばいね! じゃあちょっと読ませていただきます。
「バクマン。age13」「age14」を読み終わった新井が、満足気な顔で再び登場。本作に思い入れが強いという新井は、早速アオリ文に入れるためのこだわりのアイデアを挙げていく。
片山 いかがでした? 中1からの秋人視点で描かれていて、後半はファンサービスもたっぷりですよね。服部もちょっと若くて。
新井 へっへっへっ(笑)。やっぱ絵がすごいっすよね。
片山 小畑先生が時間をかけて描かれているので、細かいところの描き込みがすごくて、クオリティが特に高いですね。大場先生は、「ストーリーは映画にあわせた」って言ってました。
新井 キャラがかわいいなあ。原作好きな人はここ(最高のスケッチブックに描かれた亜豆のイラストの見開き)、鳥肌立つだろうな。……はい、アオリ決めましょう。
片山 最後の1コマに「バクマン。」のロゴが出て、本編の1話目につながるわけです。
新井 ……ふふふ。今、ぱっと浮かんだことを言いますね。前後半のまとめ的な内容を書くのか、原作へのフリを書くのか、どっちかですよね。原作読んでる人から見るとこれはスタートじゃないですか。「ここがすべての始まり」とか? でも、面白味に欠けるので……。
片山 「バクマン。」のアオリは本編に掲載されたものもわかりやすいんですよね。だからシンプルなことを恥じる必要はないですよ。
新井 うちが「バクマン。」を読んでたときには、革命的なマンガだなと思ったんですよ。とにかく衝撃を受けたんで。マンガ業界の実名とかを出してるって、けっこうなことじゃないですか。だから「革命の始まり」みたいなのはどうですか?
片山 たしかに。僕も、編集部にはこんな人がいるんだなと思ってましたもん。顔はモデルになっていない人もいるので、厳密には違いましたけどね。あとは、掛詞とかもいいですよね。「サイコー」とか、「バクチが始まる」とか。「バクマン。」のタイトルは“博打”から来ている説もありますからね、ダジャレです。そういう言葉遊びをアオリに入れる人もいますよ。
新井 うちの場合は、本編がすごい好きだから、やっぱ大事なのは「始まり」になっちゃいますね。ラストのスケッチブックのくだりはちょっとやばいと思う。「うおお、これがあのときのあれかい!」って。やっぱり「革命」「始まり」、そういう言葉がいいですね。
片山 わかりました! ばっちり入れるので!
新井 楽しみにしてます!(※新井のアイデアは、9月28日発売の週刊少年ジャンプ44号掲載「バクマン。age14」にて実際に使用された。「ここから2人の大博打が…マンガの革命が始まる! この続きはJC&劇場で!!」)
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Contents Index
About the Movie
「バクマン。」2015年10月3日より全国東宝系にて公開
スタッフ
監督・脚本:大根仁
原作:大場つぐみ、小畑健
主題歌:サカナクション「新宝島」
キャスト
真城最高:佐藤健
高木秋人:神木隆之介
新妻エイジ:染谷将太
亜豆美保:小松菜奈
福田真太:桐谷健太
平丸一也:新井浩文
中井巧朗:皆川猿時
服部哲:山田孝之
川口たろう:宮藤官九郎
佐々木編集長:リリー・フランキー
Profile
新井浩文(アライヒロフミ)
1979年1月18日、青森県生まれ。2003年、映画界デビューともなった初主演作「青い春」(2002年)で高崎映画祭の最優秀新人男優賞を受賞した。以来「ゲルマニウムの夜」や「BOX 袴田事件 命とは」など多数の映画に出演。2014年には第88回アカデミー賞外国語映画賞部門日本代表に選ばれた「百円の恋」をはじめ、7本もの出演作が公開された。「モテキ」や「ど根性ガエル」といったテレビドラマでも存在感を放っている。新井がナビゲーターを務め、親しい俳優や監督と全国各地の酒場を巡るテレビ番組「美しき酒呑みたち」もBSフジにて放送中。