岡野さんはテンション上がると関西弁を出す(もぐら)
──マーティン役のマッツ・ミケルセンは「北欧の至宝」とも言われている“イケおじ”で、20代の頃はダンスカンパニーに所属していたダンサーだったんです。ただこれまで映画の中で一度もダンスを披露したことがなくて、俳優になって初めてその才能を披露したのが今作。お三方にも、まだ披露していない、あるいは披露したくても披露する場のない隠れた才能や意外な特技というのはありますか?
岡野 ないです。全部出し切ってやってます。
もぐら 岡野さんは関西弁があるじゃないですか?
岡野 おい、悪質ないじりはやめろよ。
もぐら 岡野さんはテンション上がると関西弁を出してくるんですよ。「なんでや!」って。
酒井 めちゃくちゃダサいっすね(笑)。
岡野 これはちょっと複雑で、僕は福井県の敦賀という福井の中でも京都とかに近いところの出身で、もともと普段の言葉に関西弁が混じっているんですよ。「なんでだよ」とは言わずに、「なんでや」とかね。でも東京に来て養成所でそのしゃべり方をしていると、「え? 福井だったよね?」っていじられるんです。関西弁に憧れている人みたいに思われるのが面倒で直したのに、もぐらとやってるパチンコ番組(「くずパチ」)でものすごい熱いのがかかるとつい出ちゃうんですよ。それをもぐらがこうやっていじってくるんです。
もぐら かっこつけちゃうんでしょうね。関西弁に憧れてきたから。
酒井 まだその才能をスクリーンでは披露されてませんよね?
岡野 うっせーわ! そういうお前もラップとかやり始めてるじゃないか。
酒井 僕は去年ラップユニット「Mells」を結成して、MC DONの名で活動していて、曲も出してます。
──MC DONとしてリリックなども書かれたりするんですか?
酒井 はい。なんでも振られたらいけますよ。「アナザーラウンド」でもいけますし。
岡野 おお、すげー。フリースタイル聴きたい!
酒井 ♪YO hey 観たぜ、アナザーラウンド、YO 酒をいっぱい飲んでたよ、イイ感じに酔っぱらってたよ、楽しかったよ、YO! また観たいな映画館で、YO イイナ、イイナ~ テンションアゲアゲ↗ yeah!
もぐら わはははは。これはひどい。これは岡野さんが悪いよ。岡野さんの責任。
岡野 いやいやいや、もうちょいできるでしょう?(笑) 韻みたいなの1つも踏んでないじゃない? 韻ゼロ!
──ただ今日はノンアルで乾杯でしたので、こちらにも非があります。申し訳ありませんでした。
酒井 その通りです。ヒップホップとアルコールは相性がいいですからね。ノンアルじゃなかったら絶対にもっともっといいのができてましたね。酒とたばこを我慢してると全然ノッてこないんっすよ。あ、そう言えばもぐらさんはネズミ食えるんでしたっけ?
もぐら ネズミしかかからない病気にかかっただけだわ! 特技でもなんでもないでしょ。
もう一度自分に見せてあげたい(酒井)
──周囲の人たちの中で今作をお薦めしたい人はいますか?
岡野 誰も知らない人でもいいんですか? だったら同じ事務所の魂ずですね。すごく面白くていいやつらなんですけど、やっぱり真面目なんですよ。芸人って意外と真面目な人が多くて、しゃべりの場を譲ったりしちゃうんで、そういうのを酒の力で壊して出ていったらあいつらのよさがもっと出ると思うんですよね。
もぐら 僕はラジオの構成作家をやってくれている、せおに観てほしいですね。せおは年間20回くらい職質をされる男で、家の近所のお巡りさんに止められたときには、「せおです」と名乗ると「あ、せおさんでしたか。すいませんでした」と言われるほどの域に達しているんです。ものすごく生きづらそうなんですよ。作家の傍らコンビニの店員としても働いているんですけど、お客さんに物を投げ付けられたりクレームを付けられても言い返しちゃダメだから、寄り目で接客したりするらしいんですよ。それを見たお客さんが「お前なめてんのか!」ってさらにクレームしてくるっていう。だからせおにはこの映画を観てもらって、常に0.05%の血中アルコール濃度を保つことを意識して仕事をしてほしいですね。
酒井 僕は同期のコンビ・あそびの清水慧志郎ですね。どんなボケをしても返しがものすごくうまい天才なんですけど、本番になるとまったくしゃべれなくなっちゃうから。
岡野 は? なにその尻すぼみな話?
酒井 今日ずっといいこと言いたいのに全然言えない……。そうか、本当は俺がもう一度観たらいいのか。もう一度映画を観て、テンションを上げるべきだと。ということで、もう一度自分に「アナザーラウンド」を見せてあげたいです。
デンマークのアルコール事情
アルコール度数が16.5%未満の酒は16歳から店頭で購入可能。16.5%以上の酒の購入と、レストランやバーでの飲酒は18歳から。ただし飲酒に対する法的な年齢制限はないため、16歳未満でも家にある酒を飲むことは法律違反にはならない。
キャストの酔った姿はすべて演技
見事な酔いどれ演技が印象的だが、キャストが実際に撮影現場で酒を口にすることはなかった。彼らは泥酔状態を演じるため、へべれけに酔ったロシア人たちの映像をYouTubeでたっぷり観たという。また、アルコールで充血した目を点眼薬によって作り出したり、壁にぶつかった際けがをしないよう肩パッドを服の下に潜ませるといった対策も取られた。
悲しみを乗り越えて映画を完成させた監督
監督のトマス・ヴィンターベアは本作の撮影開始から4日目に、19歳の娘アイダを交通事故で亡くした。主人公の娘役で映画デビューを果たす予定だったアイダは、さまざまなアイデアも提案していたという。なお学校のシーンはアイダの母校で撮影され、彼女の実際のクラスメイトたちが生徒役で出演した。
- 岡野陽一(オカノヨウイチ)
- 1981年11月29日生まれ、福井県出身。お笑いコンビ・巨匠として活動後にピン芸人に。R-1ぐらんぷり2019で決勝に進出し、2020年のラ・ママ新人コント大会 NABE-1グランプリ~こんなときだからスペシャル~では優勝を果たす。Abema TV「矢口真里の火曜The NIGHT」、BS12 トゥエルビ「ドランクドラゴンのバカ売れ研究所!」などにレギュラー出演中。
- 鈴木もぐら(スズキモグラ)
- 1987年5月13日生まれ、千葉県出身。2012年に、水川かたまりとお笑いコンビ・空気階段を結成する。2016年、TBSラジオのお笑い番組「マイナビLaughter Night」のチャンピオンライブで優勝。翌年もチャンピオンとなり連覇を達成した。TBSラジオ「空気階段の踊り場」にレギュラー出演中。
- 空気階段プロフィール | 吉本興業
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- 空気階段の記事まとめ
- 酒井貴士(サカイタカシ)
- 1991年6月1日生まれ、東京都出身。2018年に林田洋平とお笑いコンビ、ザ・マミィを結成し、翌年のツギクル芸人グランプリ2019で優勝を果たした。GERA放送局の「ザ・マミィのネズミの咆哮」にレギュラー出演中。ザ・マミィとして主演を務めた映画「劇場版ほんとうにあった怖い話〜事故物件芸人3〜」が9月10日に公開される。