成田凌「雨の中の慾情」台本の“いい顔”に悩む、中村映里子は森田剛が爆笑する現場に遭遇

映画「雨の中の慾情」の公開記念舞台挨拶が本日11月30日に東京・TOHOシネマズ 日比谷で開催され、キャストの成田凌、中村映里子、森田剛、竹中直人が登壇した。

つげ義春のマンガをもとにした同作では、売れないマンガ家の義男、艶めかしい魅力をたたえる離婚したばかりの女性・福子、自称小説家の伊守が激しい性愛で交わっていく奇妙な共同生活が描かれる。成田が義男、中村が福子、森田が伊守、竹中がアパートの大家である尾弥次を演じた。

映画が公開された今の心境を尋ねられた成田は「熱いオファーをいただき、公開される日を心待ちにしていました。この映画が皆さんのものになるわけですが、不思議と寂しい気持ちもあります」と言い「（上映後の）この空気が独特でいいですね。でもちょっと疲れましたよね？ お疲れ様です（笑）」と観客に語りかける。

印象に残っているシーンを聞かれると、成田は「伊守に『いい顔するね、義男くんは』と言われる場面があるんです。台本を初めて読んだときから、いい顔をしなくてはとすごく考えてしまって。10回くらい撮影をしましたが、全部迷って、全部違う顔をしたと思います」と回想。森田も「なんとも言えない顔をするんですよね。毎回違っていて楽しかったです」とねぎらった。

また中村が福子のラストシーンを挙げ「本当に何十回も撮って、監督もすごく悩んでいてなかなかOKが出なかった。福子としても一番心がぐわんぐわん動いているところだったので、やればやるほどわからなくなって。でも本編に選ばれたカットは素敵なものでした」と話すと、成田は「あのシーンを観るためだけでも、映画館に行く価値があると思います」とうなずく。また森田は「気合いだけでやった」という長回しの戦場シーン、竹中は真っ暗な山の中で撮った検問所のシーンについて語った。

つげの大ファンで、自身もマンガ「無能の人」を実写化した竹中。「片山監督は僕の現場で助監督をやってくださったことがあって、印象に残っていました。今回呼んでもらえてうれしかったです」「僕は20歳のときにつげさんを深く知ったんですが、今作には大好きなつげさんの作品の要素がたくさん詰め込まれていました。この物語のこの部分を使ったんだという発見がいくつもあって、当時つげさんのマンガのページをめくっていた自分を思い出しましたね」と思い入れたっぷりに伝えた。

終盤は、本作の「これは、誰も見たことがない愛の物語。」というキャッチコピーにちなみ、撮影中に目撃した共演者の意外な一面についてのトークが展開された。成田は「僕がミントタブレットを食べていたら竹中さんが来たんです。そして食べて『うん、気持ちいいね』と。いい表現だなあ！と思って感動しました」と話し、中村は「森田さんは現場で本当に静かで。でもある日ケータリングの中に、頭も含めて煮込んだ鳥の料理が出てきたんです。（キャストの）松浦祐也さんが鳥の頭を食べてみたんですが、あのときの森田さんはとっても楽しそうでした。森田さんってこんな大きな声で笑うんだ！と思いましたし、そのときに撮った動画にも笑い声がすごく入っていました」とハイテンションな森田の様子を明かした。森田も「楽しかったですね」と思い出したように笑みをこぼす。

また竹中は静かな現場を盛り上げようと、口笛をひっきりなしに吹いていたそう。「のちのち、剛から騒がしいなと思われていたことを知りました（笑）。それは発見だったね。ズシーンと来ています……」と冗談を飛ばして、会場に笑いを起こした。また森田は成田が頭を床に打ち付けるシーンに言及して「本当にガンガン打っていて、もういいだろう、そんなぶつけなくてもと思うほどでした。ギリギリのところを行く方なので刺激的でしたし、感動したのを覚えています」と役者魂に拍手を送る。最後に成田は「ピュアでクレバーでクレイジーな片山監督が作り出した唯一無二の愛の物語です。観ていただけて本当にうれしいです」と客席へ感謝を伝え、イベントは終了した。

「雨の中の慾情」は東京・TOHOシネマズ 日比谷ほか全国で上映中。

映画「雨の中の慾情」予告編