映画「
本作は事故による腕のけがで職を失った主人公・沢田の日常が◯(まる)に浸食されていく物語。堂本が沢田、綾野が売れないマンガ家で沢田の隣人・横山を演じ、小林が野心的なギャラリーオーナー・若草萌子役、吉岡が沢田と同じく現代美術家のアシスタントとして働く矢島役、森崎がミャンマー出身のコンビニ店員・モー役で出演。戸塚は現代美術家の新人アシスタント・田中役に選ばれた。
堂本は初の劇中音楽を担当したことに触れ、「フィルムで撮っていることもあり、役者の呼吸や間がたっぷり使われていました。その間が音楽になっていましたので、『新たに音楽は付けなくても……』とも思いましたが、監督は『ここには音が欲しい』と。非常に難易度が高かったですね。普段とは違う学びがありました」と言葉を紡ぎ、「真面目すぎました?」と付け加えて場を和ませた。
好きなシーンに話が及ぶと、堂本は「『売れないアーティストに価値なんてない』というセリフには考えさせられましたね。いろいろな考えが巡りましたし、“いつまでも純粋でいること”などが問われたあの場面はアーティストでなくても心に残ると思う」と回答。綾野は悩みながら「モーさんの『福徳円満』というセリフはこの作品を象徴していますし、矢島と沢田の関係も魅力的。たくさんありますね……横山の『チェンジ・ザ・ワールド』というワードも横山っぽいな」と述べる。森崎は「今日僕を初めて見た人は『こんなに日本語を話せるんだ!』と思ったかもしれませんが(笑)」と前置きし、「『人間、丸くないと』というセリフが心に残っています。○には優しいイメージがありますが、生き残るために転がる“○”という意味も感じていて、脚本を読んだときに『うおー!』」となりました」と振り返った。
続けて小林は、沢田と横山が餃子を食べながら話す一幕を挙げ「『どこまで深いんだ』と引き込まれました。監督もすごく思い切ったなという印象」と述懐する。横でうなずく吉岡は「私も2人のシーンを見て『この映画大好き!』と思いました」とほほえみ、あるシーンを挙げ「横山が『何ができるの、君は?』と言ったときに、沢田が『口笛』と返すんです。あの演技は堂本さんにしかできない」と興奮気味に語る。そして「突然壁から出てくる足が好き」と打ち明ける戸塚は「人の足の裏をあんなに見ることはないなと(笑)。びっくりしました」と思い返した。
荻上は「若草画廊で『僕が沢田です』と挨拶するシーンが好き。ずっと受け身の主人公ですが、あそこだけは2mmぐらい前に出ているんです」と発言。すると堂本は「試写を観た友人から『あれは“志村の間”だ』と言われて。『あたすが~』の間だったと(笑)。こっちはそんなつもりでやってはいなかったんですが、見直したらたしかに『あたすが~』の間でしたね(笑)」と告白し、観客を笑わせた。
イベントの中盤には、本作の宣伝コピー「みんな◯に夢中になる」に絡めて、「いま夢中になっている◯◯」を発表するコーナーも。堂本は「あんみつですね。クリームあんみつが好きで、黒蜜がいいんですよね」と頬をゆるませる。綾野も「なんで黒蜜ってあんなにうまいんですかね」と応じると、堂本は「ステージドリンクにしてもいいなと思う」と返し、再び会場に笑いを起こした。
最後に堂本は「◯っていうのは柔らかくて優しくて平和的な図形ですが、この映画では非常に強い丸で、凛とした印象があります。2回、3回、4回と繰り返し観るたびに心のピントが合ってくる不思議な映画です。ぜひ何回も楽しんで欲しいですし、『沢田です』の間をもう一度検証してほしい」と呼びかけ、イベントの幕を引いた。
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