息子の名前は黒澤明に由来!?「悪魔と夜ふかし」兄弟監督が語る好きな日本映画は

本日10月4日に公開されたホラー映画「悪魔と夜ふかし」より、共同監督を務めたコリン・ケアンズ、キャメロン・ケアンズの兄弟のインタビューが到着。幅広いジャンルや地域の映画に造詣が深い2人が、日本映画から受けた影響や好きな映画について語っている。

本作は1977年のハロウィンを舞台に、深夜のトーク番組「ナイト・オウルズ」で巻き起こる惨劇を描いたホラー。人気が低迷していた番組では、生放送のオカルトショーで人気を挽回しようと計画し、霊聴、ポルターガイスト、悪魔ばらいなど怪しげな超常現象が披露される。しかし番組がクライマックスを迎えたとき、思いもよらぬ惨劇が巻き起こるのだった。「ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結」のポルカドットマン役などで知られるデヴィッド・ダストマルチャンが主人公の司会者ジャックに扮している。

兄のコリンは1970年、弟のキャメロンは1973年生まれ。子供の頃から映画が大好きで、スティーヴン・スピルバーグ、シドニー・ルメット、マーティン・スコセッシ、スタンリー・キューブリックといった有名監督や、後世に影響を与える傑作ホラーを生み出したブライアン・デ・パルマ、ジョン・カーペンター、デヴィッド・クローネンバーグ、ウィリアム・フリードキンらの映画に夢中になったという。ヨーロッパやアジアの映画も広く観ており、日本映画は1960年代から近年のものまでチェック。特にコリンは好きな映画監督ベスト3に黒澤明の名前を挙げており、息子には「アキラ」と名付けるほどのファンだとか。

「悪魔と夜ふかし」に影響を与えた日本映画を聞くと、コリンは「先日『オーディション』を観返していて、ふと、本作のエンディングと似ているなと思いました。何が現実で何が悪夢なのか、夢が覚めたのか覚めていないのか混乱するような、クレイジーになっていく構成も似ているかもしれません」と、三池崇史が1999年に発表したサイコスリラーに言及。キャメロンは好きな日本映画に大林宣彦の「HOUSE ハウス」や池田敏春の「死霊の罠」を挙げた。

オーストラリアのメルボルン出身で、母国でホラーを中心に映画制作を続ける兄弟。コリンは「映画産業はアメリカが中心というイメージを持っている人もいるけれど、そんなことはないですよね。オーストラリアも100年前から素晴らしい業界があって。50年くらいは停滞していたんですが、近年また復活してきていますし、日本も素晴らしい作品をたくさん生み出してますよね。黒澤明のほかにも『怪談』や『鬼婆』、その後のJホラー系ももちろん大好きです」と話す。

続けてコリンは「『カメラを止めるな！』も最高だった。ホラー映画なんだけど、アイデアが秀逸で、温かみがあるところがまた面白くて。日本は決してアメリカを模倣せず、オーストラリアと同じように自分たちのやり方で映画を作っていますね。僕らと同じような経済的な理由があるのかもしれないけれど、そういうふうに作っているからこそ、映画がより豊かになるんだと思います」と語る。

キャメロン曰く、「悪魔と夜ふかし」を観る人は、自分が映画の観客ではなく1977年のハロウィンに放送されているテレビ番組の視聴者になったような気持ちになるという。「登場人物を好ましく感じるところもあれば、トマトをぶつけたくなるくらいイラっとするようなところもあります。そんなキャラクターたちに、いくつかのシークエンスですごく面白いことが起きるし、ゴアもしっかり入っていて、何よりも没入できるストーリーです」「テレビ番組風の映像なんだけど、すごくクールな没入型の体験ができる映画だと世界中の方が言ってくれています。特に日本では公開がハロウィンに近いので、すごく楽しみですね」と期待を込めた。

「悪魔と夜ふかし」は東京・TOHOシネマズ 日比谷ほか全国で順次ロードショー。

映画「悪魔と夜ふかし」予告編