PARCO出版50周年記念イベントが9月14日に東京・渋谷PARCOで行われ、映画「
「若き見知らぬ者たち」では死んだ父の借金を返済し、難病を患う母の介護をしながら昼夜働く青年・風間彩人と周囲の人々のささやかな日常が、思いもよらぬ暴力によって奪われるさまが描かれる。磯村勇斗が彩人、岸井ゆきのが恋人の日向、福山翔大が彩人の弟で格闘技選手の壮平、染谷将太が親友の大和を演じた。
出版レーベルのPARCO出版は、設立50周年を記念して“未来”を感じられる架空の本屋「One Page BOOKSTORE -1ページの本屋-」を、10月6日までの期間限定でオープン。新たな時代を予感させる50プラスアルファのモノ・ヒト・コト=Cultivators(耕す人たち)が、“自身を現すもの”として世に送り出した本やアート作品の展示・販売が行われている。今回のトークイベントには、PARCO出版が思う「新たな時代を予感させるヒト」として内山と嶌村が選ばれ登壇した。
10月11日に公開を控える「若き見知らぬ者たち」について、内山は「この作品は約10日間ぐらいの短いスライス・オブ・ライフを描いた作品です。その日常の中で市井の人たちがどのように生きているのか。家族であったり、友人であったり、恋人だったり、いろんな人たちの社会との接点において『家族ってなんだろう』とか、疑似的なものも含めて生きている。名前もわからない感情とどのように向き合えばいいのか。そういった見過ごされてしまっているものを少しでも可視化させたいと思って撮った作品です」と紹介する。
また嶌村は「僕が写真を撮ったとき、そのときの“事実”っていうものがその1枚に収められていると思うんです。写真を見てそのときに戻ることができる。でもそれは瞬間的でもあり、断片的なものかもしれない。そこで生じるあいまいさっていうのはあって、でもそこにこそ脚色が生まれたりとか、余白という人間らしさが宿るんじゃないないかなと思っています」と、写真の魅力を語る。続けて「映画も繰り返し観ることによって、そのときに思ったことが変わったり、印象に残るシーンが異なってきたりとかもすると思うんですね。自分が好きな映画はやっぱりそういう余白がある作品ですし、その余白にこそ自分や作品を観た観客自身の経験や思い出が込められるんだと思います」と述懐した。
イベントではQ&Aも行われ、内山と嶌村に「それぞれの、映画、写真を撮るようになったきっかけは?」という質問が飛ぶ。内山は「自分は田舎から上京してスタイリストになろうと思っていましたが、その過程で映画をたくさん観た時期がありました。そこで『映画って自由だな』と強く感じたんです。それと同時に、自分が知らない“世界”が、東京どころか世界中にあるんだといういうことを感じ、自分と“世界”を接続してくれたのが映画だったんです」と答える。
嶌村は「自分にとって写真は“世界とつながるツール”」と明かし、「僕は写真を始めてすぐに海外に留学に行ったんですけど、英語もしゃべれない中でコミュニケーションが取れたり、かなり写真に救われたことがありました。当時は、写真が撮れれば面白い人たちと仲良くなれるかもと漠然と思っていただけ。でもその経験を経て、自分は“世界”の人たちとこの社会の中で『写真を撮る人』として存在できるんじゃないかと思い始めて、そういうところから少しずつ仕事になっていきました」と語った。
「若き見知らぬ者たち」は東京・新宿ピカデリーほか全国でロードショー。写真展「what is good?」は9月23日まで開催される。
映画「若き見知らぬ者たち」予告編
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