「男はつらいよ」ファン大感謝祭で山田洋次が“小学3年生の寅さん”と相合い傘

「『男はつらいよ』55周年記念 ファン大感謝祭」が昨日8月27日に東京・MOVIX亀有で行われ、監督の山田洋次、寅さんの大ファンである玉袋筋太郎（浅草キッド）と昴生（ミキ）が登壇。シリーズに三平役で出演した北山雅康が司会を務めた。

1969年8月27日に1作目が劇場公開された「男はつらいよ」。55年を迎える記念すべき日となった昨日は、ファンが一堂に会し、寅さんへの愛を語り合った。

300人のファンを前に山田は「本当に皆さんよく来てくださいました。今日は短い時間だけど、楽しい時間を過ごすことができればいいなと思っています」と挨拶する。そして、1作目が公開された当時と現在の映画界や自身を取り巻く環境の変化について尋ねられると「とても難しい質問ですね。それにお答えするためには1時間も2時間もかかっちゃう」と笑いつつ「緩やかさがまだ50何年前はあったような気がしてしょうがないね」「僕たち日本人は本当に幸せな方向に向かっているのかな」と問いかけた。また山田は寅さんの魅力について「時代ってこともあると思うんだけど、一言で言って、自由ってことだと思う」と言い、「何にも拘束されてない考え方」「一番大事な考え方」と語った。

「男はつらいよ」を観たくなるのはどんなときか？という質問が飛ぶと玉袋は「仕事だとか、人間関係とか、人生いろいろと順風満帆にいかないことの連続なんですけど。その中で、ちょっと自分の気持ちのチューニングがおかしくなったときに、チューニング合わせで観て、抜群な状態に持ってくようにしています」と述べる。もともと日本映画が好きだという昴生は、映画好きを公言するなら「男はつらいよ」を観るべきだと思い、コロナ禍に当時公開済みだった49作を3日間かけて一気見したそう。「日本って、昔、こんなにもキラキラ輝いていて、人間関係が素晴らしいんやって、元気になった」と振り返り、「寝る前とかに『男はつらいよ』を観て、明日の活力につなげようみたいなときはあります」と話した。

ファン感謝祭では、「男はつらいよ」全50作の中からファンによる投票で1位を獲得した第17作「男はつらいよ 寅次郎夕焼け小焼け」がスクリーンへ。そのほか2位が第1作「男はつらいよ」、3位が第25作「男はつらいよ 寅次郎ハイビスカスの花」、4位が第32作「男はつらいよ 口笛を吹く寅次郎」、5位が第50作「男はつらいよ お帰り 寅さん」と第15作「男はつらいよ 寅次郎相合い傘」という結果となった。

なおイベントでは「お楽しみ大抽選会」も実施。山田組の美術スタッフが感謝祭のためだけに制作した貴重なお宝がファンにプレゼントされた。「男はつらいよ 寅次郎相合い傘」で渥美清演じる寅さんと浅丘ルリ子扮するリリーが使った相合い傘を再現した傘は、寅さんのコスプレをした小学3年生の女の子の手に。山田は女の子と相合い傘をしながら、頬を緩めた。

最後に山田は「本当に思いがけない楽しい集まりになって、僕もとてもうれしいです。皆さんの気持ちが伝わってくるのね。最後の作品から30年ぐらいかな。でも、こんなに皆さんから愛されていることは、作り手としては望外の幸せです。ほんとに今日はどうもありがとうございました」とファンに感謝を伝えた。

「男はつらいよ 寅次郎夕焼け小焼け」は9月6日から12日まで、MOVIX亀有で特別上映。