奇想天外映画祭に「ワイルド・ボーイ」など14本、マルコ・フェレーリ「最後の晩餐」も

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「奇想天外映画祭2024」が9月14日から10月4日まで東京・K's cinemaで開催される。

「奇想天外映画祭2024」ビジュアル

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「ワイルド・ボーイ」場面写真

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「最後の晩餐」場面写真

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2019年より毎年開催されてきた本映画祭。今回は凶悪一家にシリアルキラーとして育てられる幼子の運命を描いた劇場未公開の「ワイルド・ボーイ」など14作品がラインナップに選ばれた。同作ではデヴィッド・キャラダインが我が子に愛情を注ぐ母親に扮している。さらに、生き続けることに絶望した4人の中年男たちの快楽地獄をつづったマルコ・フェレーリ監督作「最後の晩餐(1973年)」も上映。加えて、ジョゼフ・フォン・スタンバーグの生誕130年記念として、マレーネ・ディートリヒが主演した「間諜X27」「スペイン狂想曲」が35mmフィルムで特別上映される。

「間諜X27」場面写真

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「スペイン狂想曲」場面写真

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本映画祭の推薦人である柳下毅一郎は「奇想天外映画祭は映画史の行間からすべり落ちてしまった映画たちを拾いあげる。傑作と名作、ヒット作が映画史を作りあげていくとすれば、そこにおさまらなかった映画たちはなんなのだろう?」「他にも見るべき映画は数多い。奇想天外は玉石混交だ。何が出てくるかわからないから奇想天外なのであり、その中から『玉』を見つけるのはあなた自身の仕事なのだ」と寄稿した。全文は下記の通り。配給はアダンソニアが担当する。

奇想天外映画祭2024

2024年9月14日(土)~10月4日(金)東京都 K's cinema
料金:当日一般 1600円 / 当日学生 1400円 / 当日シニア 1200円 / 3回券 3600円(数量限定)

上映作品

柳下毅一郎(映画評論家)コメント

奇想天外映画祭は映画史の行間からすべり落ちてしまった映画たちを拾いあげる。傑作と名作、ヒット作が映画史を作りあげていくとすれば、そこにおさまらなかった映画たちはなんなのだろう?
名作として映画史に名を残すことができなかった映画は、すべて忘れ去られるべき駄作となってしまうのだろうか? 出来の良し悪しだけで判断するなら、いびつに歪んだ映画は間違いなく駄目なほうに判定されるのだろう。だが、規格からはずれ、評価軸からはずれた映画というのはそれだけでひとつの価値だと言える。万人向きからは程遠かろうと、たったひとつでも、並外れて特別なポイントがあれば、それは記憶されるに足るだろう。映画の正史に残ることはないかもしれないが、その奇妙さによって忘れられない存在となった映画。それはミッドナイト・ムービーと、あるいはカルト映画としてひそかに伝えられてゆくだけなのかもしれない。いわば映画の伏流、地下水脈としてひそやかに流れてゆく。それが突然噴出したのが奇想天外映画祭なのだと言えようか。
たとえば「ワイルド・ボーイ」はこれ一本しか監督作品のないロバート・マーティン・キャロルによる砂漠シュルレアリスム暴力映画とでも言うべきワン・アンド・オンリーの怪作だ。ニューメキシコの田舎町を暴力で支配するボスの妻を女装したデヴィッド・キャラダインが演じる。キャラダインは女装者ではなく完全に女性として演じており、不思議な哀感は、彼の最高傑作とする声もあるほどだ。
「デスゲーム/ジェシカの逆襲」は密猟者と若い女性との戦いを描くが、復讐物というジャンルにおさまりが悪いのは、密猟者たちが妙に狂騒的で、「マッドマックス」風味を感じさせてくれるからかもしれない。ハリウッドから遠く離れたオーストラリア大陸は、ハリウッド的映画文法にとらわれない奇想天外映画の宝庫であり、今回はピーター・ウイアーの「ザ・ラスト・ウェーヴ」が上映される。サスペンス・ミステリーを装いながら、現代人が捨てたつもりでいる霊性に復讐されるさまを描く。霊性の復活をホラーとして描くのが出色である。オーストラリア映画ではマイルス・デイヴィスが出演するジャズ・ドラマ「ディンゴ」も注目だ。
マルコ・フェレーリの「最後の晩餐」は生きることに絶望した四人の男性が人間の欲望の限りを尽くして死んでいこうと示し合わせ、豪華極まりない「最後の晩餐」を催すという筋立てで、ブルジョワの醜さがこれでもかと執拗に追求される。ほどよい「皮肉」に止めず、徹底して掘り下げたがゆえにこれは名作ではなく怪作扱いされることになったのだが、それこそがフェレーリの素晴らしさである。
他にも見るべき映画は数多い。奇想天外は玉石混交だ。何が出てくるかわからないから奇想天外なのであり、その中から「玉」を見つけるのはあなた自身の仕事なのだ。

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Ko-Z @particolare1964

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