「空(カラ)の味」で知られる
本作は塚田が出身地の長野で10年かけて地域の子供たちを撮影するプロジェクト「刻」から生まれたオムニバス映画。小説や音楽に没頭しながら自分の居場所を探す中学生の物語「満月」、吃音のある中学生と夢をあきらめつつあるミュージシャンの日々が交差していく「世界」の2編で構成された。一般の学生である
動画は2021年11月に行われた長野清泉女学院中学・高等学校における撮影で、出演者である子供たちがカメラを回したもの。和気あいあいとした空気の中、堂々と演じる子供たちの姿が映し出されている。
このたび塚田が本作の制作意図に触れるコメントも到着。塚田は「子ども達には、『今まで』より圧倒的な『これから』がある。全てが未知、不安で、彼らなりに絶望も持っている。けれど可能性しかない。彼らは美しく、希望です」と語っている。全文は下記の通り。
「満月、世界」は8月16日よりロケ地である長野の長野ロキシーで先行上映。9月21日から東京・ユーロスペースほか全国で順次公開される。MotionGalleryでは「刻」の制作継続のための支援を募るクラウドファンディングも実施中だ。
映画「満月、世界」メイキング動画
塚田万理 コメント
制作意図について
ワークショップでは、子ども達に、自分自身を撮る「セルフドキュメンタリー」を作ってもらいました。まずそこで「満月」の主演の満月が作った作品を観て、この子を撮りたい、と思いました。
子ども達には、「今まで」より圧倒的な「これから」がある。全てが未知、不安で、彼らなりに絶望も持っている。けれど可能性しかない。彼らは美しく、希望です。
満月はその象徴のように見えました。ただただ彼女の光を撮ったのが「満月」です。
「世界」主演の秋ちゃんとは、「刻」を撮影しながら一緒に生きてきました。そんな秋ちゃんがある日私に「作文を読んでほしい」と連絡をくれました。作文は、彼女の悔しさや叫びが聞こえる作文でした。その作文がきっかけで、彼女を撮る事にしました。
私はその作文を、素晴らしい作文だと言いました。でも彼女は、その作文が嫌いだと言いました。「自分のこととかじゃなくて、もっと世界とか、かっこいいことを考えていたかった」と言いました。考えさせられました。
「満月」の時より、「刻」を撮り始めて彼らと生きてきた私は、彼らの存在を「光だ」と強く言える自信を持っていました。なので、私自身のその視点を説得力として本編に入れたのが「世界」です。
秋ちゃんに「あなたは光だ」と言いたかった。そして「秋ちゃんが信じる世界が、世界にあってくれ、世界よ。」と思いました。
「満月」「世界」どちらも共通して言える事は「光」です。彼らの「光」を残さねば、と思っています。世界は彼らの「光」を残す世界でなければダメだ。見てくれ、残してくれ。世界に対して私がそう言いたくて作っているところがあります。
おおとも ひさし @tekuriha
「満月、世界」出演者の“こどもカメラマン”が捉えた撮影現場の様子は、メイキング解禁
"塚田万理奈の監督作「満月、世界」より、“こどもカメラマン”によるメイキング動画がYouTubeで解禁された。
https://t.co/7DfDtdmWTV