8月2日に公開を控える中編映画「
黒沢は本作を着想するきっかけとなった“妄想”を「チャイムが鳴り、あなたはこれまでずっと続いていた何かが終わって次の何かが始まるその時が来たことを知る。心の中に不安と期待が同時に押し寄せるが、もう引き返すことはできない。あなたはそれを受け入れるしかないのだ。またチャイムが鳴り、あなたは戸口の外に誰かが立ったことを知る。その誰かがもたらすものが恐怖なのか祝福なのかは、ドアを開けてみるまでわからない」と明かしながら「とりたてたジャンル性も娯楽性も作家性も持たない、たった45分のむき出しの映画だ」と明言している。
「Chime」は東京・Strangerほか全国で順次公開される。同劇場では8月2日の公開初日に吉岡と黒沢が登壇する特別上映を2回開催。18時10分の回の上映終了後にプレミアトーク、20時15分の回の上映前に舞台挨拶が行われる。チケットは7月31日より劇場オンラインと窓口で販売。
黒沢清 ステートメント
チャイムが鳴り、あなたはこれまでずっと続いていた何かが終わって次の何かが始まるその時が来たことを知る。心の中に不安と期待が同時に押し寄せるが、もう引き返すことはできない。あなたはそれを受け入れるしかないのだ。またチャイムが鳴り、あなたは戸口の外に誰かが立ったことを知る。その誰かがもたらすものが恐怖なのか祝福なのかは、ドアを開けてみるまでわからない。あなたはどうするか? 何もしないでいると絶え間なくチャイムは鳴り続けるだろう。この映画は以上のような私の妄想から生まれた。とりたてたジャンル性も娯楽性も作家性も持たない、たった45分のむき出しの映画だ。
私は、どこにでもいる平凡な中年男である主人公がチャイムによって突き動かされ常識と非常識のあいだを行き来する様を描いてみた。彼は終始不安だ。しかし確信もしている。この非常識こそが、彼をがんじがらめに縛り付けている現代社会のモラルや正義や良心の隙間からするりと抜け出すことのできる、一種の自由でもあるのだと。
映画「Chime」予告編2
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