映画「
吉田修一による同名小説をもとにした本作は、夫の実家の離れで暮らす初瀬桃子の周囲で、不審火や愛猫の失踪など不穏な出来事が起こり始め、少しずつ日常が乱れていくヒューマンサスペンス。江口が義母から受ける微量のストレスや夫の無関心を振り払うため“丁寧な暮らし”に勤しむ桃子を演じたほか、夫の真守に小泉、真守の母・照子に風吹、真守の不倫相手・三宅奈央に馬場が扮した。
江口は原作を読んだときに触れ「アイデアがとても面白くて、ピンチな状況にいる桃子に妙なおかしみがあるんです」と回想。撮影について「最初は私と小泉さんの家族のさりげないシーンから始まりましたが、中盤でかき乱す馬場さんが登場する。物語がそこから加速し、主人公は何かを失っていくのですが、どこか自由になっていく面もある。現場のみんなで作っていきましたね」と振り返った。
普段はさわやかなイメージもある小泉は、本作でガラッとイメージを変えたという。「まず皆さんが本編をご覧になる前でホッとしています。上映後だったら優しいまなざしが一切なくなっていると思うので(笑)」と安心した様子を見せながら、「撮影に入る前に監督とかなりの時間話して、前髪はこうして……などミリ単位で調整しました。『真守だったらこうするよね』という部分を森ガキさんと擦り合わせられたのが大きかった」と打ち明ける。対して森ガキは「真守は内に入って表情を隠しがちなキャラ。観た人に『あれって小泉さんだよね……?』と思わせたら勝ちだなと」と狙いを明かす。そして小泉は「衣装を着ていたら誰も“小泉”に気付かない。『森ガキさんすごい!』と思って」と口にし、風吹も「私も目を見るまでまったく気付かなかった。森ガキさんの勝利です!」と称賛した。
桃子の義理の母を演じた風吹は「意地悪しているつもりはないけれど、そう見えてしまうという距離感を出さないといけない」と難しさを吐露。一方で江口は「原作が面白い分、そのときの面白さを作れるのかなと不安でした」と話し、「でも、ふと見たときに風吹さんがいてくださったので、『この中で芝居をすれば映画は完成する』と思えた。そこから映画としての『愛に乱暴』を作ればいいと思えるようになったんです」と言葉を紡ぎ、風吹に感謝を伝えた。
小泉と共演した印象を問われた江口は「10年前も孝太郎さんを追いかけ回すドラマをやったんです。本当に面白い方なので、また今回もご一緒できるのがうれしかった」と回答。「そのときも今回も精神的に追い詰められました(笑)」と笑顔を見せる小泉は「江口さんから『孝太郎さんとは縁がある。10年に一度のサイクルで追い詰めてますね、私』と言っていただけて、すごくうれしかった。奇跡的なことですからね。また10年後が楽しみですよ」と期待をのぞかせた。
撮影は2023年8月の酷暑の中で行われた。馬場は「撮影ごとにすごく緊張しちゃって、役柄と相まって張り詰めたシーンになっていると思います。暑さを感じないぐらいひざの上で手が震えていました」と告白。ただ床下での撮影は“ひんやり”していたそうで、森ガキは「ヨーロッパで上映したときも『よくあのロケ地を見つけたね』と言ってくださって。原作で描かれている温度感を表現したいと思っていたので、制作部のおかげですね」とほほえんだ。
イベントの終盤にはヒットを祈願した鏡割りを実施。その道具として、桃子が劇中で衝動的に購入したチェーンソーが登場する。「懐かしいです」とつぶやく江口と、「トラウマですよ!」と恐れおののく小泉が手に持ち、「よいしょ!」とコールしヒットを願う。そして最後に小泉は「真夏の匂い、実家の雰囲気がよみがえるような映画です。『真守サイテーでした』とか、率直なご意見楽しみにしてます」と、江口は「ゆったりとした気持ちでのんびり観てください、森ガキ監督の愛情がたっぷり詰まった映画です」とそれぞれ挨拶し、イベントを締めた。
「愛に乱暴」は8月30日より全国ロードショー。
映画「愛に乱暴」予告編
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「小泉は「江口さんから『孝太郎さんとは縁がある。10年に一度のサイクルで追い詰めてますね、私』」「また10年後が楽しみですよ」と期待をのぞかせた」
10年ごとに孝太郎さんを追い詰める江口さんに草。ドラマ版『名もなき毒』って、もうそんなに前か。
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