劇場アニメ「
鑑賞後の観客を前に、nakamuraは「監督とこういう光景を目指してやってきたので、すごく今感慨深いです」と挨拶する。動員60万人を突破したことについて、押山は「観てくださった方の口コミの力を実感しています。ありがとうございます。SNSに張り付いて感想を見ていますが、追いかけきれない状況です」とうれしそうに述べた。
nakamuraは「今回監督が相当作品に向き合って生活を度外視してやっていた姿を見ていました。自分も普段音楽を作るとき、ずっと部屋にこもって書いている。1人で向き合う時間って、もの作りにおいて大切な時間でもあるし、長いトンネルでもあるので、共感とリスペクトしかないです」と押山を称賛する。押山からの「机に向かって表現を突き詰めていくと孤独になっていく部分があるし、周りのアニメーターがどんどん離れていっちゃう感覚になるんですけど、そういうことは音楽家さんにもあるんですか?」という質問に、nakamuraは「僕は幼なじみのバンド仲間と青森から東京に出てきたんですけど、途中で方向性の違いなどで1度離れてしまったことがあります。それは映画ともリンクする心情でした」と話した。
音楽をnakamuraにオファーしたことについて、押山は「藤本タツキさんが『ルックバック』の執筆中にharukaさんの音楽を聴いていたっていう話を聞いたことがきっかけ。この作品への藤本さんの向き合い方を自身にもトレースする形で、nakamuraさんの音楽を聴きながら絵コンテを描いていました」と述懐。nakamuraは、藤本のマンガ「チェンソーマン」を初めて全巻読んだ1週間後にこのオファーが来たことを明かし「偶然なのか(わからないけど)運命的なものを感じました」と語った。
本作の音楽制作に話題が及び、押山が「映像を流しながら即興で曲を作っていると聞いてびっくりした」と伝えると、nakamuraは「全然音楽の教育を受けてないので、譜面もあまり読めないし書けないんです。だから監督の絵を観て感動しながら弾いたものに(音や楽器を)足していく感じ」と答え、押山をさらに驚かせる。続けてnakamuraは「いい絵や美しい物語を読むと音楽が聞こえてくる感じがあって。頭の中で鳴っていた音をなるべくそのまま出したいという気持ちで作りました」と振り返った。
劇伴を作るうえで意識したことについて、nakamuraは「なるべく順番に作っていこうと考えていました。雨の中、藤野がスキップするシーンを初めて観たとき、頭の中で強く音楽が鳴っていたので、1曲目とそことラストの3つの軸に向かっていくように作りました」と回想した。また主題歌「Light song」に歌で参加したuraraは、以前は聖歌隊に所属していたが、現在アーティスト活動をしているわけではないという。nakamuraは「等身大の声で、すっとお祈りみたいな歌を歌える子」とuraraを評し、押山は「無色な感じがしたし、普段歌手として活動してないのも面白いなと。歌声がナチュラルでいいなと思って選ばせていただきました」と説明した。
最後に押山は「こういうイベントでも、クリエイターを積極的に呼べるといいな」と今後の宣伝活動に言及。そして「観てくださる方が増えていて、中には何度も観てくださっている方もいるとわかってきて、本当にうれしい限りです」と感謝を口にし、舞台挨拶は終了した。
「ルックバック」は全国で公開中。
naname @n4n4m3x
【イベントレポート】「ルックバック」音楽・haruka nakamuraが押山清高に共感、創作は「長いトンネル」 https://t.co/o4TCMMjevK